考えすぎてつらいときに──「DMN(デフォルトモードネットワーク)」と心のケア

うつせみ相談室のこんどうみつこです。
今日は、私たちが「気づいたらいろいろ考えてしまう」ときに関わっている、脳の働きのひとつ――デフォルトモードネットワーク(DMN)についてお話しします。

 

 

「不安が止まらない」
「過去のことを何度も思い返してしまう」
「つい未来の心配ばかりしてしまう」

 

 

そんな経験がある方にとって、DMNの理解は「こころの仕組み」に納得し、やさしく向き合う手がかりになるかもしれません。

 

DMNには2つの「顔」がある?

DMN(デフォルトモードネットワーク)は、私たちが何かに集中していないときに自然と働く脳のネットワークです。
たとえば、ぼんやりしているときや、ひとりで静かにしているときに、
いつの間にか頭の中で考えごとを始めるのは、DMNのはたらきによるものです。

このDMNには、大きくわけて2つの状態があります。

 

① 創造と意味づけのDMN

  • 過去の経験を振り返って整理したり

  • 未来のことを前向きに想像したり

  • 自分の気持ちに気づいたり

このような働きは、人生の意味や価値を見つけるための大切な機能でもあります。

 

② 反芻と思考のぐるぐるのDMN

  • 「また同じことが起きたらどうしよう」

  • 「自分はダメだ」と何度も思ってしまう

  • 頭の中のつぶやきが止まらなくなる

このように、過去への後悔や未来の不安が繰り返される状態になると、DMNは“こころの負担”を生む回路になってしまいます。

 

 

DMNの過活動と、不安・うつの関係

近年の脳科学の研究では、うつ状態や不安症のときにDMNが過活動になっていることがわかってきています。

  • 過去の後悔や失敗に意識が引っ張られる

  • 未来への心配が止まらない

  • 自分自身を否定的にとらえてしまう

このような状態では、DMNが「反芻モード」に入り続けてしまい、こころが休まる時間が少なくなっていきます

 

DMNの“ぐるぐる”をやさしく落ち着かせる方法

「考えすぎてつらい」と感じるとき、無理に止めようとするのではなく、やさしく方向を変えてあげることが大切です。
ポイントは、頭の中の思考から、実際に“今・ここ”で自分の五感が感じていることに意識を移していくことです。

たとえば、次のような方法があります。

 

① 呼吸とマインドフルネス

  • ゆったりとした心地よいペースの呼吸に意識を向けます

  • 「吸って、吐いて」の感覚を体で感じてみます

  • 頭に何か浮かんでも、「また呼吸に戻ればいいよ」と自分にやさしく声をかけます

こうした時間は、頭の中の雑音から少し離れ、安心とつながるためのひと呼吸になります。

 

② 五感を使って“今ここ”を感じる練習

  • 見えるものの名前を5つ言ってみる(例:「カーテン、机、コップ、スマホ、木」)

  • 聞こえる音を5つ言ってみる(例:「時計の音、風の音、外の車の音、自分の呼吸、冷蔵庫の音」)

  • 皮膚で感じている触覚を5つ言ってみる(例:「服の感触、足の床の感覚、手の温かさ、椅子の硬さ、空気の温度」)

このように実際に自分の体が“今”感じていることに目を向けることで、反芻的な思考から少しずつ離れやすくなります。

 

③ 書く・話す・描く

  • 頭の中にある考えを紙に書き出す

  • 安心できる人に言葉で伝える

  • 言葉にならない気持ちを色や形で描いてみる

これらは、DMNの“内省”という機能をやさしく活かす方法でもあります。

 

「心地よさ」に気づくことの大切さ

意外に思われるかもしれませんが、「心地よさ」や「安心感」に気づける力は、こころの回復にとても重要です。

 

なぜ心地よさが大切なの?

  • 安心できると、脳が「今、ここは安全だ」と感じられる

  • 緊張がやわらぎ、身体もゆるんでくる

  • DMNが“反芻”ではなく、“意味づけ”や“創造”の方向に働きやすくなる

 

 たとえば:

  • あたたかいお茶を飲む

  • 柔らかいブランケットに包まる

  • 自然の中を歩く

  • 好きな音楽を聴く

  • 信頼できる人と目を合わせる

それだけでも、脳とこころには「回復のスイッチ」が入ります。

 

DMNとうまく付き合うということ

DMNは本来、私たちにとってとても大切な“こころのネットワーク”です。
ただ、ときにその働きが強くなりすぎて、つらさを引き起こしてしまうこともあります。

そんなときは、
少しずつ「今感じていること」や「心地よさ」に意識を向けてみること
そして、「今の私はこのままで大丈夫」と思える時間を重ねていくこと。

それが、DMNとのやさしい付き合い方であり、こころを整えていく第一歩になります。

 

おわりに

ぐるぐると考えすぎてしまうとき、
それは、脳とこころが「なんとか守ろう」としてがんばっているサインかもしれません。

 

少しだけ、呼吸に、五感に、そして「心地よさ」に目を向けてみてください。
あなたの中にある“回復する力”が、きっと静かに動き出していきます。

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