「百木田家の古書暮らし」がすごくよかったので、冬目景さんの「空電ノイズの姫君」全3巻と「空電の姫君」全3巻を読みました
前者と後者は完全にひと続きの作品なのですが、途中で連載誌が出版社ごと変わったために別タイトルになっています
主人公の磨音(まお)は、自分が小さいころに両親が離婚しており、父と二人で暮らしている女子高校生です
父は伝説的なバンドのギタリストだったのですが、メンバーの1人が亡くなったことによってバンドは過去に解散してしまっています
磨音は父の影響を受けてクラシックなロック音楽やギター演奏が大好きでしたが、いつも1人でいるのが好きで、人前で演奏したこともありませんでした
ある日、磨音は転校生の美少女夜祈子(よきこ)と知り合います
夜祈子は誰もを惹きつけるほど歌がうまいのですが、幼少期に母を亡くしたことがトラウマになっており、人とうまくやっていくことができないというキャラクターです
そんな2人が関係を深めていき、ついには大学生の男性2人が組んでいるバンドに加入するという流れになります
現在のベースボーカルには弟がおり、元はその弟を含めたスリーピースバンドだったのですが、カリスマ性があったその弟を事故で亡くしてしまったという過去がありました
以上の設定で描かれていく作品なのですが、やはり抜群にうまいですね
男性陣がみな優しすぎるところは多少気になりますが、へんに生々しい男性キャラをもってくるよりも、磨音と夜祈子の関係性をじっくり深めていく方がずっと惹きつけられます
また、夜祈子をすごく難しい子にしたのが功を奏して、すべてがうまく回り始めたはずなのに、それがほんのささいなことであっという間に壊れてしまう展開がとてもよかったです
ラストが唐突すぎると感じる読者も少なくないと思いますし、この物語にもっと浸っていたいと個人的にも思いましたが、それでもちょうどいいタイミングでたたんでいると思います
さらに他の作品も読んでみたいと強く感じました