ヴィルジニー・デパントさんの「アポカリプス・ベイビー(APOCALYPSE BEBE)」(齋藤可津子訳)を読みました
興信所に勤めるアラフォー女性ルーシーは、ブリジョワな女性から素行不良の孫娘ヴァランティーヌの調査を依頼されます
尾行した二週間は、その素行不良ぶりをしっかり確認できていたのですが、尾行中にふと気づくといなくなっていました
誘拐などの犯罪に巻き込まれたのか、単なる家出なのか
個性的な一匹狼である(でもニックネームはハイエナ)女性探偵とコンビを組んで、行方を探すことになります
幼いとき父と離婚して、ヴァランティーヌとも別れてバルセロナで暮らす母のところに行ったのだろうと踏んで後を追い、なんとかみつけて家に帰しましたが、ラストは意外な展開に!
パリに居住するルーシーがバルセロナを田舎っぽいと評するところは、興味深く読めました
また、本作は2010年の作品なのですが、その後にフランスで起きる出来事を「予言」しているようなところもあり、ところどころ楽しめました
ただ、個々のキャラクターがいずれも馴染みにくく、感情移入できませんでしたね
もちろん、フランス人にとってはそんなことはないのかもしれませんが、たとえばウェルベックの小説に出てくるキャラクターは、いかにもフランス人という造形であっても自分にもしっかり感情移入できるので、やはり本作との相性が良くないのでしょう
ラストの「衝撃の事件」のあとも、ちょっと蛇足っぽい印象
本作がゴンクール賞レースにおいて、ウェルベックの作品の中では決してデキがよいとは思われない「地図と領土」に負けたというのは当然かなと感じました