稲羽白兎さんの「合邦の密室」を読みました
文楽をテーマにしたミステリで、第9回島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞準優秀作品とのことです
個人的には文楽に関する知識が皆無ですので、そこは興味深く読めましたが、全体的にあまりにも「島田構文」すぎるところが気になりました
フォーマットどおりに、冒頭で、夢とも現実ともつかない不可解な出来事が作中作の形式で語られるのですが、その部分が非常に弱くて必然性も感じられません
ある社会的大事件と絡めるところも型のとおり
デビュー作のせいか、内容的にも少し盛り込みすぎに感じます
とはいえ、舞台設定はワクワクさせてくれましたし、文楽というテーマをミステリに落としこんでいくところのうまさがありました
歌舞伎をテーマにした二作目も読んでみたいと思いましたので、本作は十分成功しているのだと思います
