足利事件は本当に冤罪なのか? 1 はじめに | 宇都宮義塾

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「一次資料(原典。ある事象の発生と同時期、

もしくはその事象の当事者によって作られたナマの資料。

歴史学の場合は“史料”と書く)に当たる」

というのは学術を研究する姿勢として基本中の基本であり、

特に歴史学においては一次史料に触れたことが無い者が

該当事象について何かを論じる資格は全く無い。


私は、2010年3月26日、宇都宮地方裁判所において

無期懲役で服役していた元幼稚園バス運転手の菅家利和氏に対して

「当時のDNA鑑定に証拠能力はなく、自白も虚偽である」と判示し、

「再審無罪」の判決が下された『足利事件』(松田真実ちゃん殺害事件)、

及び、真実ちゃん事件以前に同じ足利市内で起きていた“2つの幼女殺害事件”について、

1979年8月3日の1番目の殺人『福島万弥ちゃん殺害事件』が発生したのと同時期に記述された、

入手しうる限りの一次資料から徹底的に精読した。

 

新聞報道に関しては、大手四紙(朝日、読売、毎日、産経)よりも

栃木県の地元メディアである「下野新聞」の情報力が秀でていたので、

これを中心に読み耽った。

 

そして、二次資料・三次資料に該当する、菅家利和氏の逮捕(1991年12月2日)後、

菅家氏の釈放(2009年6月4日)後に作られた各種資料も一通り読んだ。

(菅家氏に無期懲役の判決が下るまでの“捜査・裁判過程”や、

“DNA型再鑑定”、“再審”に関する資料はこの時期に作られたものが「一次資料」となる)


さて、足利事件について、かなりの程度、勉強を重ねた私が

この事件の率直な感想を一言で述べるとすれば、


「なんじゃこりゃ!?」


である。


というのも、


菅家利和氏、

佐藤博史氏(二審から菅家氏の弁護を担当)、

警察、

検察、

裁判所、

マスコミ、

目撃証言者、

菅家氏の知人や同僚、

被害者遺族…


この事件に登場するあらゆる

人物・組織の言動が「滅茶苦茶」

だからだ。

 

特に、菅家利和氏のDNA型再鑑定が2009年5月に「不一致」になってから発信された

二次資料、三次資料が概ね「支離滅裂」なのである。

 

一次資料の内容と、

あらゆる部分で「食い違っている」

のだ。

 

そして、私は、下記の疑問を強く抱かずには居られなくなった。

 

【足利事件は本当に冤罪なのか?】

【菅家利和氏は本当に無実なのか?】

 

と。

 

(1991年12月22日付『下野新聞』1面)

 

 

 

 

 

 

足利事件の真相 その一
http://ameblo.jp/utsunomiya-gijuku/entry-12200241614.html
足利事件の真相 その二
http://ameblo.jp/utsunomiya-gijuku/entry-12200478086.html
足利事件の真相 その三
http://ameblo.jp/utsunomiya-gijuku/entry-12201152288.html

 

足利事件は本当に冤罪なのか?(準備)
http://ameblo.jp/utsunomiya-gijuku/entry-12240164901.html
足利事件は本当に冤罪なのか?(ご報告)
http://ameblo.jp/utsunomiya-gijuku/entry-12263363880.html

 

さて、弊店のブログでは、2016年9月15日から『足利事件の真相』と題して

足利事件の真相を究明するルポルタージュを綴ってきたわけだが、

予告どおり、今回より、ブログ記事のタイトルを

『足利事件は本当に冤罪なのか?』と改題した上で、

以前の記事を大幅に加筆訂正し、再度、一から事件の全容解明を試みることにする。

 

それで、情報量が膨大である足利事件(及び過去2件の幼女殺人)に関して、

どのような形でルポを纏めていくのが良いのか?

と、かなりの時間、あれこれ悩んだのだが(私のモチベーションの維持も含めて)、

「ショート・ショート」の形式で綴っていくことに決めた。

その回ごとに、私の筆が進みそうな話題を短編で少しずつ書いていく。

それ故、時系列がバラバラに飛んでいて読みにくいかもしれないが、

ルポを完全に書き終えた段階で時系列順に文章を並び替える心算である。

 

尚、引用する文章については、プライバシー保護のため、

実名で表記する必要性が無いと私が判断した人物(や住所)に関しては

イニシャルに置き換えるので、その旨、ご了承願いたい。

 

何の罪も無い幼い女児たちの尊い命を奪った凶悪犯罪(者)を憎む

善良な一般市民や、司法関係者、マスコミ関係者、

ならびに、司法やジャーナリズムを志望している学生たちに

このブログが少しでも益することがあれば幸いである。

 

【画像】

足利事件、逮捕直後の菅家利和氏。

釈放後の菅家氏いわく

「取調官に髪の毛を引っ張られて嘘の自白を強要された」

とのことだが、はたして、こんなに短い「角刈り」だった

逮捕当時の菅家氏の髪を、

「掴んで引っ張る」ことは可能だったのだろうか?

私には「不可能」としか思えない。

それに、菅家氏は逮捕当時、接見に訪れた梅澤錦治弁護士(一審を担当)に対して

「取調官があまりにいい人だったので、つい余計なことを言った」

と主張していたのだ。

「取調官に拷問を受けた」なんて全く以って述べていなかった。

 

 

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