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この間ジブリ総選挙で「千と千尋の神隠し」が一位になったそうですね。
面白かったし、興行成績も海外の評価も良かったし、妥当だなと思いました。
このあいだ、カリオストロのことをちょっと描いて評判良かったので
今日は調子にのって最近読みなおした「ナウシカ」を考察
原作は10年に一度くらい、読みなおします。
キネマのジブリ歴は長く、大体は映画館で見ております。
小学生のころ友達と、お小遣い片手にはじめて観にいった映画が
「風の谷のナウシカ」の巡業公演だったと思います。
ナウシカの設定は、こんな感じ。
「風の谷という村のお姫さまで、心が優しく、虫と心が通じる」
ナウシカの母親は作中ではすでに亡くなっている。
(父親も腐海の毒にやられ病の床にふせる)
ナウシカは１０人生まれた兄弟や姉の末娘であり、
１０人全部、腐海の毒で死んでしまったため唯一の跡取り的な存在。
母親は１０人もの子供を産み死なせ、
絶望のあまり心を病んでいたのではないかと思われる。
そのせいで、ナウシカのなかには物心ついたときから
寂しげな笑わない母親を見ていた。
おそらくそこから、
「母親に愛で満たされたい。満たされないことは大変さみしい。
さみしいのは悲しいことだし、満たされることがないなら
せめて自分は母の本来持つ愛情に類似した優しさで
他者にできるだけのことをしたい。」という思考に
本能的に行きついたのではないだろうか？
少し、話の方向性を替えて「ナウシカはなぜ虫の心がわかるのか？」
これ、原作の方には書いてあるんだけど、
ナウシカの母方の方に蟲使いの血が流れている。
原作にしかない設定の「蟲使い」とは、
腐海の奥に住んで、不潔な格好をしており何故か男が多い。
慣らした蟲をかごに入れて使う人たち。
死んだ人の物や埋葬品とかとっちゃう倫理観のあまりない集団。
(でも仲間意識は強く、蟲は宝のように大事にする)
えーっ、て思うけど、そういう人たちの血が流れてるらしい。
蟲や腐海の菌の気持ちがわかるのはそのせいじゃないかと思っている。
さて、話は戻り、ナウシカは
村の子供にやさしくし、病んだ年寄りの手をとり労わる。
そこまでなら、よくある心優しい娘である。
しかし、ナウシカの母性は止まらない。
物語が進むにつれ、自身の保身をかえりみなくなり、
トルメキアの兵士が死にかけたときも、兵の吐く毒の血を
取り除くため毒と知りながら口に含む。
何度も蟲とともに死にそうになり、戦場も先陣を切る。
最終的には巨神兵の母親になり、それの体から
毒の光が出ていると知りつつ共に行動し続ける。
こうなると、自虐的ともとれるほどで
もういない母への一種の復讐なのではないかと思える。
「母は私を愛さなかったけれど、私は母を超え
どれだけでも母性のような愛情を生み出すことができる」
極論として「そうでなければ生きていけない」と言わんばかりに。
だからといってナウシカは、自分を愛せなかった母親のことを
決して憎んだり恨んだりしているわけではないと思う。
母親の形見の耳飾りを一度は手放すものの、
ふたたび手元に帰ってきたときは相手に感謝して喜んでいる。
物語の終盤、庭園の主がナウシカをとどまらせるために
母親の姿になったときも、安らぎを求め近づいてゆく。
ただ、恨みもない代わりにもう切望することもなくなっているので、
母本人に対し「あきらめ」のようなものを持っているのかもしれない。
ナウシカの年齢の設定は１６歳、たった１６歳の娘が。
こんな事ってあるんでしょうかね。なんだかとっても悲しい。
クシャナはクシャナで、母親は薬によって
気がふれた状態になってしまっており可哀そうだったけど、
(あとこの人は親兄弟から色々命も狙われて可哀そうだし)
血塗られた運命みたいに語られたクシャナ同様に
ナウシカも血によって可哀そうなことになっているのではないか？
母親の一族の血を濃く受け継ぎ、特殊な感性が特化していて
それなのに自分を大事にしきれない呪いを受けているため
母から譲り受けた能力で、母への復讐をしている。
何とも因果をを感じずにはいられない、今回はそんな読後でした。
クシャナと父親のこととか、クロトワのこととか
ペジテ市のこととかガンシップの作りとか本当は
テトのこと、変わったことをもっと書いてみたかったけど…
やたら長くなってしまいましたし、このあたりにて。
ではでは、また読みに来てくださいね♪
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