本当は2日目に観劇したのにさぼりにさぼって後回しにしていたが、先代萩、というか竹の間がよかったのでなんとか一言書いておこう。でないとすぐ忘れちゃうから。
今月は昼の部を3B席、夜はイマイチ見る気がしなかったので舞踊のみを幕見。
伽羅先代萩 2004年3月の菊五郎の政岡も見ているはずなのに全く覚えておらず。もちろん竹の間も見ているはずなのだが今回はじめて見るような新鮮なおもしろさ。菊五郎の政岡はこの人のあっさりした芸風のせいか自己主張が強くないと言うか控えめな印象、しかし常に目は鶴千代に向かっていて情愛があり母性を感じる。対する仁左衛門の八汐は憎憎しくも愛嬌があって傑作。2人の芸風の違いが良い方向に働いててこの竹の間、かなりおもしろい。三津五郎の沖の井、秀調の松島がグッジョブな良い奴等。三津五郎の女形はめずらしいけど色気があっていいね、他でももっと見てみたいな。御殿になってからの八汐はほんとひどいよ、あんた。最後政岡に敵を討たれてもしょうがないね、という冷酷な女であった。そして千松が八汐にぐりぐりやられてるところを堪えてじっと見ている政岡の目がね、今すぐ八汐を突き飛ばして千松を抱きしめたい、というような目に見えうるっときた。ほんとは顔色一つ変えないってのが本当だから違うのかもしれないけど、菊五郎の目って色気があるというか潤んでるんだよね、だからそう見えたのかな。
床下の男之助は富十郎、2日目のせいかセリフに微妙な間が、でもさすがな男之助。団十郎の仁木は3Bからはほとんど見えず。しかし揚幕に近づくにつれ定式幕に映る影がだんだん大きくぼやけてってそれだけで不気味さが出てた、歌舞伎の演出ってすごいね、と改めて思った。
対決・刃傷は、、、仁左衛門が登場するまでに意識が遠くなり、長い虎の講釈に気を失った。しかし最後、手負いの外記にひとさし舞えって、助かるものも助からないジャン、早く手当てしてあげよぅよ、という突っ込みはなしか。
この日の大向こうはうへぇ、なものが多かった。竹の間の政岡の引っ込みでおばちゃんが「政岡がんばれー!!」、御殿だったかで「オニ松嶋!」って。がっくりしちゃうね。
源太・願人坊主 相変わらず舞踊はよくわからないけど三津五郎の踊りは眠くならない。
雛助狂乱 舞踊としておもしろいのかというと決してYesと言えない気がするが、久しぶりに巳紗鳳さんのお声も聞けたのでよし。
五条橋 鷹之資くん、お父さんと息ぴったり(というか富十郎があわせてるのか)、きっちりお行儀よい踊りでさすが富十郎の息子。将来有望です。