第8回 横浜トリエンナーレの感想 横浜美術館編 | 文化の海をのろのろと進む

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うしずのです。

 

現代美術の祭典「第8回 横浜トリエンナーレ 野草:今、ここで生きてる」を観てきました。その感想を書かせて頂きます。

 

 


 

 


会場はいくつかあるのですが、まずは改修工事を終え、リニューアルオープンした横浜美術館に行ってきました。

 


スタッフの方に聞いたら、動画を撮るのは禁止だけど、一部を除き、作品の写真を撮っていいとの事で撮らせて頂きました。

 



私がまず気に入った作品が一階に展示されていた、この作品です。サンドラ・ムジンガさん作「出土した葉」

 



写真だとサイズが分かりにくいでしょうけど建物の2階位の高さがあるんですね。作品の内側に入ると、大きな生物の体内に入った様な感覚でした。(あくまで個人の感想です)こういう「鑑賞」だけでなく「体感」出来るアートっていいなと思いました。




2階に上がって、すぐに展示されていた、この作品も良かったです。ラファエラ・クリスピーノさんの作品。布で植物を挟んで写し取ったのだと思うんですけど。自然由来の物って見ると安らぎますよね。






横浜美術館で観た作品の中で私が一番衝撃を受けたのが「福島に行く」という作品でした。

東日本大震災の影響で起きた福島第一原発事故後の2014年から2019年にかけて、舞踏家の尾竹永子さんが福島を5回訪れ、それを写真家のウィリアム・ジョンストンさんが記録した作品です。モニターで上映されていました。

映像には日本のマスコミがあまり報道しなかった(いや、私が見逃したか、忘れているだけかも)福島県の実態でした。廃墟となった町や駅。地震や津波で破壊された建物。黒い大きな袋に入れられ並んでいる汚染土。放射性廃棄物となってしまった畳や家電、自転車等が山積みになっている光景でした。帰宅困難区域等があるのは知ってはいましたが、写真で見ると生々しく衝撃的でした。



 


尾竹さんは、その放射線量が高いであろう町、駅、港、海岸で踊っていました。彼女が肉体で表現したのは何なのか?地震や津波で命をおとした人々の無念か?また、それらの人々への鎮魂か?避難を余儀なくされた人々の不安や心細さか?

 

 



また、人だけでなく津波で破壊された船や、廃墟の町に咲く花や、放射能で汚れた海とも共鳴する様に踊っていました。彼女のパフォーマンスが「福島に行く」をルポでなく、アートへと昇華させていたと思います。


私的には「福島に行く」が衝撃的過ぎて、その後に観た作品が色褪せてしまいました。

 

 

 


 

第8回 横浜トリエンナーレを観に行きたい方は急いで。2024年6月9日(日)で終了です。

 

 

他の会場の感想は、また後日に投稿します。

 

 

 

最後まで読んで下さり、ありがとうございました。