懐中温泉です、
あなたは屋根裏部屋で寝起きしたことは
あるでしょうか。
クラシック作品としては、モンゴメリ作『赤毛のアン』
主人公のアン・シャーリーは両親を幼少時になくし、
孤児院で育ちましたが、グリーンゲーブルスの
マシューおよびマリラ兄妹に引き取られました。
もともとは農作業を手伝う少年を奉公人として
雇い入れるつもりだったのを、間に入った仲介人
の手違いでアンが差し向けられたというものです。
それは互いにとって幸福な間違いであり、アンは
そのグリーン・ゲイブルスの屋根裏に住まいを
あてがわれ、そこで持ち前の想像力を存分に
働かせる生活が始まったのです。
私は、アンのような想像力を存分に働かせる、
というのがどうも苦手とするところがあります。
とくに何もないところから妖精の世界をつくり出す
とか、なんらかの根拠も必要としない想像という
のがむずかしく感じます。
もしかすると、アンはアンなりの根拠にもとづいて
空想を働かせるのかもしれませんが。
今回出張でイギリスに来ており、1週間の滞在
のために選んだのがこの屋根裏部屋でした。
これまでの出張でもキッチンのついたスタジオ・
フラットを利用していました。
とくに例の世界的疫病が人びとの移動制限を
していたときに、帰国時には検査を受ける必要が
あり、滞在中に罹患を避けるべく、免疫力の維持
を意識的におこなっていました。
具体的には媚薬ジュースを毎日飲むというもの
です。
媚薬ジュースとは
レモン1個
ライム1個
みかん3個
の絞り汁
ミネラル・ウォーター100 cc
オリーブオイル大さじ3杯
リンゴの皮をむいたもの1個
に、
ニンニク1片から5片
ショウガ親指の骨1本分くらいの大きさ
を入れてミキサーにかけるものです。
このニンニクとショウガ、とくにニンニクの効果を
期待したわけです。
幸い、それのおかげもあってか、検査にもひっか
かることなく無事に帰国できています。
ということで、もともと、自分で調理するためと、
材料が手に入りやすい、駅からも比較的近い
ところにあるスタジオ・フラットを利用していました。
ところが、昨今の物価上昇もあり、食事を自分で
作れるスタジオ・フラットは数も増えてはいる
でしょうが、人気も高い。
これまで私が利用していて、こちらに来て買って
使っていたブレンダーがあるだろうフラットは
かなり先から予約がつまっていてとれません。
また、利用料もずいぶん高額になっている
ようです。
そのとき目に入ってきたのが、この屋根裏部屋
です。
写真を見るとキッチンもつき、天窓形式になって
いることを除けば、だいたい通常のスタジオ形式
と言えます。
比較的価格も抑えられています。
これだ、と即決しました。
いわゆる無人経営で、入り口にカギの入った
ボックスがあり、その暗証番号を教えられて
入室する形式です。
これまでのスタジオ・フラットは最初がむずかしく、
苦労しています。
秋や冬で早い時間に暗くなるため、空港から
地下鉄・電車と乗り継ぎ、飛行時間も14時間
のあとの旅程で、実際、かなりくたびれています。
早くフラットに入り、荷ほどきをして、シャワーを
浴びて休みたい
そう思っているのに、入り口のところでとまどって
しまった。
幸い、数回の経験中、隣の利用客がたまたま
いて教えてくれたりしてしのいでいました。
それに対して、今回は夏という時期であり、日が
長い。
まだ明るいうちに住所まで来ています。
駅からも10分程度。
天気も良く、晴れている。
もしかすると、これまででいちばん楽にたどり
ついているかもしれません。
屋根裏部屋なので、いわゆる3階にあたります。
荷物のスーツケースは今回は比較的軽いので、
それほど苦労なく運び込めました。
食事も、材料は近隣のよく使っているスーパー
で入手し、1週間の滞在のベースを整えてから
トーストなどで簡単に。
今日は、寝よう、と。
天窓にはカーテンがないので、明るい。
それへの対処は明日にしよう。
まずは寝ることだ、と横になったのですが。
このあと今回の屋根裏部屋が屋根裏部屋に
しても相場より安かった理由はこれか、と
理解する事態が生じました。
それについては次回。
しばしお待ちください。
