懐中温泉です、
あなたも今ほど驚いていることはないと
思います。
実際に、これまであなたは驚く、ということを
すっかり忘れていたかもしれない。
それはもしかすると感受性とか、物事を
新鮮に、フレッシュにとらえるという能力
とも関係しそうな。
だから、今あなたの内側で起こっている
感覚が、驚きというものである、ということ
さえしばらく気づいていなかった。
その可能性さえあるのです。
そう、あなたは今、驚いている。
もちろん、驚くだけでは生きていけないので、
さしあたり、目の前に出現したこと、周囲で
わき起こっている事柄に対処していっている。
いろいろ起きていて出来（しゅったい）して
ちょっと忘れていたかもしれないその感覚。
それは驚きです。
昭和時代の表現ですが、
「ビックリしたなあ、もう。」
です。
「いや、驚いた。」
「シェーッ!!」
でも構いません。
言われてみると、ギャグ漫画の神様と自分で
言ったのか周りが言った、故赤塚不二夫氏の
『おそ松くん』
そのメイン・キャラクターの1人であるイヤミ。
名前の通り、イヤミでキザでおフランス帰りを
気取る、出っ歯の男性です。
彼は驚くときに左足を軸に右足を90度に曲げ
4の字を形作り、できれば地面から跳び上がり、
3本の巨大な出っ歯をさらに前に突き出し、
「シェーッ!!!」
と叫ぶのです。
しかも、ふだんはただ線で描かれる細い目が
一気にまん丸になり、しかも外に飛び出す。
私はこれ以上に驚きを表現する人物を見た
ことがありません。
なんとかこのウルトラCの驚きの表現を
自分でも表現しようとしましたが、およそ
実在の人間では不可能です。
できない。
それでいつしか真似はやめて、もしかすると
そのまま驚きの感覚も使わなくなって
しまっていたかもしれません。
しかし、今や再び驚きの感覚を取り戻して
きたようです。
どこらへんでその驚きを覚えたのか。
身体ででしょうか。
あるいは思考する頭脳で。
またはそのどちらでも。
ただ、まあ、その驚きは、ジワジワとくる
ものだと思います。
なぜなら事態は世界や社会で起きている
のと同時に、あなたの内側でも起きている
ため。
内側、それも細胞レベルで。
例のマスオさんであるウィルスが細胞内
に入り込んでいる。
ウィルスは、独立した生命体である細菌
または病原菌と違って、単独では生きて
いけない。
だから宿主に寄生する必要があります。
ちょうどマスオさんがごく普通の、あまり
給料が高くはない感じのサラリーマンで
あるのに、首都圏の中心部で一戸建ての
家屋に住んでいるのは妻の実家だから。
妻であるサザエさんのお父さんである、
磯野波平さんの持ち家に、フグ田姓は
そのままに、サザエさんと息子タラちゃん
と一緒に暮らしています。
だから、世間は、マスオさんのことを、
なんとなく聟養子のように錯覚してしまう。
が、忘れてはいけない。
彼はフグ田マスオであり、他人なのです。
彼の種族はどうやって増えるのか。
言い換えるとウィルスは独立した生命体
ではないのに、どうやって増殖するのか。
2種類ある、とされています。
DNAという遺伝子である核酸
RNAというタンパク合成核酸
前者ですと生殖で増殖し、後者ですと
分裂でコピーを作るのです。
が、あくまで寄生しているため、ヒトの細胞
の中に入って自分のコピーを作らせ、
細胞が破裂してたくさんのウイルスが飛び出し、
ほかの細胞に入りこみます。
こうして病気が蔓延するのです。
マスオさんが自分のコピーを作らせ、
たくさん散らばる。
実は、世間を見渡すと案外、このマスオさん
タイプの人物は多い。
10人に1人くらいでしょうか。
コピーで増えたのです。
しかし、通常は、マスオさんは大人しく
問題ない。
が、今は通常ではない。
異常です。
それは、マスオさんの人生のステージの
変化によるもののようです。
ウィルスに人生があれば、の話ですが、
どうやらあるようです。
だから驚いているのです。
あなたも驚きますか。
忘れていたとするなら、驚いてください。
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