懐中温泉です、
ご質問をいただきました。
「熊野本宮のつぼ湯とは何ですか。」
お答えします。
熊野本宮近郊には、日本最古の温泉とも
言われる湯ノ峰温泉があり、そこにある、
つぼ湯という名前の温泉です。
熊野一帯は、
蟻の熊野詣で
として知られる、熊野古道を中心にして
世界遺産にも認定され、しかも、その偉観
を示す自然地理環境はジオパークとしても
保存されています。
今でいうパワースポットの総本山とでも
言うべき土地で、極めて強力な霊験の場所
でもあります。
世界遺産であり、ジオパークでもある。
強大な磁力も出ているのだと推測します。
そういう土地にある温泉です。
効用の小さいはずもない。
ということで、何でも4世紀には湯ノ峰に
温泉が発見されており、発見者の碑が
残っています。
それが、つぼ湯です。
日本で最古の温泉というと、私が住む、
ラブリープリンセスの県庁所在地にある
道後温泉が有名ですが、こちらは、
神話時代以降ある、としています。
ただ、歴史上の存在としては、6世紀あたり、
聖徳太子が入ったというような記録がある
だけなので、それにくらべてもこちらの方が
古い。
他にも有馬温泉など、日本最古の温泉は、
たぶん探せばあちこちにありそうです。
なによりも、温泉ははるか太古の昔から
そこにあったのを、人間が発見し、
記録に残したのがいつか、という
ことだけなのかもしれません。
いずれにせよ、日本最古の温泉の１つです。
川の傍に建てられた小屋。
もともとは、ただ仕切りがあっただけで、
壁もなかったはず。
温泉の泉の大きさも、かろうじて人間2人が
入れるくらいです。
雰囲気としては、ずばり、胎内。
羊水に満たされた子宮に浸かっている、
という感覚さえ覚えてくるのではないか。
もっとも、なにしろ世界遺産ですので、
たとえ、掘っ立て小屋の外観であっても、
それを改装するのもままならない。
だから、規模を大きくすることもできず、
これに入ろうという場合は、1組ずつの
順番制で、制限時間30分です。
また、源泉は90度となかなかの高温です。
水で埋めながらにせよ、そう長くは浸かって
いられない。
だから、実際にはいってみると、10分も
浸かっていれば十分という感じもします。
昔からそうだったとも思いますが、洗い場
もありません。
ただ入るだけ。
入って、身体を拭いて、服を着て出る。
伝統的な湯治の場所。
いや、日本最古とすれば、ここでの入浴
スタイルが標準として各地に広まった
とみても良さそうです。
中世の説経文学でも知られる、
『小栗判官（おぐりほうがん・はんがん）』
では、敵に毒を盛られて餓鬼になって
しまった小栗判官が、ここで蘇生します。
最初の7日で耳が聞こえるようになる。
14日で目が見える
21日で口がきけるようになる。
耳・目・口と3つの感覚が戻れば、
あとは身体全体の回復で、ということで
49日目にはすっかり蘇生をなしとげた。
これは、仏教のいわゆる初七日から
四十九日（しじゅうくにち）にひっかけた
ものでしょう。
が、一方で、この21日というのが、
湯治としてもあるべき期間として、一般に
伝わっています。
あるいは、これもこの熊野本宮の土地に
蟻の熊野詣でに来た参詣客が地元に
戻り、各地方に伝えたものか。
私も自主湯治キャンプでおこなう湯治、
第１セットとしておこなった21日間の
最後の仕上げとして、この熊野本宮の
つぼ湯に行ったのでした。
確かに、そのインパクトは強く、数日経た
今でもまだ、身体の各部で蘇生を
続けている感覚があります。
あなたにも経験することをお勧めします。
霊験あらたか、というべきでしょう。
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ご精読ありがとうございました。
懐中温泉