懐中温泉です。
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あなたも、柳川丼の存在には
首を傾げたことがあるでしょう。
柳川丼。
思い出しましたか。
そうです。
その名前からだけでは
けっして、それが
ドジョウの卵とじ丼とは
わからない。
だから、何かのはずみで
この
柳川丼
と名称を聞きつけ、
それは何?とたずねて、
ああ、それは、と答えがあり、
正体を知る。
相伝のプロセスが必要なのです。
もともとは
柳川鍋からきています。
ドジョウをすき焼きの割り下で
煮込み、それに卵を割り入れ、
卵とじにしてある。
だからでしょうか、
最近、ドジョウを食べる機会も
減ってきていますので、
代わりに牛肉を使う。
そのようなメニューも
ここかしこで見られるようです。
一方では、
そもそもドジョウを食べる
機会が少なく、
「えー?ドジョウを食べるの?」
「なんか気持ち悪い。」
未知への恐怖から、
そんな反応も起こりがちです。
それを考えると、
あの可憐な牛さんを食べるのも
ドジョウを食べるのとどう違うのか。
とも思いますが、
なにしろ、慣れています。
慣れれば、牛を食べるのくらい、
ドジョウを食べるのと同様に
へっちゃらになるというわけです。
この伝(でん)でいけば、
割り下を使って煮込み、
たまごとじにする。
その料理方法が柳川式だ、
ということで、
材料は何でもOK。
そのような暗黙の了解が
料理界ではあります。
なぜなら、
日本人は、牛肉よりも
先に、ドジョウを食べていた。
よく知られることですが、
江戸時代、人々は
四つ足の大型動物の
肉を食べることを禁じられていました。
ほぼ唯一の例外が
猪で、薬食い、
薬用という建前で食べただけです。
同レベルで、
熊の肝(い)といって
肝臓の干したものを食べていました。
したがって、人々は
鶏肉や他の鳥の肉、
そして魚類の小型動物
および大豆などの植物性タンパク質。
これらからタンパク質を
摂取していたのです。
そして、ドジョウは、
貴重な動物タンパク質であり、
かつてはそこらへんの川の
どこでも採れたという事情があります。
少なくとも、牛鍋が入ってくる
前からあったはず。
むしろ、牛肉の摂取が、
明治初期の時代、
文明開化として必要だったとき。
欧風の食事を日本に
導入するために、日本の人々に
なじみのある、
この柳川風の料理法が適用されたのでしょう。
牛肉?
どうやって食べる。
柳川風に。
ああ、あれならできそうだ。
そんな感じではなかったかと
推測します。
卵でとじるかどうかは
まあ、お好み次第。
割り下で、
素材を煮込むのであれば、
すべて柳川丼。
しかし、もともとが
ドジョウを煮込むのが主流だったので、
柳川丼といえばドジョウ。
それが、とくに最近は
ドジョウをめっきり見かけなくなりました。
しかし、この名前を生かしたい。
というので、ここかしこの
土地の名前をつけて
なんとか牛柳川丼
などというのでしょう。
もっとも、素材だけで言えば
卵とじで割り下で煮込むのでは
何よりも親子丼があります。
カツ丼も、そうですね。
今後、ドジョウが
ますます食べられなくなると
前にお話ししたように、
いとこ丼
はとこ丼
一族郎党丼
というようになっていく可能性は
あります。
しかし、
ドジョウの卵とじは
海鮮丼でもない。
どうなるのか。
が、たぶん、心配はいりません。
舞子丼という名前が
ドジョウ丼にはあるからです。
これは、ドジョウが舞うようにして
泳ぐのと、近江舞子で名産だったからというので
そのように呼ばれていた、と
されます。
さらには、次回お話ししたいのですが、
同じ「川」をつけた丼もので
深川丼があります。
こちらは健在です。
だからあなたには、
もしも経験があれば、
最後にドジョウを食べたのは
いつだったか。
どんなだったか、記憶をたどって
ほしいのです。
その印象をよみがえらせて下さい。
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ご精読ありがとうございました。
懐中温泉