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想像してください。
大福餅を。
https://youtu.be/ePUPp4WPJsM
「大福餅って、あの大福？」
そうです。
中に餡（あん）を包み込んだ、
あの餅菓子。
白い餅。
またはヨモギでヨモギの
草色にしてあるよもぎ大福餅。
中の餡、というのはもちろん
あんこ、のことで、アズキを煮て
砂糖と少しの塩で甘みを出したものです。
つぶが残る粒あん。
漉してあるので粒がない、
こしあん。
こしあんの方は都風で
粒あんの方は田舎風というのが
一般の理解です。
大福餅というのはごく
庶民的なお菓子ですので、
中に包まれているあんこも
粒あんが多いと思います。
さて、要するに、
大福餅です。
その大福の形はそのままに、
大きさだけ座布団大の
サイズものを想像してください。
ふかふかして、柔らかそうな、
白い座布団。
ただ、座るには、
全体に白い粉がまぶしてあるので
座れない。
ふつうの大きさの大福ですと、
座ったら、重圧で中のあんこが
はみ出してしまいます。
餅も、べちゃっと、または
にちゃっとつぶれてしまうでしょう。
座ったお尻の部分に
つぶれたあんこや餅が
べたべたとついてしまいます。
だから、ふつうの大きさの
大福餅であれば、あえて座ろうとする
人もいないはず。
しかし、座布団大の大福であれば
どうでしょうか。
座りたくなるかもしれない。
白いものも、
そしてヨモギ色も。
むしろ、ヨモギ色の
よもぎ大福餅であれは、
いっそう座りたいという衝動が
わき起こるかもしれない。
お尻に白い粉がついてしまっても
かまわないので、
座りたい。
いや、顔を埋めたい。
もちろん、その後、
顔が白い粉まみれになることをも
辞さない。
ふかふかの
座布団大の大福餅。
大きくなったら、
ぜひこれを。
人生の成功を象徴するものと
言えるでしょう。
この、人生の象徴ともいえる
密かな願望を私はいったい
いつから抱くようになったのか。
それは
前谷惟光（まえたにこれみつ）の
漫画『ロボット三等兵』を呼んでからです。
「また、漫画家かよ。」
「おめーの知識は漫画から
ばっかりだな。」
しかも古くて、
誰も知らねーの、ばっかり。」
これは要するに、
夢の話です。
戦争中に大変な飢餓状態にあり、
食べ物のことばかり考えている。
とにかく、ごちそうと
されたものを腹一杯食べたい。
そのときに見た夢として、
お祝い事で、
なにか食べたいものがあるか、
ということで、
ロボット三等兵が頼むのです。
ロボット三等兵をつくった、
生みの親であるピット博士が
ペッタンペッタン、
餅つきをします。
そして、餡をくるんだ
大きな餅を延べ棒で延ばし、
座布団のようにしていきました。
できたところで、
「さあ、できた、食べなさい。」
「うわーっ。」
と巨大な大福餅を前にして、
目を大きく見開き、
口からは涎が垂れている。
まさに垂涎です。
が、それは夢だった、という
毎度のお話です。
この座布団大の大福餅に
幼少期に接している私としては、
人生の成功とは、やはりこの
座布団大の大福餅、かと思うところがあります。
もちろん、食べきれるものではない、
とわかっています。
最も食べられたときでさえ、
半分も無理だったでしょう。
今であれば普通の大福餅でさえ、
4個も食べると、少し苦しくなるはずです。
では、永遠にかなえられない夢なのか。
ロボット三等兵のように。
どうもそうではない、と
わかってきました。
なぜなら、今は、
美味しいものは皆で分け合う。
「美味しいね。」
と言い合って、食べる方が
美味しい、ということを
知っているからです。
「そんな当たり前のこと。」
その通りなのですが、
つい最近までは、大福餅は
1人で食べるものだ、とどこかで
思い込んでいました。
みんなで分け合う。
お裾分け。
生活の知恵ですね。
これはやってみたいと
思っています。
今後、人生の成功とも
言える事柄を達成したときに、
お祝いとして、お世話になった人を
集めて、座布団大福餅を皆で食べる会を開催する。
餅をつくところから
始めてもいいかもしれない。
あえていうと、
大福餅の真ん中あたりは、
あんこがたっぷりで、包む皮である
餅の部分は片側しかない、ことになる。
オープン大福、となるでしょうか。
あんこだけ食べる場面が
多い。
したがって、餅好きの人は
端の方を。
あんこ好きは真ん中の方。
分業でクリアできますね。
あなたも大福餅、である必要は
ありませんが、なにか大きいものを
皆で分け合う、お祝い事はいかがですか。
「そんなの、やっているよ。」
「あたりまえのことじゃないか。」
失礼しました。
もしも忘れていれば、
のお話です。
ご精読ありがとうございました。
懐中温泉
