私は宿舎となったホテルの地下駐車場に地上車<ランド・カー>を入れ、部屋に戻ってからラフな私服に着替えて外に出た。
 雨はやっと上がったが、まだ空はどんよりしていて、宇宙ではあれほどはっきり見える星々も、重い雲に遮られて殆ど見えなかった。
 そして・・・実はまだ夕食を取っていなかったのを思い出した。
 ホテル内にも幾つかのレストランが入っているが、モノのワリには値段が高く、従業員の態度がでかいので行く気がしなかった。


 「まだ・・・やっている時間だよな」


 私は腕時計を見た。
 私には、新米士官時代からの行きつけの小さなレストランがある。
 店の名は「新灯台<ノイエ・ロイヒトトゥルム>」
 せっかくオーディンに帰還出来たのだから、今日は、懐かしいそこに顔を出そうと考えた。
 店の親父さんは、息子が軍務に就いてから、住み慣れた海辺を離れて市中に出店したのだそうだ。
 息子さんの官舎が市内にあった為、いつでも会いやすいから・・・というのが理由であった。

 海辺にあった店は、灯台のそばにあったので「灯台<ロイヒトトゥルム>」と言う名前だったそうで、新しい店の名前は、海から離れた市中にあるけれど、やはり思い入れがある店だったので、「新灯台<ノイエ・ロイヒトトゥルム>」にしたのだそうだ。
 夫婦で切り盛りしており、午前11時に開店し、間で3時間ほど休んで改めて開店し、午後9時半には閉店してしまう店だ。
 だが良心的な値段で、美味しい料理と酒が気軽に楽しめるのだ。



 「・・・おや、マックスじゃないか!」
 「親父さん、お久し振りです!お変わりありませんか?」


 ドアを開けて中に入った私は軽く手を振った。
 私服だから、敬礼する必要もない。


 「かしこまった挨拶なんかいいよ。ほら、こっちへ来て座れって!・・・最近の調子はどうなんだ?」
 「ほら、前に来た時に、これから大変になりそうだと言ってたろうが?」


 いつも親父さんは明るく出迎えてくれる。
 この笑顔に、こっちもすぐに笑顔になれるのだ。


 「まぁね。・・・結構大変かな」
 「そうか・・・今回はどれぐらいいられるんだね?」
 「それがね・・・。実は、今日こっちに着いたのに、明日の午前中には発つんだ、宇宙にね」
 「・・・やれやれ、せわしない事だ」
 「でも、当初の予定はすぐに発つ事になっていたんだ。宿泊出来るだけ・・・マシなんだよ。うちの閣下は、半日でも家族に会えるって喜んでいるしね」
 「・・・って言っても、半日なんだろ?」
 「うん、たったの半日だね」

 親父さんは目を丸くして驚き、「・・・全く、半日なんてあっという間じゃないの」と、奥から顔を出した女将さんも呆れたようだ。



 「マックス・・・お前は本当に俺達の死んだ息子に似ているよ・・・」
 「うん・・・」
 「だから、こいつは、お前が遠くの宇宙に戦闘に行く度に心配してるんだよ。・・・正直言って今回はどうなんだ?」
 「どうって言われても。・・・作戦内容は言えないけど、多分大丈夫だよ。元帥閣下も大将閣下も勝算あるって・・・」
 「・・・そうなの。それならいいんだけど」と、女将さんはそう言って、私の顔をじっと見た。


 2人には1人息子がいた・・・生きていれば私と同年だ。
 彼等の息子は、6年前の第5次イゼルローン要塞攻防戦で戦死していた。
 私は彼等の息子とは全く面識は無かったが、一般の学校を卒業してすぐに徴兵されて、一兵卒での従軍し、駆逐艦の砲手になったらしい。
 そして、味方に多大なる犠牲を強いたイゼルローン要塞の主砲・・・あれに射抜かれ、息子さんが乗艦していた艦は一瞬にして消滅してしまった。
 私は直撃を免れて何とか要塞に辿りつけたが・・・彼等の息子は永遠に失われたのだ。


 軍は“名誉の戦死”だと言って、2階級特進させて遺族年金を払っていると言うが、彼は味方の「雷神の槌<トゥール・ハンマー>」で・・・亡くなったのだ。
 弔う遺体もなく、一通の戦死通知が届いただけ。
 2人が言うには、彼等の息子、ゲルハルトと私は、驚くほど面差しが似ているそうで、それ故、彼等は私を「マックス」と愛称で呼んでくれて、たまたま、年も一緒だったから、色々と世話を焼いてくれるのだ。
 私の故郷は辺境惑星で、私は両親とは長期間会っていないが、ここに来ると、故郷に帰ったような心地良さがあった。



 「この半日足らずの休暇はね・・・元帥閣下がご配慮なんだ。だから・・・ここで食事をしたいな・・・って思った訳でね」
 「ほう。・・・うちの店の事を思い出してくれたって事だな。そいつは嬉しいね。・・・で、何か食べたいものは?何でも作るぞ」
 「・・・うーん、そうだなぁ。特にこれと言って思い浮ばないんだけど・・・。今日のオススメは何かな?」
 「それなら、とっておきのがある。・・・シュパーゲルだ」


 それを聞いた途端に、私は嬉しさのあまり、口笛を吹きかけた。
 大好物だからだ。


 「・・・あれ?でも、時期的に早いんじゃないの?オーディンでシュパーゲルの旬の季節は4月から6月で、今は3月なのに」
 「あぁ、それか。こいつはね、オーディン産の早生種だ。・・・オマケに上物ときたもんだ」


 親父さんは、シュパーゲルを指で軽く弾いた。
 艶がある・・・新鮮なのだ。


 「他星のモノもいいが、やっぱり、オーディンで食うなら、オーディン産でなけりゃ美味くない」
 「うん、そうだね。地の物がやっぱり美味いね」
 「しかも、うちの契約農場のはモノがいいんだ。・・・さっき届いたばかりでね」
 「なら、新鮮って訳だね」
 「明日出す予定なんだけど、お前は特別さ。明日出発なら、今日の内に食って行けばいい」
 「いいねぇ・・・俺、好物なんだ!旬にこいつを食えるなんて、本当に贅沢だな」
 「そうだろう。・・・大体、宇宙<そら>の上じゃ、こういうモノは食えんのだろ?前にゲアハルトが言ってた。手紙で『合成食ばかりで味気が無い。家に帰って父さんの美味い料理が食いたい』ってな・・・」
 「まぁ、そうだな。貴族の上官は特別に調理された物を食ってたけど、普通は新鮮な食材は食えないよ。合成食が殆んどだからね。お世辞にも美味しいとは言えない」
 「そうなのかい・・・」と女将さん。
 「冷凍と乾燥が主流・・・かな。・・・で、これが凄く不味くてね。第一、下手すりゃ、毎日、固形食糧とかパックのドリンクとかだし。栄養価は高いらしいけどね、食ってて楽しくないんだな」
 「やだねぇ・・・食事が楽しくないなんて。身体にも悪そうじゃないか」と女将さんは身震いした。
 「・・・シュパーゲルも出た事があるけど、缶詰で味気無かったな・・・」



 辺境の故郷の惑星でも、水捌けの良い、肥沃な土地には最高のシュパーゲルが育った。
 旬の時期は皆で、今年の無事を祝って食べる。
 ディンケルスビュールでは、農民達も初物だけは、食べるのを許されていた。
 領主のディーゼル男爵も美味しいと賞賛していていて・・・。
 どこ産であっても、旬の時期にこれを食べてこそ、真の帝国人と言えるだろう。


 「あ~忘れるところだった。こいつのソースはどうする?」
 「そうだなぁ・・・ホランデースがいいな。新鮮な卵と白ワインがポイントだってお袋がよく言ってたんだ」
 「そうか。じゃぁ、ホランデースにしよう」


 シュパーゲルは7、8本もあれば、じゅうぶんメインディッシュとして成り立つ。
 そのシュパーゲルが大皿に、何と12本も乗っていた!
 しかも皆、太くてしっかりしていて、生ハムの付け合せもあって、ボリュームも満点だった。
 思わず親父さんを見ると、片目を瞑って笑っている。
 私は有り難さに心打たれ、旬の味覚を堪能したのだった。

 美味しい食事を終えて食後にコーヒーを飲んでいると、女将さんが、明日は何時出発か聞いてきた。


 「閣下を迎えに行くのが朝8時で。ホテルを7時半前に出て・・・昼過ぎには宇宙<そら>だな」
 「本当に早いのね。じゃぁ、朝食はどうするの。ホテルで?」
 「・・・そのつもりだけど、これが結構高くて、あまり美味くない」
 「あのねぇ・・・うちは昼からの営業だけど、うちの人ね、頑固に毎朝6時半には朝食を取るの。だから、私も毎日ツヴィーベルブロートを焼くのよ。・・・どう?うちで朝ごはんを食べて行ったら?」
 「え・・・でも・・・」
 幾らなんでも、朝早くから押しかけるのは迷惑なんじゃ・・・と思った。
 「何だ、何だ、遠慮するなって。大したもんはないが、マックス、食わないと損をする事になるよ」 
 女将さんも料理が上手いのだ。

 ツヴィーベルブロートはブロートの中でも私の好物で、良く母が焼いてくれたものだった。


 プライベートの朝食への招待!
 私は2人の気持ちが嬉しかった・・・時計を見ると午後9時半だった。


 「・・・そろそろ閉店時間だね。明日は何時に行けばいいのかな・・・」
 「6時半に来りゃいいさ。その時間にはブロートも焼けて、卵も茹で上がっている。勿論、ジャガイモも茹で上がっている」
 「じゃぁ、その時間に。・・・実は家庭的な朝食って、ここ何年も食ってないから凄く楽しみで」
 「そうかい・・・。じゃぁ、招待した甲斐があったな」
 「・・・じゃ、親父さん、会計頼むよ」
 「今日はいいよ」
 「・・・え!?」
 正直言って、何が起こったのか分からず、素っ頓狂な声を出してしまった。
 「・・・なに。お前は息子みたいなもんだからな。今日は久々に楽しかったし、金はいらないよ」
 「でも、シュパーゲルって・・・」
 「高いってか?遠慮しない。・・・な?」
 「マックス見てるとね、息子が戻って来たみたいで嬉しいのよ。だから遠慮しないで来てね」
 「そうさ。今度またこの店に来た時に友達でも連れて食べに来てくれりゃいいさ」
 そう言われて、私は頭を下げた。
 「済みません。お言葉に甘えさせて頂きます。じゃ、明日の朝・・・また宜しくお願いします」
 2人に見送られて私は店を後にした。




 翌日は6時に起床。
 時間的にレストランからホテル戻って着替える余裕はなさそうだと判断して、軍服を着て、私服をボストンバッグに押し込んだ。
 駐車場まで行って、トランクにそれを入れてから外に出た。


 昨日はホテルに戻った途端にまた雨が降り始めて、明け方近くに漸く上がったのだった。
 全く、雨は鬱陶しいが、今日は澄んだ空気で、良い一日になりそうな気配だった。
 そして、足早にレストラン「新灯台<ノイエ・ロイヒトトゥルム>」に向かった。
 店の2階と3階が居住スペースだ。



 「おはようございます!」
 「おはよう、マックス」と親父さん。
 「おはよう、マックス。あら・・・今日は軍服?」と女将さん。
 「うん・・・ホテルに戻って着替える時間はなさそうだから」と私は頭を掻いた。


 優しい笑顔の2人。
 焼きたてのツヴィーベルブロートの香ばしい香りがキッチンから漂う。
 私の心はウキウキと弾んだ。
 ちょうど良く茹で上がった卵、温かいミルクは、まるで2人の心そのものだ。
 私は勧められるままに椅子に腰掛けて、背もたれに上着を引っかけた。


 「マックス、チーズはどうかしら?いるなら切り分けるけど」
 「ブロートと卵だけでいいよ。昔から朝は少ししか食べられなくて・・・」
 「そうなのか?食わないともたんぞ・・・」
 「うちにいた頃も、ブロートと卵だけだったんだ。・・・じゃなかったら、丸茹でのジャガイモに塩と胡椒をかけてとか・・・」
 「まぁ、そうなの?ジャガイモも茹で立てがあるのよ。マックスの口に合えばいいけど。・・・卵は半熟で良かったのかしら?」
 「半熟も硬いのも好きです」
 「そう。うちの人は半熟に拘るから、茹で時間に煩くて面倒なのよ」


 女将さんの楽しそうな笑顔。
 その笑顔に私もつられてしまう。


 「今日はね、ヘレ・ミルヒツェプフェも焼いたのよ」
 「え・・・本当に?豪華だね・・・」


 ミルクたっぷりの朝食用のブロートで凄く美味しかった。
 私は大食漢でもないのに、子供みたいに夢中で食べた。
 実際、こんなに美味しい朝食は久し振りだった。
 私が食べる姿を見て、親父さんは苦笑している。


 「息子もブロートが好きで良く食っていたよ。今のマックスみたいにな大口を開けてな・・・」
 「大口って・・・」


 私は食事をやめて親父さんの顔を見ると、「ゲアハルトもお前みたいに大口開けて美味そうに食ってたな・・・」と目を細めた。
 一人息子を亡くした後、こうやって2人だけの食事を長い間続けているのか・・・そう思うと、私はちくりと心が痛んだ。


 「どうした?」
 「凄く美味しいから嬉しくて。それに、ちょっと昔を思い出してね。・・・うちも、こんな感じだったから」
 「そうか。マックスの故郷の惑星は何と言う所だったかな?」
 「・・・ディンケルスビュール。凄く辺鄙だし、多分、聞いた事ないよね」
 「あぁ・・・お前と会うまで聞いた事がなかった」
 「凄い辺境だからね。領主のディーゼル男爵は、オーディンにも土地はあるのに辺境暮らしでさ」
 「へぇ・・・珍しいわね、そういう貴族って」
 「・・・やっぱりちょっと変わり者だよな」


 辺境惑星の場合、自ら管理せず、信用のおける代理人を領主にする事が多いのだ。
 けれど、ディーゼル男爵は辺境暮らしが気に入って・・・ずっと、ディンケルスビュールにいたのだ。
 そして、フォーゲル子爵の親戚だった。


 「そう言えば、男爵は恩人なんだろう、マックス?」
 「・・・まぁね。士官学校に行きたいって作文を書いた時、それが優秀賞を取ったので、男爵に軍人志望とは見上げたモノだって言ってくれてさ」
 私はミルクを飲んだ。
 「しがない農夫の息子にオーディンまでの旅費を出してくれたしね。うちの惑星の出身者は殆んどが徴兵で軍人になるんだ。定期便が無いしね。それに徴兵された場合、除隊後は、一部の例外を除いて農業やる人ばっかりだから」
 「例外?」
 「商業関係とかね」
 「なるほどな。それにしても、領主が凄く物分りのいい人なんだな」
 「うん。士官学校に入りたいって言ったら、たまたまなんだけど、男爵がオーディンに行く際に、男爵家の艦に乗せて頂いたんだ。勿論、着くまでの間、下働きをしたけど・・・お客さんじゃないから」
 「良かったわね、マックス」
 「うん、恵まれている方だよ。フォーゲル子爵も気難しかったけれど悪い人じゃなかったしね」


 私は昔をふと思い出しながら、残りのミルクを一気に飲み干した。 
 最近になって知ったのだが、フォーゲル子爵はリップシュタット戦役後は、領地の一部を帝室に返納し、隠遁生活を送っているらしい。


 「そうそう、今度の戦いの後で・・・俺、見合いをする事になったんだ」
 「まぁ、そうなの!?」
 「う・・・女将さん、嬉しそうだね」
 「マックスは息子同様だから他人事とは思えなくて。とっても嬉しいわ。・・・ご両親も喜んだでしょ?」
 「うん。お見合いOKの時点で、もう、すっかり、婚約モード」
 「あらあら・・・」
 「まだ、相手に会ってもいないのに」
 「きっと離れている分、ご両親は心配なのよ。それに、お年を召しているって言っていたでしょ?」
 「あ・・・あぁ・・・」
 「それに、今までは・・・マックス、あなた、いつも、お見合い断っていたでしょ?きっと、承諾だけでも嬉しいものよ」
 「そうかなぁ・・・」 
 「そういうものよ。あなたと漸く接点が持てるんだし」
 「そうかなぁ。まぁ、一度くらいは言う事を聞いて見合いしてもいいかな・・・って。親孝行って感じ?」
 「そうね・・・いい事したじゃないの」
 「うん・・・。あ・・・と。7時過ぎたな。大将閣下を迎えに行く時間なんだ・・・」


 すると女将さんは席を立ち、大きな袋いっぱいに、焼きたてのブロートを詰めてくれた。


 「・・・こんなに・・・いいの?」
 「今日のお昼には宇宙なんでしょう?お腹が空いたらこれを・・・ね」
 「ありがとう・・・」
 「これだけあれば他の人にも分けあげられるでしょ?・・・多少日持ちもするように作ったから」


 袋を受け取りながら、まるでピクニックに行くような気分に襲われたが、私はあまりの有り難さに、思わず、涙が出そうになった。
 焼きたての温かさ・・・それ以上に、女将さんの心温かい人柄が感じられるブロートだった。


 私は久々に忙しさから解放されたような気分だった。
 親父さん達に会うと、凄く短い時間でも充実した時を過ごせる。
 そして、故郷の事、両親の事・・・色々な思いが走馬灯のように駆け巡る。


 だから、今回の戦いが終わったら、また、ここを訪ねようと思った。
 親父さんの言うように沢山の同僚達を連れて。
 この作戦が上手く行けば、多分、5月頃には戻れる筈だ。
 その時はまた、思いっきり、美味いシュパーゲルを食べよう・・・。


 さて、ホテルに戻るか・・・。
 ブルック少尉とはロビーに7時20分に待ち合わせだし。
 おっと、その前に車を駐車場から出さなきゃ・・・。




 Das Ende                        




 ケンプの副官、ルビッチ大尉の物語ですが、最初に書いたのは10年ほど前です。 
 内容を変えずに大幅に書き直すか・・・って思ったのですが、内容自体は、わりとそのままにして、変えたのは文体とか・・・色々。


 ルビッチの経歴とか、フォーゲルとのくだりとかを新たに書き足してみました。
 原作に全く出て来ないと言っていいほどのマイナーなルビッチさん。
 だから、好き勝手に描けるってのがあるんで。(書く・・・じゃなく、描くって感じです)
 まぁ、殆んど出なかったのはフォーゲルも一緒で、アスターテ会戦以降の事が分からなくて、リップシュタット戦役で貴族連合軍にいるという記述もなかったので、勝手に子爵家の嫡男にして・・・経歴を作り上げました。
ファーストネームに、エーベルハルトってのも作ったし^^


 とにかく、アスターテ会戦に参戦した将官の中で1番地味だったのがフォ-ゲルさんでしたから。
 エルラッハは早々に戦死したので悪目立ちしていたけど、フォーゲルはホントに地味。
 可哀想に、舞台版の「銀河英雄伝説」でも、フォーゲルは割愛されていました。
 まぁ、あの舞台は・・・ファーレンハイトも割愛してくれましたから・・・ううう。(ファー様は出して欲しかったぞ~!)


 私的には、これは駄作に近いのですが、捨てるには惜しいし。
 これを捨ててしまうと、「つかの間の休暇」との連動も出来ないし、うう・・・なんだかなぁ・・・って感じです。


 「シュパーゲル」はホワイトアスパラで、日本では、「缶詰」のイメージが強いですが、ドイツではマジに旬の味覚だそうです。
 日本だと北海道の富良野辺りで栽培されているそうですが、グリーンアスパラに比べて、需要が少ないみたい<ナマでの・・・。
 大型スーパーで、たま~に見かけますが、高いです・・・。
 他からでも時期をずらせば入るのに、わざわざ「ドイツ産」・・・拘りですね。
 ただ、缶詰・・・気を付けないと、安いのは殆どが中国産・・・。

 日本が、「国内産松茸」に拘るのと一緒ですが、驚いたのが、ハンブルクでの品種名ですよ。
 品種名だから、日本の米の「こしひかり」とか、いちごの「とちおとめ」のようなヤツですが、その名もズバリ・・・「ブラウンシュヴァイクの誉れ」と言うのです!


 どわ~!
 思わず吹きましたね・・・。
 あ・・・一瞬、凄く誇らしげな公爵の顔が見えた気がします・・・まるで公爵御用達ですよね!?
 きっと、あの公爵領でしか取れない高級珍品で、門閥貴族に大人気の品種なのでしょう・・・。
 これを、笑うのは銀英伝のファンだけだな・・・。


 最後に・・・タイトルの「2時間10分」は、ルビッチが、店で過ごした時間(夜と朝)の合計です。 










 宇宙暦791年(帝国暦482年)9月・・・。


 この年、士官学校を卒業したマクシミリアン・ルビッチは、難攻不落と謳われている銀河帝国軍最前線の基地のイゼルローン要塞の駐留艦隊に配属になった。
 この翌年、自由惑星同盟と名乗る叛乱軍との第5次イゼルローン要塞攻防戦で善戦し、多くの同僚達が味方の要塞砲の巻き添えになる中、要塞への生還を果たして中尉に昇進した後、首都星のオーディンへ帰還する。
 そして、当事、後方勤務から艦隊司令官に就任したばかりの、エーベルハルト・フォン・フォーゲル中将の副官となったのだった。


 フォーゲル中将は、30代後半で、自身が子爵家の嫡男という身分だった。
 それまで大した実戦経験もない彼が艦隊司令官に抜擢された理由は幾つかあったが、後方勤務が長かった為、子爵家の家名を継ぐのに相応しい役職を・・・と、彼の周りや、勿論、彼自らが求めた為の、超越人事が働いた為であった。
 つまり、将来フォーゲル子爵家を継ぐ為の、明らかな“箔付け”の人事であり、経験も少ないのに艦隊司令官に抜擢されたのだ。
 そこで、実戦経験がある副官が幾人か候補に上がったのだったが、ルビッチが平民にも関わらず選ばれたのは、彼の故郷の惑星に関わりがあった。


 “ディンケルスビュール”と言う名の辺境惑星を治めている領主は、ディ-ゼル男爵であったが、フォーゲル子爵家の親戚であった。
 ルビッチが士官学校に入学する際、辺境故に定期便が無い為、ルビッチは領主を頼った。
 ディンケルスビュールの若者の殆どは懲役制度で軍に入る物が殆どで、士官学校に入る者は珍しかった為に男爵は「見上げた若者だ」と、男爵家の艦がオーディンに行く際に、ルビッチは一緒に乗せてもらったのだった。
 勿論、オーディン到着までその艦の下働きも受け持ったが。
 そして、男爵の紹介状を持って士官学校に入学したのだが、それは平民としては極めて珍しい経歴である。
 そんな経歴があったので、フォーゲルはルビッチを副官に任命したのであった。


 宇宙暦796年(帝国暦487年)2月のアスターテ星域会戦・・・。
 開戦当初、銀河帝国軍の布陣は、自由惑星同盟軍のほぼ半数でしかなかった。
 下手をすれば「戦死」と言う、極めて困難な戦況。
 当初は、フォーゲル中将は撤退を仄めかすシュターデン中将に賛成していたが、結果は大方の予想を覆し、撤退せずに各個撃破の策を打って出た帝国軍の圧勝となった。



 この会戦の総指揮官は大将であるローエングラム伯ラインハルト。
 まだ若い大将の手腕は、他の指揮官達の意表をついていた。
 包囲されているように見えた帝国軍が、まさか各個撃破をしてくると思っていなかった同盟軍の間隙を突いての圧勝。
 ラインハルトは、皇帝フリードリヒ四世の寵愛を受けているグリューネワルト伯爵夫人の弟なので、門閥貴族達からは、「スカートの中の大将」だの「金髪の孺子<こぞう>」だのと揶揄されていたが、とにもかくにも、大将閣下の作戦案が当たって、帝国軍は今のところ・・・勝利していた。
 負け戦を予想していたフォーゲル中将はホッと胸を撫で下ろした。
 そして、中将の厚意で、艦橋の要員全てに白ワインのグラスが手渡された。
 中将はグラスにゆっくりと口を付けた。


 「ところで・・・ルビッチ。卿は我らの勝利を予想していたか?」
 「いえ、全く予想しておりませんでした。ですが、司令官閣下の作戦は、逆転の発想かと思われます。・・・敵の裏をかいたのですから」
 「なるほど、逆転か・・・。鮮やかな手腕であったな。私も・・・姉の寵愛だけで成り上がったのかと思っていたが・・・巷の評価とは少し違うようだな」
 「・・・と言われますと?」
 「卿も知っておろうが、私はこの会戦に合わせて後方勤務から艦隊司令官になった。今回の会戦の後は軍務から退く予定だが・・・。それでな、今回初めて大将閣下の手腕を目にしたのだが、姉の寵愛があるからとの理由だけでこれほど昇進出来る訳が無い。第一、このような意表を突いた指揮となると凡人には考えもつくまい。シュターデンには申し訳ないが、彼は大将憎しで少々頭が固くなっているのではないかと思う。・・・ただ、私自身は大将閣下に闇雲に盲従するつもりもないし、かと言って、あのシュターデンの肩を持つつもりも毛頭ない。・・・故にな、一歩下がって中立の立場でいようと思うのだ。ルビッチ、卿はそれをどう思う?」
 「・・・中立ですか。それが宜しかろうと小官も愚考致します」


 その後、当初の予定通り、フォーゲル中将はすぐに除隊して、家督を継ぎ、フォーゲル子爵として新たな一歩を踏み出す。
 それに伴いルビッチ中尉も子爵の推薦状を得て大尉に昇格・・・晴れて、副官の任を解かれた。
 ・・・その翌年に起こったのが、リップシュタット戦役である。


 当初、ルビッチ大尉は、貴族連合軍の艦隊司令官の1人であるシュターデン中将の副官を拝命した。
 理由は、元フォーゲル中将の副官だったから・・・だった。
 ところが、ルビッチは拝命直後に重度の胃潰瘍となり、軍病院への入院を余儀なくされ、シュターデン中将の副官は、門閥貴族出身の、士官学校を出たばかりの新任士官が受け持つ事となった。


 そして、多くの門閥貴族達はオーディンから脱出し、ブラウンシュヴァイク公の下、ガイエスブルク要塞に終結。
 因みにフォーゲル子爵は、アスターテ会戦でラインハルトの手腕を目にしたばかりだったので、本当に中立を決め込んで、当初はどちらの側にもつかなかった。
 そして、戦役が始まるや否や、いち早くローエングラム陣営に与し、子爵家が取り潰される事を寸でのところで免れた。

 
 一方、病を得たルビッチ大尉は、治療に専念し、リップシュタット戦役当時は軍病院の白い壁の中で生活し、戦役終結と同時に退院した。

 紆余曲折あったが、ルビッチ大尉は、宇宙暦798年(帝国暦489年)1月・・・。
 彼はローエングラム陣営に迎えられ、ケンプ大将の副官となった・・・。







 このところの忙しさは尋常ではない。
 食事、睡眠、トイレ、シャワー等の、『生理的現象』以外は殆ど軍務という忙しさであった。
 何しろ、やるべき事は山積み・・・睡眠もタンクベッドを使用して2時間程度という、ギリギリのラインなのだった。
 オーディンでも要塞の中の作業でも、とにかく、忙しさは激しくなる一方だ。
 まるで戦闘中・・・いや、むしろ、戦闘の方が昂揚感があるだけマシかもしれない。
 食事も「かき込む」という表現がシックリくる凄まじさだ。
 駄な時間を作らない為、味気無い固形食糧を齧りながらの作業等は本当に余裕が無く、なんとも味気ない。
 さすがの私も驚いたが、誰一人文句も言わなかった。


 どんな前線でも、貴族の上官ならこんなに忙しかったらとっくに怒り出し、部下に理不尽な振る舞いをしたりする。
 自分だけでも豪華な食事を要求したり、女を暗黙裡に連れ込んでいたり・・・というのを、私は経験上知っていてた。
 あのフォーゲル中将とて、食事には煩かったし、いつの間に連れ込んだのか、司令官室に金髪美女がいた事もある。
 しかし、ケンプ閣下の場合は、自身も皆と同じ食事をされ、しかも文句を言う事もない。
 それを見て、ルビッチは、今までの上官が如何に傲慢であったかを思い知らされた。



 今年1月のリップシュタット戦役後・・・。
 次がどうなるか不安だった私も、漸く、カール・グスタフ・ケンプ大将閣下の副官を拝命してホッとしていた。

 閣下は艦隊司令官として、統率力も勇気も非凡であり、なおかつ、公正明大な人格者だった。
 考えてみれば、初陣から後、貴族の上官ばかりであった私が、初めて仕える平民出身の将官だった。
 元々、空戦隊の出身で撃墜王だったケンプ大将閣下は、実にさばさばした性格だ。
 暗いところが微塵も無いのも、今までの上官には無かったもので、私にとっては、とても有り難かった。


 さて、ここのところの尋常ではない忙しさの発端は、シャフト技術大将の発案のせいであった。
 彼がローエングラム元帥閣下に提出した作戦案が、とんでもないシロモノだったのである。

 最初、閣下から作戦内容を聞いた時、集められた幕僚の誰もが、あんぐりと口をあけてしまった。
 皆、質<たち>の悪い冗談だと思い、苦笑しかけたほどだ。
 だが、閣下は冗談はお嫌いではないが、このような席で軽口を叩かれるような人では無かった。
 皆、そう理解していたからこそ、「・・・言っておくが、これは冗談ではないのだぞ。それだけは肝に銘じておけ」と閣下が作戦計画書を手にされると、水を打ったように静まり返ったのである。


 リップシュタット戦役の貴族連合軍本拠地だった・・・ガイエスブルク要塞。
 ローエングラム元帥閣下を身を挺して守り、キルヒアイス上級大将が暗殺者の手によって斃れた、血塗られた・・・あの不吉な要塞。
 それを武器として使う案自体は大した事ではない。
 が、元帥閣下はあの要塞を自分の周りから放置したかったのでは?と、私は愚考していた。
 だが、本当のところはどうなのだろう?


 放棄された要塞を修復し、輪状に12個のワープ・エンジンを取り付けて同時作動させる。
 そして、それをイゼルローン要塞の前面にワープさせる・・・。
 要は、イゼルローン要塞が難攻不落の要塞ならば、それに匹敵する要塞を造ればいい。
 しかし、新たに造るよりも、既存の物を再利用する方が得策・・・これが、シャフト技術大将が元帥閣下に提出した作戦案だった。
 ガイエスブルク要塞にも、イゼルローン要塞の要塞主砲「雷神の槌(いかづち)<トゥール・ハンマー>」に匹敵する「ガイエス・ハーケン」という要塞主砲が装備されている。
 要塞対要塞の図式で、叛徒共に占拠されっぱなしになっているイゼルローン要塞を取り戻せば良いのだ。
 しかも敵を動揺させ、これを一気に殲滅出来れば、味方の犠牲も少ない筈だ。
 取り戻したイゼルローン要塞がたとえ使い物にならなくとも、苦労してワープさせてガイエスブルクを、そのままの宙域に、第二のイゼルローンとして登用する事も可能だと思われたのだ。

 実際に、ガイエスブルク要塞主砲、「ガイエス・ハーケン」は強力だった。
 イゼルローン要塞の「雷神の槌(いかづち)<トゥール・ハンマー>」に匹敵する威力を持つ。
 だから、ガイエスブルクをイゼルローンの後釜として、帝国軍の拠点にも出来ると、シャフトは自らの作戦案を元帥閣下に売り込んだのだ・・・。


 元帥閣下は最初は無視しようとしたが、確かに、シャフトの言うように、新しく要塞を造る莫大な費用と時間を大幅に短縮出来るので、確かに利点ではあると思い直し、作戦は実行に移される事になり、我々はその準備で目の回る忙しさなのだった。
 それにしても、何と、荒唐無稽な作戦案であろう!


 そして、この作戦の最高司令官に抜擢されたのはケンプ大将閣下で、副司令官を拝命したのがミュラー大将だった。
 同じ大将の中では席次もミュラー大将は一番年若い。




 「この作戦、本当に大丈夫なのでしょうか・・・」


 不安そうな表情を全身に貼り付けて閣下に質問したのは、参謀長のフーセネガー中将であった。
 幕僚の中でも一番生真面目な中将は、不安な気持ちでいっぱいの、幕僚達の代弁者だった。 


 「卿は相変わらずの心配性だな。まぁ、大丈夫だろう。使えない案なら、シャフトの奴が作戦案を提出した段階で切られている筈だ」
 「・・・それはそうですが・・・」
 「あの元帥閣下が許可されたのだ。それなりの・・・の効果があると思っていいだろう。そう思わないとやってられん。俺はシャフトのヤツは大嫌いだ。尊大で鼻もちがならん奴だからな。だが、この作戦は・・・効果はあると思う・・・それだけは認める」
 「・・・まぁ、多少の効果はあるでしょうが・・・」
 「いいか。敵は、あのヤン・ウェンリーだ。奴は難攻不落のイゼルローンをいとも簡単に落したのだ。それに奴は何を考えているのか・・・それが読めないから腹立たしい。アムリッツァでも、妙な艦隊運動を繰り返したりして・・・あやつにしてやられたではないか!」


 閣下は声を張り上げられて、私達をゆっくりと見られた。
 私達は緊張の中で閣下を見つめる。

 “難攻不落”と言われているイゼルローン要塞が敵の手に陥ちた時は、帝国中がその話題で持ちきりになり、一般の平民までもが「銀河帝国は神聖不可侵ではなかったのか?」と大騒ぎだった。
 あの要塞が陥ちるなど考えてもいなかったし、軍関係者は誰もが死を予感したほど凍りついたものだ。
 そして、アムリッツァ・・・私は幕僚ではなかったが、確かにケンプ艦隊は同盟軍の第13艦隊相手に翻弄されたと聞いている。
 その、第13艦隊の司令官が・・・ヤン・ウェンリーだったのだ。


 「誰もが想像のつかぬ詭計の類はヤンの奴の十八番<おはこ>だから、この際、我々も正攻法に拘らない斬新な作戦が必要なのだ」
 「でも・・・」
 「派手にやるのも1つの手だ。時には目くらましも必要だろう。・・・それとも卿は、正面からあの要塞の再奪還が可能だと思うか?」


 詭計の類が嫌いな閣下が、このような作戦に真剣なのが珍しいのだろう。
 フーセネガー中将は暫く思案していたが、要塞主砲の威力を熟知しているから、溜め息を付いてかぶりを振った。 


 「・・・小官如きの愚頭では全く考えつきません。確かに派手にやるのも手でしょうね・・・」
 「そうだろう?」
 「まさか奴等も、我々が要塞ごとワープすると思わないでしょうし・・・」
 「そう・・・そこだ。そこにやる価値はある訳だ」
 「確かに価値はあります。しかし、ワープが成功すれば・・・の話ですが」


 フーセネガー中将はあくまで慎重だった。
 慎重すぎるぐらいに・・・。


 「まぁ、この作戦自体が、あのシャフトの案なのが引っ掛からないでもないがな・・・。でも、決裁したのは元帥閣下だ。それ故にワープは成功してもらわねばならん。シャフトも成功の算段があるからこそ作戦案を元帥閣下に具申したのだろうしな」
 「閣下・・・」
 「・・・奴等にしても、我々がそこまでやるとは思うまいよ」


 閣下はにやりと笑われた。
 こういう顔をされた時は自信がお有りなのだ。


 「敵がパニックに陥ってくれれば、我々の思惑通りで攻撃も仕掛けやすい」
 「引っ掛かりますかな・・・」
 「幾ら、あのヤン・ウェンリーが凄かろうが、そこまでは予測出来まいよ」
 「はぁ・・・」
 「シャフトの話では、要塞の周りに12個程度の巨大ワープ・エンジンを付けるらしい。これで凄まじい出力が得られるそうだ」
 「・・・12個ですか・・・」
 「要塞を動かす事は理論的には可能らしい。後は指揮官の統率力と、この作戦実施能力だろう」


 閣下は含み笑いを浮かべられた。
 作戦実施能力と統率力ある指揮官・・・。
 なるほど、それなら、閣下にぴったりだ。


 「・・・で、閣下が司令官で、副司令官がミュラー大将閣下なのですね」
 「あぁ、そういう事だ」
 「しかし、これだけ大規模な作戦案。我々でやるのは凄い事ですが・・・」
 「何だ・・・他にも言いたい事がありそうだな、フーセネガー」
 「普通に考えると、ここまで大掛かりな作戦となると、ロイエンタール、ミッターマイヤーの両上級大将に話が行きそうですが・・・」
 フーセネガー中将はそんな事を言って首を捻っていたが、自分の失言に気付かれたのか、慌てて「あ・・・申し訳ございません!」と頭を下げた。
 しかし、閣下はそれを咎め立てなさる事はなかった。
 「・・・そう考えるのも無理はない。しかし、有り難い事に、元帥閣下ご自身のお考えの上でのご指名だったのだ」
 「ご指名・・・」
 「それに上手く行けばお前達も昇進は間違いないぞ。・・・きっと、まとまった休暇だって取れるだろう」


 元帥閣下からの勅命だった事が、閣下には大きな喜びのようだ。
 そう言われて我々幕僚も安堵し、やがて全員に笑みが広がった。
 このところ休暇が全く無かったので、それに反応したのは仕方がない。
 中でも、「休暇」という言葉に、一番、反応を示されたのはフーセネガー中将閣下だった。
 大将閣下より3歳年下の中将閣下は、昨年末に結婚されたそうだ。
 だが、忙し過ぎて、新婚旅行はまだらしい。
 結婚式に列席した幕僚の話では、お相手の女性は、中将閣下より10歳も年下なのだそうだ。
 長い黒髪のエキゾチック美人で、大柄で髭面の中将と並ぶと、まるで「美女と野獣」だそうだ。
 ・・・休暇が出たら、きっと新婚ホヤホヤの奥方と旅行に行くのだろうか・・・。


 恋人どころか、片想いを募らせる相手もいない私には何とも羨ましい話だ。
 しかし、今、私に必要なのは、女性にうつつを抜かす事ではない。
 リップシュタット戦役での、貴族連合軍からの投降者という不本意なレッテル・・・。
 これを拭い去る事の出来る最大の正念場。
 私は、この作戦に賭ける上官に付いて行くしかないのだ。



 ガイエスブルク要塞のワープ実験を前に、大将閣下はオーディンに帰還した。
 経過報告の為に帝国軍最高司令官、ローエングラム元帥閣下の元に出頭した際に、元帥閣下より、たったの半日だけだが、休暇が出されて、大将閣下はご家族に会う為にご自分の官舎に帰られたのだ。


 私は元帥府で地上車<ランド・カー>を借り、降りしきる雨の中、官舎に戻ると言う閣下を送って行ったのだった。




後編に続く。








 翌日の午前7時20分・・・。


 宿泊しているホテルではなく、外の店で朝食を済ませ、ホテルの地下駐車場から地上車<ランド・カー>を出した。
 表に車を止めてロビーに行く。
 今回の随員の一人の新米士官のブルック少尉が既にロビーにいた。


 「大尉どの、おはようございます!」


 ブルック少尉の威勢の良い声と敬礼に苦笑しながら、私も敬礼を返した。
 私は地上車<ランド・カー>が外にある旨を伝え、彼をホテルから連れ出した。
 ブルック少尉が運転席に、私が助手席だ。
 貴族などの貴人、公人が乗る公用車は、人の手を借りた手動運転が主流だ。
 コンピュータ任せの運転が悪い訳ではない。
 無人タクシーや個人的な地上車<ランド・カー>なら何の問題もない。
 でも、貴族や公人を乗せる場合は機械任せの運転は失礼になるらしい。
 それに自動運転中は、ヘッドライトやテールライトの脇にある緑色のライトが点滅している為、自動運転だと、すぐに分かってしまうのだ。


 「ところで・・・卿は食事をしたのか?」
 「いえ・・・。ギリギリに起きましたので・・・」


 どうやら、ブルック少尉は寝坊をした為、ちゃんと朝食を取っていないらしい。
 私はやっぱりな・・・と思い、脇に置いていた袋に手を掛けた。


 「・・・これ、食うか?」


 私はツヴィーベルブロートを紙袋から取り出した。
 ・・・食欲をそそる、何とも言えぬ香りが車内いっぱいに広がる。


 「・・・良い香りですね」
 「食っている間は、オート・ドライブに切り替えておけよ」
 「はい!」


 余程、腹が減っていたのか・・・。
 ブルック少尉は袋の中にあったブロートをあっという間に食べきった。


 「大尉どの、これ、凄く美味しいです。まだ温かいし、手作りのようですが、まさか、大尉どのの恋人とか・・・」
 「卿は何か勘違いしていないか?これはホテルの近くのレストランのヤツだ」
 「あ・・・そうなんですか」
 「駆け出しの頃に良く行っていた店でね。懐かしさを感じる店だ。・・・亡くなった息子さんに俺が似ているらしくて、何かと良くしてくれるんだ」


 私の話を聞いていた少尉は、急に押し黙ってしまった。
 私は首を傾げる。


 「・・・どうした?」
 「昨日、実家に帰ったのですが、母に泣かれてしまって・・・それで居たたまれなくなって、結局、ホテルに泊まりました」
 「そうか・・・」
 「あの・・・大尉どのはどれぐらいご家族と会っていらっしゃらないのですか?」
 「どれぐらい・・・って。従軍しては帰っていないから、かれこれ6年は会っていないな。いや、士官学校に入ってからだから、10年近くは帰ってない

なぁ・・・」
 「そんなに・・・!」
 「あぁ・・・。帰るにも凄い辺境の惑星だからな。何しろ、ちゃんとした定期便とかないぐらいなんだ」
 「じゃぁ、小官は恵まれていますね。実家がオーディン市内ですから・・・」
 「そうだな。・・・おい、じきに閣下の官舎だ。・・・帰りの運転は手動にしろよ」

 「許諾<ヤー>」


 結局行きは自動運転だった。
 機械は四角四面な慎重な運転をする為、閣下の官舎に着くのに倍の時間がかかってしまった。


 7時50分をほんの少し過ぎて、何とかギリギリに閣下の官舎に到着した。
 私はブルック少尉を車内に残し、官舎の呼び鈴を押した。

 すぐに、ケンプ夫人が姿を見せた。


 「おはようございます。小官は閣下の副官のルビッチ大尉であります」
 「・・・すぐに呼んで参りますので、少々お待ち下さいませ」


 夫人が中に戻って暫くすると、閣下が出てこられた。
 2人の息子さん達が精一杯の背伸びをして、一生懸命に手を振っている。
 夫人は手を振ってはおられなかったが、私と目が合うと僅かに会釈をされた。
 その時、夫人の表情の中に一瞬だけ・・・悲しげな影が見えた。
 これから暫くは夫婦離れ離れの生活になる。
 閣下は子煩悩でそして愛妻家・・・夫人の気持ちを考えたら、私は何とも言えない気分になった。


 「今日の運転はブルック少尉です、閣下」
 「ほう・・・それなら、卿は今日は後ろに乗れ」
 「え・・・小官も後ろにですか?」
 「あぁ・・・」


 私は驚いたが、閣下に従った。
 少尉に告げた後、後部座席に閣下と向かい合せに座った。
 後部座席と運転席の間には仕切りがあって、防音が装備されていて、通信さえ行わなければ、完全にプライバシーが守られる造りになっている。


 手動運転の為なのか、少尉の運転技量が悪いのか、雨続きでぬかるんだ道が悪いのか・・・。
 私が辟易したのは、車窓にはね上げられた大量の泥だった。


 「・・・こんなに泥はねさせるなんて・・・」


 私は窓に張り付いた泥に思わす呟き、深い溜息を吐いた。
 おまけにこの泥、粘質タイプらしく、窓にベッタリと張り付いて・・・厭な模様を描き出している。
 それにしても凄い泥はねだ。
 私も昨日この道を運転したが、ここまでの泥はねはしていない。
 もしかしたら、少尉は運転が下手なのかもしれない。


 「あぁ・・・これは酷すぎます。途中で泥を拭いた方がいいようですね。止めて拭いても宜しいでしょうか、閣下」


 いくら何でも、大将閣下が乗る公用車がこれではみっともない事甚だしい。
 今までの上官なら、ガミガミと怒り出しているところだ。
 閣下もこの凄まじい状況に、ご機嫌を損ねていないかと、冷や汗をかいた。


 「・・・あぁ、このぬかった道を過ぎたらな。この辺りの道路は舗装されていないからな。今は何度拭いても無駄だろう」
 「しかし・・・」
 「タイヤが取られないだけマシというものだ。それから、途中で拭く事は無い。このまま宇宙港へやってくれ」
 「許諾<ヤー>」


 泥はねの度に拭いても埒が明かないという事か。
 閣下は意外と我慢強いらしい。
 それに、閣下の言われるようにタイヤが取られないのは確かにマシだった。


 暫く走っていると、閣下が急に目を瞑られて胸を押さえられた。
 私は一瞬、どこかお悪いのかと思った。


 「・・・あの、閣下・・・お具合が悪いのですか?」
 「いや、どこも悪くないが。・・・どうしてそう思うのだ?」


 怪訝そうな表情である。

 私は不安になりながらも思っている事を口にした。


 「いえ、その・・・。胸を押さえていらっしゃるので・・・」
 
 私の言葉に閣下は苦笑される。
 私は何で笑っておられるのかさっぱり分からず、眉を顰<ひそ>めてしまう。


 「・・・なに、どうという事はない。・・・ここには、俺のラッキー・アイテムを入れてあるんだ」
 「ラッキー・アイテムですか。それは、験かつぎみたいなものですか?」


 私の友人にも験をかつぐ者がいる。
 戦闘中は絶対に髭を剃らないとか、水晶や誕生石を等を身に付けるとかだ。
 中には戦闘中、ずっと靴下を履き続けると言う同僚もいた・・・。
 そいつが靴を脱ぐ度に嫌な臭いがしたものだからハッキリ言って迷惑だったが、「これは勝利を祈っての験かつぎなのだ」と言われたら、他の人達もそれ以上は何も言えなくなったっけ・・・。
 私はそういうモノは身に付けないが、強いて言えば、戦闘中のコーヒー断ちが験かつぎみたいなものだ。


 「・・・あぁ。これを身に付けて戦場に出ると必ず良い事が起こるんだ」
 「そんな物があるのですか?」
 「今まで戦死しなかったのは、こいつのお陰だ。・・・見るか?」
 「はい。拝見させて頂きます」


 閣下が胸ポケットから取り出されたのは、小さな一枚の写真だった。

 今時、ホログラフィではない、紙焼きの写真とは珍しい。
 新聞や雑誌等の暫定的なモノは別だが、殆どの写真はホログラフィが主流だ。
 回顧趣味の風流人や貴族はカメラを持っているだろうが、私は触った事もない。


 「これは・・・紙焼きの写真ですね。さすがに今ではあまり見かけませんが」
 「あぁ・・・。だが、紙焼きの写真には味わいがある」
 「カメラ自体も骨董品で、かなり値が張りますしね・・・。これはご家族のお写真ですか?」


 写真の中での夫人と、二人の息子さんはにこやかだった。
 夫人が抱いているのは赤ん坊で、もう一人の子は幼稚園児という感じだ。
 現在、閣下の息子さんは8歳と5歳だというから、かなり前の写真だろう。
 夫人は今も美人だが、写真の中の夫人は若々しかった。


 ・・・幸せな家族の風景だった。


 この写真を写されたのは、閣下ご自身だろうか・・・。
 どちらにせよ、閣下はこれをいつも持ち歩かれているのだ。
 フーセネガー中将の言葉通り、閣下は愛妻家だと言う訳だ。


 「なぁ、卿は結婚は・・・」


 あまりにも唐突な閣下の言葉。
 最初は何を言われたのか読めず、ポカンとしてしまった。
 が、私に対してだと気付いた時、何をどう言えばいいのか戸惑った。
 ハッキリ言って、緊張で身体中の血がガチガチに固まった・・・ような感じだ。

 私には将来を誓い合った恋人はいないし、最近、故郷<くに>の両親に言われた見合い話でもするか。


 「・・・それが・・・。郷<くに>の両親は色々な話を持ってきまして」
 「ほう?」
 「忙しいと断っても断っても、全く聞いてもらえません」
 「なるほど・・・」
 「・・・そして、断れば断ったで、この子はどうだ?とか、あの子はどうだ?と、矢継ぎ早に話が来るので、困っていまして・・・。家に帰ると、両親から見合い写真付きのメールが20件近く届いていた事もありました」
 「心配なのだろうな、卿が。・・・しかし、20件か」
 「しかも、メールには『下手な鉄砲数打ちゃ当たる』とまで書かれていて、『これだけいれば、気に入った子が見つかるだろう。すぐに返事をくれ』とありました。小官は辺境惑星の出身なのですが、田舎者なのを小官が気にしていて、結婚出来ないのではないか・・・と考えているようでして・・・」
 「・・・気にしているのか?」
 「いえ・・・全くとは言いませんが、あまり気にした事はありません。でも、両親は心配みたいなのです。それが原因で良縁に恵まれないと思っている様子で。それで、いつまでも断っているのも親不孝な気がしましたので、今回の戦いの後に見合いをする事にしたのです・・・。
 「見合い!?」
 「両親にしたら、小官は遅く出来た子供だった為、将来の事を、色々考えているようなのです」
 「・・・親心だな」
 「結婚する気はなかったのですが、今回の見合いについては、親に強引に押し切られました・・・。しかし、定期便すらない辺境の惑星ですので、実家に帰るのは一苦労なのです。民間の小型機をチャーターしなくては行けませんし、申請を出すのも手間がかかって・・・」


 私は心の中で苦笑していた。
 実は朝立ち寄ったレストランでも、見合いの話をしたのだ。
 そして、閣下にも同じ事を話している。
 結婚は早いとか、断りきれないと言いながら、あちこちで「見合い」の話をしている自分は、かなりおかしいと言える。
 その時点で、既に「積極的」で、「前向き」ではないか・・・。


 「・・・それにしても、親ってのはどこでも同じだな。俺の場合も煩かった」
 閣下は昔を思い出されたのか苦笑している。
 「単なる見合いならまだ可愛いが、俺の場合は空戦隊だったからなぁ・・・」
 閣下は声を潜めた。
 「パイロットはいつ死んでもおかしくない状況だろう?艦砲射撃を食らえば、あっという間に宇宙の塵となる。・・・遺体どころか機体すら残らないからな。その前に、どこの誰とでもいいから子供を作っておけとか言ってな・・・」
 「え!?」
 私は絶句した。
 「孫が欲しかったんだろうが、母親の言葉は思えなかったな」
 「お母上の言葉だったんですか・・・驚きました」
 私は呆然としていた。 
 「・・・全くだ。言われた俺も思わず『なんだそれは・・・』って絶句したからな」
 「閣下はその当時、その・・・恋人とかいらしたのですか?」
 「ん?あぁ・・・当時・・・確かに恋人はいたさ・・・今の俺の女房だがな。俺が士官学校に行っていた時から付き合っていて・・・。それで、俺が25歳であいつが24歳の時に結婚したんだ。付き合いは長い方だろうな。・・・まぁ、卿も出来るだけ親孝行はしておけよ。大抵の場合は死んでから後悔するものだからな」
 「・・・はい、肝に銘じておきます」


 私は見るからにしゃちほこばっていて、閣下は苦笑されている。
 しかし、どこの誰とでも・・・って、本当に母親が言ったのなら凄すぎる・・・。
 そして、閣下と夫人が若い頃から愛をはぐくまれて結婚された事を知ったのだった。



 閣下はお疲れの様子だった。
 久々に家族と会うという大業の後で、プッツリと緊張の糸が切れたのか・・・。
 閣下は大きく深呼吸をされて、シートにもたれかかると瞳を閉じられた。


 オーディン郊外の宇宙港まではもう少しかかる。
 今度の戦いは一体どうなるのだろう?


 私はアスターテ会戦時、フォーゲル中将閣下の副官を拝命していた。
 戦後、フォーゲル中将は、子爵家の家督相続をされた為、私は配置換えになった。
 だが、その直後に病を得て、リップシュタット戦役当時は軍病院にいた。
 そして・・・今現在は、今はケンプ大将閣下の副官である。
 実を言うと、配置換えになった際、私はシュターデン中将の副官を拝命したのだが、今思えば、病気になって良かった・・・と。
 私が入院した為に、士官学校を出たばかりの新任士官がシュターデン中将の副官になったと、入院先で聞いた。
 あのまま、貴族連合軍にいたら、今・・・生きていられたかどうか。



 リップシュタット戦役で血塗られた、ガイエスブルク要塞と共に、イゼルローン要塞奪還する為に宇宙へとへ向かう。
 ・・・何故、今になってガイエスブルク要塞なのか。
 何か、途轍もない因縁を感じている。
 とにかく、あの要塞が、イゼルローン要塞に匹敵する火力を持つ事だけは確かだ。


 勝って戻れたら、休暇を願い出よう。
 見合いだろうが何だろうが、8年振りの故郷の土を踏もう。
 そして、領主のディーゼル男爵にも会い、今までの礼を言おう。
 士官学校に入れたのは、男爵のお陰だったのだから・・・。
 そんな事を考えながら、私は、窓の外を眺めた。



 ぬかるんだ道は過ぎたようだ。
 宇宙港へ着いたら、ブルック少尉と二人で、泥はねだらけの地上車<ランド・カー>の窓を拭かねば・・・。




Das Ende




 ガイエスブルク要塞のワープ実験を前にしたケンプとルビッチ。
 急に家に戻る事になったケンプ提督。
 それを副官のルビッチ大尉が送って行く。
 そして、翌日また迎えに行く・・・という設定です。


 某サイトで副官キャンペーンなる企画があった時、誰でも参加がOKだったのですが、目ぼしい副官は誰かしらが書いていました。
 このキャンペーンは2001年の6月でした。


 ロイエンタールの副官のレッケンドルフ、ミュラーの副官はドレヴェンツ、ファーレンハイトの副官はザンデルス、ミッターマイヤーはクーリヒ、メルカッツはシュナイダー・・・どれも、司令官が大物なので、副官も目立つ事・・・!!
 同盟軍で話を書いた人は、フレデリカだったり、スーン・スールで話を書いたりしていました。
 それで、どこかに副官いないかなぁ・・・って思っていたら、ルビッチの名前を発見したのでした。


 だって、ルビッチ大尉って原作では名前しか出て来なくて。
 それも、たった1回だけ・・・勿論、セリフだってありませんでした・・・。
 もう、物凄くマイナーなんだもの・・・。
 ケンプだって、3巻の途中で戦死してしまいますから、他の提督に比べてやっぱりマイナーなので、マイナー同士いいかも・・・が、この作品を書いたきっかけです。


 そして、今だから言うけれど、この作品を書いた事で、ケンプについて調べる事になって、結果的に、私はケンプのファンになってしまいました。
 つまり、ルビッチのお陰で、ケンプに目覚めた感じ・・・。
 そして、実際に原作にある設定の行間を埋めてみたくて書きました。


 そういや、このキャンペーンでルビッチの話を書いた時、「ねえ、ルビッチって誰なの!?」と思った人が多かったようで、エンサイクロペディアを見ても、「こんな人、出ていたっけ??」って思ったそうです。
 私が「1度しか出てなくてセリフも無かった」とチャット時に書いたら、多くの人から「なるほど~!」とか、「良く見つけたよね~!」って言われました。


 原作では、ケンプの出征前夜については、休暇を貰った事と、翌日、家族との別れのシーンしか書かれていません。
 原作では、次男坊がお土産の話をして、長男に窘められるシーンや、帰ったらお祖母さんの家に行こうと約束する話などがありました。
 それで、家に帰るまでのケンプ、翌日、家を出た後のケンプの姿を、ルビッチの目を通して描いてみた訳です。
 ケンプが家族と会ってどうだったか・・・は残念ながら書いていません。
 これはあくまで、副官の物語だから。(副官キャンペーンの趣旨から外れてしまうしね)


 ガイエスブルク要塞によるイゼルローン要塞の攻略戦・・・。
 ・・・ルビッチ大尉や、ブルック少尉は、ケンプ閣下と共に戦死だろうな・・・と、勝手に考えています。
 フーセネガー中将は生き残りましたけどね。
 ・・・それ故に、ルビッチが生きていた証拠として、どうしても、この物語を書いておきたかったんです。


 そして、ケンプを官舎まで送って行った後のルビッチ、ケンプを迎えに行く前までのルビッチを描いた「2時間10分の羽伸ばし」と、この2本でワンセットなんです・・・ルビッチ物語は・・・。


 実は・・・この作品をUPするに伴い、大幅に加筆修正しました。
 ・・・と言うのも、あまりにも稚拙すぎる文章に、こりゃ、ダメだわ・・・とね。
 何しろ、二次にしろ何にしろ、小説と言うモノを初めて書いた・・・と言っていい作品だったので、ナニコレ・・・ってぐらい酷いの。
 マジに酷いので、このまま載せられないわ~・・・って。


 そう言えば、以前、ケンプの幕僚のアイヘンドルフや、パトリッケンの話も書こうと思った事があったなぁ・・・その内に書いてみるか。
 ケンプの事を酒の肴に・・・居酒屋でチビチビと飲む2人とか。←こいつら何気に、ケンプの秘密をいっぱい知ってそうだ・・・^^@