自閉症は外見ではわからない、ならば理解を得る努力も必要だ ! | 長男は自閉症・オヤジの日記、音楽好きでバンドもやりました

長男は自閉症・オヤジの日記、音楽好きでバンドもやりました

自閉症の長男との暮らし、その思いや日常の出来事を日記として書いてます。

 
  私の休憩時間はコンビニの挽きたてのコーヒーがお楽しみ。私は震災後に足の指を3本切断し足元がおぼつかないので、手に持った紙コップのコーヒーをこぼさないように店内では用心深く歩くようにしている。
 
 そんな私を中学生くらいの女の子が私をすり抜けて、さっと追い抜いて出口に向かった。私は歩く動作が鈍いし、と特に気にもせず出口に向かうと、あの女の子が出口のドアを手で押さえて私を見つめ、私が店を出るのをじっと待っていた。
 
 私を追い抜いたのは、そのためだったとすぐにわかった。私の足が悪いと思った彼女の優しい気遣いに「有難うございます。お嬢さんのお陰で助かりました」と丁寧にお礼を言うと、無表情だった彼女の口元が緩み、無言で小走りに立ち去った。
 
 
 私はコーヒーを持ったまま駐車場の車に乗り込もうとすると「すみませ~ん」と女性の声が響いた。声の主は中年の女性で、隣にはさっきの女の子が寄り添っていた。中年の女性は女の子の母親のようだ。
 
 その声に振り向いた私に母親は「娘が大人からきちんとお礼を言われ「お嬢さん」と呼ばれたことが嬉しかったみたい。私も嬉しくなったので、どうも有難うございます」と言って頭を下げた。満面の笑みの母親だが傍の女の子は無表情のままだった。
 
 女の子の振る舞いが私の長男(自閉症)と似ていたことで事情を察した私は、咄嗟に「お互い様」との言葉が出た。あの母娘はいろんな思いをしてきたに違いない。苦労も絶えなかっただろう、それが我がことと重なって鼻の先がツーンとなった。 
 
 
 自閉症などの知的障がいは外見からはわからず、事情を知らない人からの誤解で息子は理不尽な対応を受けてきた。交番の警察官ですらそうだから、やむを得ないとは思うが、その都度心を痛めてきた。
 
 だからこそ私は他人様を見かけや動作で短絡的に判断しないように心がけている。ただ、それを世間に望むだけではなく、被害者意識を持たずに自らの努力も必要だと思う。理解しないのではなく、わからないだけで、誰も悪くはないのだ。
 
 何があるかわからず警戒心の強い今の世の中だが、冷静に、きちんと説明をすれば理解してくれる方の方が多いはずと信じている。言うほど簡単ではないが、先ずはそこからだ。
 
 例えが適当ではないが、犯罪を犯し真面目に更正している人への世間の理不尽な対応の苦難を思えば、私なんかはまだ恵まれてると思ったりもする。彼らの状況を知って、そう思った。
 
 あの親子が、これからも、きょうのような笑顔で日々を過ごせますように、いや、きっと、そうなるに違いない。そう信じよう、などと思いながら飲んだコーヒーがいつもより美味しく感じました。あのお母さんの笑顔のお陰もあるかもねニコニコ
 
 
 

♪ The Rose (ベット・ミドラー)

私は愛は花だと思う その大切な種が貴方なのだ