クレヨンしんちゃん 映画の話 | どこかの誰かのメモ帳

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個人的にクレヨンしんちゃんの映画は原恵一監督(97~02年)の時期が一番面白かったと思う。
その後は徐々につまらなくなったという印象だが、うえのきみこさんが脚本をはじめてからまた面白くなった印象。
ただ原監督の頃とはだいぶ作風が変わっている、これはシリーズの長さと時代の変化もありそうだけど。

 

原監督の作品

原監督の作品はとにかくすごい、特にすごいのはオトナ帝国とアッパレ戦国。
クレヨンしんちゃんや映画をあまり見てない人が有名どころをあげてるだけではないかというネガティブな意見も見られるが、実際に良い作品だと思う。

まずオトナ帝国、見所は終盤だけど序盤から面白い。原監督の作品は最初から最後まで面白くて飽きるシーンがない、ギャグだったりシリアスだったりその順番も安定していない、だからこそ作品がマンネリ化しなくて面白い。
しかし、それゆえ限界があったようでアッパレ戦国を最後に監督を交代されたようだ。

そしてオトナ帝国からアッパレ戦国のつながりもすごい、作品ではなく監督そのものにストーリーがある。
これは以前も話したけど、家族で見るアニメとして安心感があるので、オトナ帝国のケンとチャコの扱いに悩んでいたようだ。彼らはキャラ的にギャグにしたくないが、素直に敗けを認めるのも納得がいかなかったようで、最後に死を選んだ。しかし本当に彼らを死なせる訳にはいかないと思ったようで、鳥に助けられるという演出になったらしい。
そしてそのオトナ帝国は大ヒット、これによりアッパレ戦国では仲間の死というアニメ版らしかぬ重い終わり方をしたのだろう。言ってしまえば人の死を描ける作品と思ったのだろう。

映画の話からずれるので簡単にいうと、ここでアニメ版と言っているのは原作は暗くて重い一面もある作品だからだ。アニメでは省かれがちだが原作は悲しくて重い死や、しんちゃんが命を救う話もある。クレヨンしんちゃんは原作も読んでる人と読んでない人とでは印象すら変わってくる作品だと思う。
そういう意味では原監督の映画には原作の薄暗さがでているのではと思う。

原監督は他のクレヨンしんちゃん作品も面白い、個人的にこの二つがすごいと思うが、面白さでいうなら暗黒タマタマや温泉わくわく。

暗黒タマタマは原監督の記念すべき一作目、それだけに遠慮してる印象もある。どういう事かというと、クレヨンしんちゃんらしさを失わないように自分らしさよりもしんちゃんらしさを意識しているという事。
日常回のようなハチャメチャなギャグをしっかりいれつつ、非日常的な事に巻き込まれて奮闘する姿が面白い。まあこれが劇場版しんちゃんの定番なのだけど、特に原監督に関しては…。
終盤の敵はシリアスにも関わらず、劇画に定評のある末吉裕一郎監督が加わる事でアニメ版のしんちゃんらしい面白さがでてシリアスが緩和されている。特にひまわりを救出するために気合いをいれながら向かう野原一家のシーンが面白い。原監督のはじめの頃の作風と末吉監督のシュールな作画は相性抜群だと思う。

この頃はまだ試行錯誤の段階で徐々に自分なりのしんちゃんワールドを作り上げてきたのだろう。だから作品が新しくなるたびに原監督テイストになっている印象だ。
クレヨンしんちゃん的な面白さでいうなら はじめの頃(暗黒タマタマやブタのヒヅメ)だが、原監督らしいすごさでいうなら最後の頃(オトナ帝国やアッパレ戦国)だ。

温泉わくわくはわくわくというだけに序盤からわくわくする展開になっている。のっけから訳の分からない基地につれていかれるしんちゃん達。原監督はゴジラが好きだっただけに、シン・ゴジラを彷彿させるシーンもある。
(ちなみに作品的には温泉わくわくのが先である)

 

うえのきみこさんの作品

今度は原監督時代が終わってからの話、これは個人的な意見だが、うえのきみこさんが脚本のB級グルメ(2013年)から面白さを取り戻してきたと思う。
あれな話をすると興行収入もこの頃から急激に増えている。
例外として2020年はコロナ禍により低い、原作をリスペクトした作品なだけに残念だ。

特に人気があるのはサボテン大襲撃。まるでサボテンがゾンビのようなサバイバルホラー。インパクトが強いがしんちゃんパワーでシリアスなのにギャグもある。
そしてこの作品は何らかのコンプレックスをもった仲間が一人一人強くなって覚醒していく姿が良い。
うえのさんは友情を好んでいる事から野原一家の引っ越しの際に風間くんの演出に気合いが入っていたり、最後にかすかべ防衛隊バッジが活躍するところも良かった。