音ちょうだいが先にくる | ウサギ舎のブログ~バレエピアニストの日々~

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ウサギ舎です。バレエピアニストなんて仕事してます。作曲家です。たまに舞台で踊ってます。ウサギ舎バレエ伴奏ピアノ研究所主宰。まあ、見てやってくんなまし。 

まず、振りが出てから

「この振付けに合う曲弾いて♪」

これが、一般に皆様の思うバレエ伴奏。

 

 

 

だけど

逆の場合も、実は結構な頻度である。

いきなり

「音ちょーだい」…

 

 

奈良ワークでのシローチン先生もそうでしたよ。

 

 

だーかーらー、何のステップを、どんな感じでやりたいの???

それも全てノーヒント、ノー情報。

外人や、大御所の先生に多い。

あと、教師タイプの教師じゃなく振付家タイプの教師に多い。

「出てきた音で創るから、合うヤツお願い」

って…あのねえ、こちとら超能力者じゃないっての。

 

 

でも

あたし、腹さえ括ればこのタイプ嫌いじゃない。

超・仕事のしどころだと思うから。

任されたんだよね、ようし来い!!!

共同作業での作品作り、いこーぜい!

って感じする(あ、壊滅的に相性の合わない相手の場合は勘弁ね)。

 

 

 

今回のシローチン先生は振付け進めながら

「その次のメロディは?」

「その次のフレーズ創るから何かちょうだい」

「いや、それじゃない。それじゃない曲で。」

って感じで生徒の目の前、同時進行で創ってく。

 

一見、これは効率悪いようにもみえる。

例えば、クラスや振付けに入る前に振付師がまず曲を決めといて、それに合わせた振付けをぜーーーーんぶ創って、ピアニストには事前にこの曲でやりますって云って練習してきてもらって、それで振り付けた方が無駄が無いじゃん、って意見。

(↑発表会とかでの子供の振付けは殆どこのやり方ね)。

 

 

たしかにそのやり方もあるけど、最初の曲選びから構成から全部振付け師がやるって、振付け師(この場合はシローチン先生)の仕事量と事前準備が厖大になる。

しかも、奈良ワークみたいに子供たちも先生も初対面。実力も未知数で、あらゆることが実際やってみないとわかんないのに一週間後に本番、なんて時は、選曲も構成も、もうひとつの脳味噌(バレエピアニストのこと)にやらせて、同時に進めた方がぐっと時間短縮になる筈なんだ。

 

 

色んな曲がすぐに弾けて

即興も出来て

なんなら有名曲のパロディもできて

勿論その場で作曲もできて

バレエのことを熟知してて

引き出し半端無くて

振付けのイメージが湧くフレーズや曲を次々に弾けて

自分(教師)の好みも知ってて

なんなら教師すら考えつかなかったような振りのイメージでさえ提供出来る

 

 

そーーーーーんなピアニストがいたならね。

 

 

 

 

…バケモノかい。

 

 

でも、バレエピアニストはそうあるべきだと思ってる。

敵わなくても目指すべきだって。

だから一生懸命やってるし、こんな風にその領域に近づける仕事をやらせて頂いて幸せなんだけどさ。

 

 

 

今回は「ギリシャ」と「ロシア」。

ギリシャは初日の大びっくりのあと、いくつか動画を探し、それを耳コピ&継ぎはぎ。

でも「そのメロディじゃない」「他のないの」の連続で、中盤はほぼそれらしくアレンジした、あたしのオリジナルになりました。なんかもう、こっちの引き出しの数との勝負みたくなってくる。

「これでもいいの?」と思うことも有るけど、まあいきなり「タタールの曲作曲して。今日使うから」なんて云ってくる先生だもんなあ(笑)

 

 

この

「音が先に欲しい問題」。

通常クラシックのクラスと、アクチョールのクラスについても細かく述べてみたいので、

それは次の記事で。

 

 

 

 

画像はスチョーピン先生からいただいたマトリョーシカのオルゴール。

かわええ。

 

鳴らすと中のちっちゃなマトリョーシカが回転するのだ♪