ウサギ舎のレッスンにて。
例えば、教師がアンシェヌマンを出すときに
「とー、1!」
って数えるか
「とー、おー、1!」
って数えるか
どう違う?どう弾き分ける?
と弟子に訊いた。
弟子くんの答えは
「『とー、おー、1!』のほうがテンポをゆっくり」
とのこと。「おー、」が入る分、物理的にかかる時間が長くなるからだという。
なるほど。
理屈は合ってなくない。半分正解、って感じかなあ
でわ
あたしの考える「正解」を言うね
「とー、おー、…」と「おー、」がある場合は、その「おー、」をダンサーが感じられる、それを表現したくなる音を出す、が、あたしの正解。
「おー、」とは何じゃい、ということになると、それは「間」だったり「アクセント」だったり、ときには「色」「香り」だったりして、ホントにその時の振りによる。
「速度」だけのモンダイではないってこった。
テンポがゆっくりになるのは、それは「結果的に」の話ね。
いろいろした結果そこんとこにタメができてゆっくりになった、というのと、ただメトロノームの機械の数字をデジタル的に変えました、は全然違うからさ。
じゃあ、
具体的に「おー、」はどうやってピアノ&音で表現するか。
以下、すんげー理屈っぽくなるけどつき合って。
方法は色々あります。
・「とー、」から「おー、」に向かってクレッシェンドする、時にはディミヌエンドする
・「おー」でテンポをためる、または揺らす、または呼吸する
・「おー」で細かい音符をメロディにいっぱいいれる
・「おー」で内声またはベースを動かす
・「おー」でコードを動かす
・上に挙げたいくつかを同時にやる
…
咄嗟に思いつくのはそんな感じかな
んま、
そこにダンサーの「耳」「気持ち」を惹き付けられさえすればいいんだけどね
ところで
上記の方法について
「そんなに咄嗟に考えつかない!!!」
という貴方。
ほい、あたしも現場では「考えて」やってるわけではないよ。
例えばさ、女優さんの演技を例にとろうか。
例えば、台詞と台詞の間の微妙な「心の揺れ」を演技するのに、その一瞬で色々なことを彼女はやってると思うんだけど
「目を僅かに伏せて」「瞳を移ろわせて」「小さく息を呑んで」「軽く唇をわななかせて」「以上をジャスト0.5秒の間にやって」みたいに細かく考えてやってる人あんまりいないと思うんだ(多分)
自然な表現の流れでそれをやってる(なされている)んじゃないかなあ
「おー、」の表現も、そんな感じで、もっと自然に、考えずに出てくるものだと思う。
ま
自分が「感じる」ためにはアンシェヌマンやダンサーを見てなきゃならないし
「表現する」ためにはそのための技術がないといけないからね
いろいろしんどいけど
そこが、「バレエレッスンを生ピアノでやる」ことの意味、なんじゃないかなって思うんだ
「とー、おー、」
「ん、えーーーーーん、」
「しゅぴっっっ!!」
「いーーーー、イーチ!!」
…いろいろ表現出来ると楽しいよ(↑上のは全部『バレエスタジオでよくある先生のかけ声や擬音』)。
画像は「女優つながり」で
「おっさん」の役をやった時のあたしの楽屋写真。
「おっさん」のどこが女優なんだよ、ってツッコミは無しの方向で(笑)