太田龍子様のレゾン/ポプラ様のレゾン/6つのレゾン | 羽生結弦さんの見つめる先を見ていたい

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羽生結弦選手を敬愛しています。羽生さんを応援する素敵ブログ様方を日々の心の糧にしている、ソチ落ち主婦のブログです。(横浜在住)

今日も『レゾン』語りです。

どうにも囚われてしまって、「ノートルダム」までまだまだ辿りつけません。あせる


今日は私が尊敬するお二人の「レゾン評」をご紹介させていただきます。

太田龍子様(byNOTO)とポプラ様(byAmeba)です。


白銀色の奇跡 羽生結弦の「レゾン」

太田龍子さまのNOTO↓

2022623 

「 ファンタジーオンアイス2022神戸の楽日を拝見した。宮川大聖が唄う『レゾン』は斬新な選曲だ。楽曲はやや難解というか歌詞のウェイトが大きく、リズムははっきりしているがある意味単調でもあって、映画音楽やミュージカル、バレエ曲のようなドラマチックな盛り上がりは少なく、フィギュアスケートの魅力である疾走感やのびやかなスケーティングの美しさに自然と寄り添ってくれるような曲調ではない。歌としてもかっこよく聴かせるのが簡単ではなさそうだし、踊るにも一見ダンサブルなようで、踊り手の技量や個性が薄いと見どころがなくなってしまうリスクがありそうだ。

 しかしデヴィッド・ウィルソンが振り付けたという羽生結弦の『レゾン』はこれまでのイメージを粉砕し、『RealFace』で見せた彼の『変身に近い進化』をさらに鮮明にした。羽生のレゾンはスプリングのように揺れて反復しながら流れていく曲に正対し、その雰囲気に埋没することのない強烈な主張があった。あいまいな『それらしさ』ではなく、唄の哲学を、痛みへの予感やおののきをヴィジュアル化しようという明確な意志が見えて、これまでになく演劇的要素が強く感じられた。

 上体を悩ましく揺さぶりながらのベスティスクワットイーグル、苦悶の表情とともに全身を投げ出すコンテンポラリーダンスのようなアクション、巨大な弧を描いて滞空するバレエジャンプなど、多彩な技をたたみかける様に操る縦横無尽な表現。それらが透きとおるようにしなやかな色香を纏って展開してゆく。

 際立っているのは足元の確かさと鋭く緩急に富んだ上体の動き。羽生のとびぬけたエッジワークは足元だけ見ていても酩酊感をもたらすほど魅力的だ。そして、そのしたたかでしなやかな足技に支えられてこそ上体は解き放たれて変幻自在に舞うことができる。オープニングの群舞を見るとよくわかるが、同じふりで踊っていても羽生の動きには独自の呼吸があり、複雑な『遊び』が加わっている。例えば腕の上げ下ろしひとつでも、他のスケーターなら点から点へと直線的に動かすところにうねるような、しなうような曲線的な動作が加えられ、別もののように華やかに飾られているのだ。羽生はバロック音楽の演奏家が即興で装飾音を入れて演奏するように、湧き上がる感興を形にしながら星屑を撒き散らすようにして滑ってゆく。その輝きがパフォーマンスに命を与え、観客の視線と魂をことごとく吸い寄せ、酩酊の渦に熔かし込んで別の宇宙へとトリップさせてしまうのだ。

 私は競技の緊張感が好きで、以前はエキシビにもアイスショーにも興味がなかった。しかし、羽生に関してはショープログラムにも張りつめた空気感があって競技とあまり差を感じない。FAOI神戸最終日、白色矮星の爆発のような『レゾン』の目撃者となれたことは幸運であり光栄なことだった。北京の屈辱を処理する方法として彼が選んだのは、より美しく、強く進化することだったようだ。どのように滑るのか、何が美しいのか、その基準は羽生自身が定めればよいのだ。古来、法を作り、価値を定め、権威によってそれを裏付けるのは帝王の役割なのだから。」

神戸公演は当初全く情報が入らず、画像や映像も切れ切れに届くだけで、チケットが取れなかったファンは妄想を膨らませるしかありませんでした。私は最終日のライブビューを観ることが叶いましたが、この『レゾン』はこれまでの羽生プロとは異質過ぎて、素晴らしく革新的で美しいことは分かるのに、あまりの衝撃で1回では全体像を捉えることは出来ずにいました。

「捉えどころが難しいレゾン」…そんな私のもどかしい思いを、この太田さまのエッセイが力強く払拭し、『レゾン』の魅力を伝えてくださいました。太田さま、ありがとうございました。

m(_ _)m


(撮影 上:田口有史さん、下:能登直さん)


皆様、太田龍子さまのNOTOには、羽生結弦プログラムへのご考察が満載です。いずれも流麗かつ機知に富んだ魅力溢れるエッセイばかりです。是非↓↑のリンクから飛んで、ご訪問なさってみて下さい。



さて、私は、神戸公演のライブビューそして静岡2日目と千秋楽公演を観ることが叶いました。

その私が思いますに、ライブビューと現地の見え方の違いを考慮しても、やはり、神戸と静岡では『レゾン』はどこか印象が違っていたように思います。

↓あいきょ様、感謝してお借りします🙇‍♀️


なんと神戸初日の『レゾン』は鬼気迫るものだったと⁉︎


羽生:「『孤独』とピュアな『純白な心』の葛藤とか、せめぎ合いを表現したいと思っています。
僕自身も楽しみにしながら、本当に短い期間ではありましたけれど、全力を尽くしてここまで来ました。正直、緊張しています。
自分の中でも異質なプログラムをやるつもりですし、僕自身もかなり振付に携わりながら本当に細部までこだわり抜いたプログラムになっています。」
初日は、まさに産みたて!荒々しく感情溢れ、実験的要素に満ちていたことでしょう。
一般にプログラムは演じるほどに洗練の道を辿るものです。
つまり、6つの全く異なる『レゾン』が存在するわけで、いつか全バージョンを観たいという欲が募ります。


そして、次にご紹介させていただくポプラ様の文章は、静岡の最終日の生中継をご覧になったご感想です。↓

​「ロンドンつれづれ」様より

(注:ポプラ様はロンドンにご在住です。)


「…それにしても、これだけ短期間に新たなプロを次から次へと頭に入れ、人々を感動させるだけの演技をして見せることは本当にすごいな、と思うのである。

 

夫と一緒に見たのだが、もうオープニングから羽生選手の気持ちのこめかたが群を抜いている…。いつも思うのだが、本当に与えられた振り付けをなぞるだけでなく、動きを自分のものにしたうえで、自分なりの解釈を観る側に伝えてこようとする意志がすごい。」

「現役選手のエキシビションプロを見ている、というよりは、バレエなど、プロのパフォーミングアーティストの芸術作品を見ているような、滑り手、踊り手のプロ意識が伝わってくる。それも、自分が何を求められているかをよく知っていて、それを提供しようとするプロ意識だ。決して自己満足の押し付けではない。 そして求められていることのさらに上を提供し、うれしい驚きを与えてくれる。」

(中略)

「『レゾン』を観たが、デヴィッド・ウイルソン氏の振り付けと言うことで、歌詞の大体の意味は伝わっているだろうが、細かい動きで歌詞を表現している部分は、日本語を解する羽生選手のアドリブというか付け加えた部分ではないかな、と思う。 骨組みを振付師に依頼したとしても、それだけでは伝え足りないディテイルを、きっと足しているのだろう。 

 

歌詞の内容からも、孤独感の表現や葛藤と共に、自分の存在意義を問うような深いメッセージを伝えていることが見ているものにはわかる。」

(中略)

「白を基調にした衣装の腰の部分は回転するとスカートのように動いて美しかった。彼のプロポーションの良さが引き立ち、演技にも動きを添える衣装。 バレエと同じく、フィギュアスケートの衣装は大事な表現の一部である。」

(中略)

 

「羽生選手、アスリートであることは確かだが、アーティストとしての矜持をもって、オーディエンスを意識したパフォーマンスができる現役の競技選手。そういう選手は稀有だ。 アイスショーはちょっと力を抜いて楽しもう、というスケーターが多い中、彼はここでも全力疾走である。集まった観客の心をがっちりと掴んで離さない。彼のファンでなかった人も、このパワーとカリスマ性に、ファンになってしまうだろう。」

 

「以下、FoIを観た夫の感想。」

 

「ほら、ここでもスピンに難しいエントリーで入っている。すべてがピタリと音に乗ってる。

PCSをますます抽象的なものにしてしまって、これからエンプティなプログラムを滑った『勝たせたい』スケーターに高い得点を与えても、ハニュウのこういう演技を見た観客は、ますますそのギャップに気が付くことになるだろうよ。

 

繋ぎの薄いスカスカなプログラムを滑っても高いPCSがもらえると思っているスケーターと、スコアがどうだろうとおのれの道を変わらず極めていくとうハニュウの演技の間の差はますます広がっていくだろうし、観客は馬鹿じゃない。ISU…は、恥ずかしいと思うだろうよ

(中略)


 

「Different level.....技術も表現も、スケーターとして他とは格が違う、というのは見ていればわかる。

 

 

静岡公演の楽日を最後まで盛り上げて、しっかり座長としての仕事を全うした羽生選手。 リンクを何周もしてファンに手をふる彼の顔は、充実した笑顔のように見えた。やっぱり、こうやって観客の前で滑り、フィードバックを感じることがスケーターさんには大事なんだろうなあ」

 

(中略)

 

 

 

「もし20222023季にも競技生活を続けるというのなら、アイスショーが終わった後はあっというまに切り替えて自己の限界に挑戦し続けるトレーニングを始めることだろう。

 

怪我無く健康で、自身の思う道を究めてほしい、と思う。」

ポプラさま、ありがとうございました。

ご自身もフィギュアスケートをなさいますポプラ様の幅広いご見識とご考察に、私は全文頷くばかりでした。最後の一文にも"親心"を感じグッと来ました。



羽生くんが神戸で語った抱負です。

羽生:「『ちゃんと伝えたいものを伝えられる』ように、そしてその自分が表現したいものだったりとか、『ここ見て欲しいな』ということがちゃんと伝わるように、150%でやる!っていうのが、今回のファンタジーでの自分の中の目標みたいなものです。」

これはほぼ達成されたのだろうなと、静岡千秋楽の羽生くんの笑顔の涙に感じました。


神戸公演が今だ謎の中ですから、『レゾン』全容は想像の域を出ません。ひょっとしたら「我儘な赤ん坊」から「抑制された大人」ぐらい急激な変貌があったとしたら…そう考えるだけでワクワクします。だって「純粋無垢な赤ん坊」ほど、人を惹きつけるものですからね。


ともあれ、今は、7/10(日)の神戸公演BS放送と、静岡公演3日間完全放送をお待ちしましょう。



7/9()FaOI静岡 BS朝日13:00

7/10()FaOI静岡 静岡朝日10:00

7/10()FaOI神戸 BSフジ

               19:0020:00

静岡3日間完全放送

7/30()録画FaOI静岡CSテレ朝ch2 

      11:00〜《初日・2日目》

7/31()録画FaOI静岡CSテレ朝ch

      17:30〜《最終日》


羽生結弦と宮川大聖が作り上げた『レゾン』。いつか全ての『レゾン』を観る日まで…今だワクワクは継続中です。照れ



今日も羽生くんを全力応援!ᕦ(ò_óˇ)ᕤ


羽生くんが痛みなく滑れていますように!

羽生くんが笑ってくださっていますように!

羽生くんの幸せを心から願い、祈ります🙏



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