近年増加している再エネ出力抑制について | 『売れプロ!』ブログ -「売れる」「稼げる」中小企業診断士に-

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みなさま、こんにちは。
売れプロ12期生の猪狩隆典(いがりたかのり)です。
 
私は普段、再生可能エネルギー向けの融資(プロジェクトファイナンス)に従事しており、金融機関として対象発電所の実績モニタリングも重要な業務の一つとなっています。太陽光発電所においては、売電収入への影響として自然災害や設備故障等が大半でしたが、近年は出力抑制による影響も増加しており、こうした動向には特に注意を払っています。


ここでいう出力抑制とは、一般送配電事業者の指示により、発電事業者が発電所の出力を抑制することです。 再エネ向けは、太陽光発電等による発電量が多く、需給バランスの確保が難しいとき(好天で日照量が多く、エアコンなどの需要が下がる春や初夏、秋に制御が必要になる場合が多い)に出力抑制が実施されています。

背景にあるのが、再エネ電源の急増で、2010年度に9.4%だった国内の電源構成に占める再エネ(水力を含む)の比率は、2022年度に21.7%と倍増しています。特に太陽光は0.3%から9.2%と大幅に増加しています。
 

再エネ向け出力制御は、2018年に九州電力が初めて実施し、2022年には北海道や東北、中国、四国、沖縄の電力各社が行いました。2023年は中部電力と北陸電力、関西電力も続き、同年の発生件数は約290回と前年の3倍に増加しており、2024年は更に実施数増加が予想されます。現時点での未実施は東京電力管内のみとなっていますが、東京電力においても、直近の新聞等で報じられている通り2024年5月の大型連休(GW)に、太陽光・風力発電の出力制御を行う可能性を示しています。
国は2030年度に再エネが総発電量の最大38%を占めると見込んでおり、出力制御が増え続ければ、より多くの電気が無駄になることが予想されます。
 

再エネを有効活用するため期待される施策として、地域間連系等送電網強化と蓄電池の活用が挙げられます。送電網強化に対し、国は2050年までに最大7兆円を投資する計画を発表していますが、詳細なスケジュールは未定となっています。一方、蓄電池については国が補助金で普及を支援するなど、既に大手商社やエネルギー企業等が北海道や九州で大型蓄電池を整備し、海外企業の参入も相次いでいます。
 

壮大な話のようですが、蓄電池は一般家庭での導入も広がっています。また、送電網強化の費用負担については、送配電業者の負担とされていますが、最終的な電気料金との関連は注目されていくこととなりそうです。
電力会社として、電気使用のピーク時間帯をずらす新たな取り組みも広がり始めており、九州電力は今年4月から昼間の電力を安く抑える新料金プランを導入すると発表しました。
このように電気料金など身近なところに影響が広がる可能性もあり、是非そうした観点でも注目頂ければと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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