SBT認定取得のステップと削減目標達成のポイント | 『売れプロ!』ブログ -「売れる」「稼げる」中小企業診断士に-

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おはようございます。

売れプロ12期生の谷口哲一です。

 

今回は、佐藤久美子先生とのコラボで、SBT(Science-based Target)について記載いたします。

SBTの概要は佐藤先生の記事をご参照ください。

私のほうからは、SBT認定取得のステップ、そして削減目標を達成するためのポイントをお話しいたします。

 

SBT認定取得のステップ

主には、①温室効果ガス排出量の算定、②削減目標の策定、③SBT事務局へ提出、④情報開示となります。

各ステップについて、順にご説明いたします。

尚、SBTには中小企業向けのプランがあり、本記事では中小企業向けSBTに絞ってお話しします。

 

①温室効果ガス排出量の算定

自社が一体どれくらいの温室効果ガスを排出しているのか、現状の排出量を認識することが脱炭素経営の基盤であり、SBT取得の第一歩です。

 

温室効果ガスの排出量算定というと難しそうに感じるかもしれませんが、実は専門的な知識は要りません。

排出量は、燃料や電気の使用量※1に対して、排出係数※2を掛け算すれば算出できます。

※1.燃料や電気量の使用量は、ガス会社や電力会社からの領収書で確認、集計します。

※2.排出係数とは、どれだけの温室効果ガスを排出したかを指し示す数値を意味します。それぞれの燃料や電気メニューで排出係数は設定されており、購入先から簡単に情報がもらえます。電力の排出係数だと電力会社のホームページに記載されていることもあります。

 

以上のような作業で、年間ベースで、自社の温室効果ガス排出量を算出します。

 

②削減目標の策定

SBTは削減目標に対する認定です。

認定水準は定められており、以下の要件を満たした削減目標であれば、SBTとして認められます。

 

[認定水準(2024年2月時点)]

・温室効果ガスを年間4.2%削減すること

・目標年は2030年、基準年は2018年から2022年までで選択

 

もし、基準年を2020年とした場合、10年なので、4.2×10で42%の排出量を削減する、という目標となります。

 

③SBT事務局へ提出

SBTはグローバル団体で運営されているため、ホームページや申請フォームはすべて英語ですが、無料の翻訳ソフトなどを使えばそれほど難しくありません。

また、中小企業向けSBTでは、提出すれば審査されることなく、自動的に承認され、晴れてSBT取得となります。(ただし認定書の発行までは少し時間がかかります)

尚、SBTは提出する際、費用が発生します。(2024年1月からは1,250USD)

 

④情報開示

SBTを取得した後は、ウェブサイトや報告書などで、毎年温室効果ガスの排出量を開示することが求められます。

また、取得すると、SBTのロゴを使用することが可能になります。

SBTロゴも活用して、脱炭素経営を推進していることを積極的に開示、アピールしましょう。

 

以上がSBT認定取得のステップとなります。

しかし、SBT認定取得はあくまでも脱炭素経営の第一歩という位置づけで、本当に重要なのは削減目標を達成することです。

排出量削減には、省エネ活動と再エネ活用の推進が重要で、中長期的に様々な施策を実施していくことが求められます。

以下に、削減目標達成のためのポイントをまとめました。

 

削減目標達成のポイント

①省エネを最大限推進する

温室効果ガス排出量と燃料や電気といったエネルギー使用量は比例するので、当然排出量は削減できます。

加えて、省エネ活動はエネルギーコストの削減に大きく寄与するため、経営面においてメリットが大きいです。

電気のこまめなOFFといった日常的な習慣から、建物の省エネ化、老朽化した機械更新といった設備面の改善、工程の短時間化や環境に配慮した製品設計といった設計面の改善など、あらゆる方法で省エネを実行し、排出量を削減させ、SBT目標を達成しましょう。

 

②目標達成に向け、再エネ活用で補う

再エネを活用することも、排出量を削減には有効です。

特に再エネ由来電力は普及が進んでおり、電力会社から購入することや太陽光発電設備を導入することで排出量は削減されます。

ただ、再エネはコストメリットが小さいので、まずは省エネ活動を全力で推進し、目標達成に不足する分を再エネで補う、というアプローチがおすすめです。

 

以上が、削減目標達成のポイントとなります。

SBTは達成しなくても罰則はないですが、達成可否は企業評価にもつながりますので、削減目標達成の道筋を考えた上でSBTを取得することが重要です。

 

 

佐藤先生からリレー形式でSBTについてお話させていただきました、いかがでしたでしょうか。

今回、中小企業向けSBTに絞ってお話しましたが、大企業のSBTではサプライチェーン全体で脱炭素を進める事が課されています。

よって、大企業に原料を納入している企業やOEM受託をしている企業は、顧客企業からSBTの認定取得や温室効果ガスの削減を求められることが予想されます。

今後ますます注目されるであろうSBTについて、理解を深めていただくきっかけになれば幸いです。

 

以上、最後までお読みいただき有難うございました。

 

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