近年、銀行業界で話題のベンチャーデットとは | 『売れプロ!』ブログ -「売れる」「稼げる」中小企業診断士に-

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みなさま、こんにちは。
売れプロ12期生の猪狩隆典(いがりたかのり)です。

近年、メガバンクや大手地銀はスタートアップ向けの取組を強化しています。特に注目を浴びている取組のひとつが、資本(エクイティ)と負債(デット)の両方の性格をもつベンチャーデットと呼ばれるファイナンス手法です。

 

日本政府は2022年11月に成長戦略の柱として「スタートアップ育成5カ年計画」を発表し、新興企業への年間投資額を2027年度までに10兆円規模(従来の10倍超)にするなど、資金供給強化を目標の一つとして掲げています。また、全国銀行協会も2023年1月に「スタートアップ支援に関する運用申し合わせ」を行っています。こうした後押しのほか、国内スタートアップにおけるエクイティ性の資金調達環境の地合いも相まっており、ベンチャーデットは新たな資金調達の選択肢として注目されています。

ここでいうベンチャーデットとは、新株予約権付融資や転換社債等の金融商品を指し、スタートアップがデットでの資金調達時に、自社の株式をあらかじめ定められた価格で購入できる新株予約権を付与する仕組みです。

借り手、特に通常の融資による資金調達が難しいスタートアップにとって、エクイティ投資と銀行融資等デット調達の間を埋める、成長資金として活用されることが期待されます。株式の希薄化を避けつつ、効果的に資金を調達できるというメリットもあります。しかし、返済義務がキャッシュフロー圧力となることも考えられ、自社の財務状況と成長計画を十分に分析し、他の資金調達方法も比較検討した上で、慎重に判断することが求められます。

貸し手としては、新株予約権を売却したり、IPOに際して行使したりすることで、金利収益にキャピタルゲインを加えて、リスクとリターンの最適化を図ることができます。取り組みには、事業価値や将来性を適正に評価するノウハウや人材確保といった体制整備が必要となります。

 

私自身、前職の銀行在籍時にスタートアップ向けの融資に携わった経験がありますが、当時はこうした手法やノウハウは持ち合わせておらず、とても苦労した経験があります。銀行業界においてこうした取組が広がりつつあることは、実績重視のカルチャーからの転換点となることも大いに期待されると思っています。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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