中小企業経営におけるデータの活用(BI活用)のススメ | 『売れプロ!』ブログ -「売れる」「稼げる」中小企業診断士に-

『売れプロ!』ブログ -「売れる」「稼げる」中小企業診断士に-

東京都中小企業診断士協会中央支部認定マスターコース『売れる!人気プロ研修講師コンサルタント養成講座』について情報発信しています!
塾長&講師は全国各地で年間203日講師登壇を誇る『あお先生』こと青木公司です。ぜひ門をたたいてください!

※にほんブログ村ランキング参加中です!1日1回、皆様の温かいポチをお願いします!

にほんブログ村 士業ブログ 中小企業診断士へ にほんブログ村

 

 

 売れプロ12期 、DXコンサルタント の花村幸一です。

 

 デジタルトランスフォーメーション(DX)は大企業のみならず、中小企業経営においても重要な論点です。このブログではその中心とも言えるデータ活用について、特にビジネスインテリジェンス(BI)の活用に焦点を当て、その価値と導入について解説します。

 

 2010年代から、AIの活用とともに急速に広がってきたBIの活用は、中小企業においても非常に効果が高いです。総務省の「デジタルデータの経済的価値の計測と活用の現状に関する調査研究(2020)」によると、大企業で約9割、中小企業でも半数を超える企業がデータ活用に取り組んでいます。また、データ活用の効果を実感している企業も半数を超えており、その重要性はますます高まっています。

1.中小企業におけるBIの利点

 BIの利点は、データに基づくことにより、意思決定の判断を向上させることが可能になることにあります。より具体的には、以下の効果が期待できます。

 

(1)意思決定の改善

 リアルタイムでのデータ分析を行い、効率的かつ効果的な意思決定を支援します。

(2)市場動向の理解

 視覚で確認することで市場の変化を迅速に検知することが可能となり、対策検討を促進します。

(3)業務効率の向上

 業務プロセス上のボトルネックを特定し、効率化を促進します。

(4)顧客満足度の向上

 顧客データの分析により、主要顧客のニーズに合わせたサービス検討を支援します。

(5)収益性の向上

 上記の結果として、収益性を向上させます。

2.データ分析を簡易に実現するBIツール

 BIツールは、ビジネスデータの可視化と分析を支援するソフトウェアです。可視化自体はExcel等のツールでも可能ではありますが、BIツールは視覚化の表現が多彩である事、データ変更があってもグラフ等の作り直しが必要なケースが少ないことから、運用上も手間がかかりません。このソフトウェアは主に以下の4機能を持っています。

 

(1)レポーティング機能

 データを抽出し、ダッシュボード上にグラフ等の視覚的にわかりやすい形で表示します。

(2)オンライン分析機能

 OLAP機能とも呼ばれますが、ドリルダウンやスライシングにより、深掘りしたいデータ部分だけを詳細表示し、データ分析をしやすくします。

(3)データマイニング機能

 統計的処理を用いて、経営やマーケティングに役立つパターンや傾向を探ることが可能です。

(4)プランニング機能

 過去のデータを基に、条件の変化が売上や利益にどのような影響を与えるかをシミュレーションし、計画策定に役立てます。

 

 これらの機能を利用することで、傾向分析、施策の効果検証、予測分析を実施することが可能になります。特に自社サービスの販売やユーザの利用傾向を視覚的に捉えることで実績上の主要顧客/主要商材を明確にすることが出来ます。また、広告やイベント実施時に顧客からどのようなフィードバックがあったかを定量的に確認し、それらの効果を測定し、改善につなげることが可能になります。

3.BIツールの利用例

 中小企業におけるBIツールの活用例として、以下が挙げられます。

 

(1)オンラインマーケティング

 ホームページやWeb広告、Instagram等のSNSへの投稿に対するインサイトデータから、顧客からのアクセス状況やレスポンス等の状況を確認し、効果のあるマーケティング施策の検討につなげることができます。

(2)顧客分析

 顧客管理ツールにあるデータを利用し、顧客の利用状況や購入傾向を分析することで、主要顧客の属性や嗜好、顧客毎の販売傾向を抽出し、顧客とのエンゲージメント強化につなげることができます。

(3)商品/サービスの拡販施策の改善

 販売管理システムにある商品/サービスの販売傾向を分析し、効果のある販売施策を特定することで、新商品の販売施策や販売タイミングの検討につなげることができます。

4.BIツールの導入ステップ

 BIツールの導入は非常に効果的ですが、利用目的を不明確なままで導入した場合、十分に活用されないことがあります。

 以前、大企業のクライアントから全社的なBIツールの導入が目的となってしまった結果、システムが重くなり利用者が増えないという状況となり、BIツールの再導入を実施することとなったため、支援してほしいという相談を受けたこともあります。

 

 本格的な導入前に、まずは試用期間を設け、小規模でBIの効果やイメージをつかんだ上で、導入を検討することが有効です。BIツールには、無料で利用できるLooker Studio(Google)、オンプレ版Power BI(Microsoft)もありますし、無料の試用期間を設けているサービスもあります。これらを活用し、以下のようなステップでBIツールの導入イメージをつかむとよいでしょう。

 私が担当させていただく案件では、他のサービスやソフトウェアとの連携もしやすく、その後の拡張もしやすいLooker Studioを推奨しています。Google form等のGoogle サービスやInstagram等のSNSとの連携も可能のため、導入効果をイメージしやすいとのフィードバックをいただく事が多いです。

 

(1)データ分析の目的と分析範囲の決定

 自社にとって価値のあるデータ活用のシナリオとデータの目的、分析の範囲を明確にします。

(2)利用可能なデータの確認

 各サービスから取得できるデータを把握します。

(3)必要なデータの選定

 (1)で明確にしたデータ活用の各シナリオで必要となるデータを特定し、(2)のデータと紐づけます。

(4)BIツールとサービスの連携

 選定したBIツールを導入し、必要なデータの情報源となるサービスと連携させます。

 

 中小企業の場合は、経営効果の大きいデータ活用のシナリオに絞ることで、費用対効果の高いBI活用が可能になる場合もあります。試用で導入したツールをそのまま利用するか、分析範囲を少し増やすだけで、大きな効果を継続的に上げるということも可能になります。

 

5.まとめ

データ分析は思い込みによる意思決定を排除し、定量的な根拠に基づく意思決定を実現します。しかし、全社的なデータ集約にはコストがかかります。データ分析の目的を明確にした上で、小規模から実施することでBI活用のイメージをつかみ、その価値を見出してから本格的な導入を検討しましょう。

 

※にほんブログ村ランキング参加中です!1日1回、皆様の温かいポチをお願いします!

にほんブログ村 士業ブログ 中小企業診断士へ にほんブログ村