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あけましておめでとうございます。
売れプロ12期の岸田康雄です。
2024年が始まりました。今年もがんばります!
私の中小企業診断士としての仕事は、事業承継(廃業)の支援です。具体的な仕事内容としては、廃業手続きと空き店舗など不動産の売却支援です。税理士の資格も持っているので、法人の解散・清算のお手伝いも行います。さらに、宅地建物取引業の免許も持っているため、不動産の売却代行も承ります。一連の業務を通じて、お客様の経済的利益を最大化するとともに、税負担を最小限に抑えることを目指しています。
実は、受け取った現金に係る相続税対策などもアドバイスします。
今日はそのお話をさせてください。
株式譲渡によって個人財産は非上場株式から金融資産に替わる
事業の譲渡しとは、第三者へ経営権を承継することです。その手段として一番多いのは株式譲渡でしょう。現経営者は、自ら所有する自社株式の有償で第三者へ譲渡します。
株式の譲渡によって、現経営者は、その対価としての現金を受け取ります。これを個人財産の観点から見ますと、自社株式という資産が現金という資産に転換され、現経営者は、企業オーナーという立場から金融資産オーナーという立場に転身することになります。
その際、現経営者が個人として、個人財産の最大化の観点から、次の3つのポイントを検討しなければなりません。
第一に、事業承継に伴って株式を現金化する際に、どれだけ大きな現金を獲得することができるかという点です。これは、譲受け側に事業価値を高く評価させることで、高い売却価格を実現できるかということです。
そのため、譲渡する前において事業価値を高めておくことはもちろん、譲渡手続きを適切に進め、譲受け側との契約条件交渉を上手く乗り切ることが必要となります。
第二に、株式の譲渡に伴う税負担を最小化できるかという点です。譲渡の方法には、事業譲渡と株式譲渡の二つが選択できます。現経営者は、どちらの取引スキームのほうが税負担を小さく抑えることができるか、慎重に検討しなければいけません。
取引スキームの違いが、所得税と法人税の発生の違いをもたらし、これらの違いが、大きな金額となるのです。自社株式を売り切ってしまう場合には株式譲渡が有利ですが、持株会社を手元に残す場合には事業譲渡が有利になる可能性があります。
第三に、譲渡の対価として現金を受け取って金融資産オーナーに転身した後、どのように相続税対策を講じるかという問題です。個人財産として多額の金融資産を所有することになった場合、将来の相続において、遺産分割対策と納税資金対策の観点からは全く問題は発生しません。しかし、相続税負担がこれまで以上に重くなりますので、ゼロベースで相続税対策を作らなければなりません。ここで不動産投資を考える必要があるでしょう。
非上場株式の譲渡価額を高くしたい
第三者へ譲渡するときの譲渡価額は、どのように計算するのでしょうか?
顧問税理士に「株式の時価を算定してください」とお願いすれば、所得税法または法人税法上の時価が計算されるかもしれません。しかし、第三者との間の取引では税法の計算を使う必要はありません。独立した第三者間取引であれば、当事者間の交渉を通じて決定した金額とすればいいのです。
ただし、上場企業のような譲受け企業は、適正な時価を評価する計算方法を知っています。それは、DCF法、類似上場会社比較法、修正純資産法など、経済的に合理的だと言われる計算方法です。買い手からそれらの金額を提示され、売り手が交渉を通じて合意できれば、譲渡契約が締結されます。それで税務上も問題はありません。
ここでのポイントは、現経営者が、個人としての利益最大化の観点から、対価として受け取る現金を最大化することです。そのためには、譲渡価額を最大化することとともに、譲渡に伴う税負担を最小化することが必要となります。
詳しい説明は省略しますが、株式譲渡と事業譲渡の選択が、売り手側の税負担に大きく影響します。それに加えて、これらが譲受け側の税負担にも影響を与えてしまうため、譲渡価額それ自体も修正が必要となるのです。また、現経営者が会社を売り切ってしまう場合と、資産管理会社となる持株会社を手元に残す場合でも、株式譲渡か事業譲渡かの選択が税負担に大きく影響してきます。
つまり、譲渡スキームの巧拙によって、譲渡価額、税負担が大きく変わり、対価として受け取る手元現金の金額が変わってくるということです。最適な譲渡スキームを選択することが、とても重要なことだと覚えておきましょう。
金融資産の相続に伴う税金を抑えたい
事業承継に第三者承継を選択した場合、現経営者の保有する株式は、現金という金融資産に変わります。これによって、個人財産の相続税評価は一気に時価100%の水準まで引き上がり、将来の相続税負担が重くなります。
金融資産オーナーの相続税対策は、不動産投資です。これは、土地や建物といった不動産の相続税評価額は、非上場株式と同様、時価よりも低くなることを活用するものです。
詳しい計算方法の説明は省略しますが、例えば、土地と建物をそれぞれ1億円、トータル2億円の不動産を購入した場合、その相続税評価額は、土地が6,500万円、建物が3,500万円のトータル約1億円まで引き下げられます。
その結果、相続税率20%を前提とすれば、約2千万円の相続税負担を軽減することができるのです。2億円の現金の相続税評価額は2億円ですが、2億円の価値ある不動産の相続税評価額は1億円なのです。個人財産の組み換え、つまり、現金という資産を不動産という資産に組み替えることによって、相続税対策を行うことができます。
それゆえ、事業を譲渡した後、必ず不動産投資を検討していただくことになります。
私が中小企業診断士でありながら、不動産業も営んでいるのは、空き店舗・停止した工場の処分だけでなく、不動産投資のサポートまで行っているからです。
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