接吻(くちづけ)から人間を

一触即発
漂う緊張感 不穏なる空気
案の定
低いうなり声から 一気にトーンを上げて
弾かれたように 一匹が駆け出すと
二匹は縺れあったゴムのように あたりを駆け回った
けれど
大して長くは続かない
鳴き声が止んだと思ったら
お互い
それ程離れていないところで
素知らぬ顔で・・・
*
橋下某の発言
「あれだけ銃弾が飛び交う中、精神的に高ぶっている猛者集団に休息を与えようとすると、慰安婦制度が必要なのは誰だって分かる」
こころが凍ります
人の尊厳だとか 愛だとかいったものは そこには何もない
こういう人が 教育改革だの憲法改正だの 小さくない力を持っていること
恐怖を感じます
本能に従い メス猫を追いかけて 時にはケンカもする ケモノたち
それは 自由恋愛の限り
本能=欲望の充足のため 与えられた知恵の実を駆使して
他人へ強いる犠牲も虐待も 正当化する術さえ持つ 我ら ケダモノ
「慰安婦」
この言い回しにも 人間の狡知に長けた 悪辣さが滲みます
それでも 己の醜い姿を鏡に映し 悔い改めることも人の叡智
考える葦である人間を「誰だって分かる」ほどに 狂わせてしまうのが戦争ならば
戦争などという 愚かな行いはしないことだ
つい先日(5月15日) 返還四十一年を迎えた沖縄で
今も変わらず アメリカ軍人・軍属による性犯罪行為が横行するのも
人が 人を 人として見ていない 差別意識の現れだ
敵国か 属国か 銃口は他者に向けられるためにある
*
よき正義(法則) ポール・エリュアール 大島博光訳
葡萄から 葡萄酒をつくる
石炭から 火をつくる
接吻(くちづけ)から 人間をつくる
それが 人間の温かい法則だ
戦争と悲惨に 抗して
死の危険にも めげず
ひたすら 自分を守る
それが 人間の厳しい法則だ
水を 光に変える
夢を 現実に変える
敵を 兄弟に変える
それが 人間の優しい法則だ
古くて新しいひとつの法則が
完全をめざして進んでゆく
子どものこころの奥から
最高の理性にいたるまで
母の日に

母の日に、少しだけ郷里の母と電話で話した。
実家の向かいに住む、私と同じ年の幼馴染みのお父さんが亡くなったと母は告げた。
以前にも書いたけど、その幼馴染みとは、同じ中学へ通う3年間、ほぼ毎日を一緒に過ごした。
学校の勉強はまったくと言っていいほど出来なかったが、まさに「野生児」という言葉がぴったり来るようで、中学入学時に生まれ故郷へと戻った私のよき師匠であった。
魚釣りから、自然薯掘り、価値のある(売り物になる)自生蘭の見分け方等々・・・。
高校からは別々で、私はそれなりに受験生となり、東京の大学へと進み、彼は郷里に留まり、帰省時に偶に会えば、やはり、釣りの話ばかりをしていた。
そんな彼も結婚し、子供が生まれ、実家から少し離れた町に家を構えたというのを知ったのも、いつだったかの母からの電話だったかもしれない。
「 ○○君(幼馴染み)がね、葬儀も中心になって仕切ってね、立派だったよ 」
「 最近は、(お母さんが) ひとりで淋しいだろうと、よく泊りに帰ってるよ 」
「 ウチはね・・・もうそういうことは無いと諦めてるから、最後までお父さんとふたりでね 」
なんとも、相槌も打てない間があって、母が続けて言った
「 ウチはね、まだしばらく大丈夫よ。余計なこと考えなくていいから。毎日、歩いているよ 」
・・・そんなに遠い訳も無く、ましてや余計な話でも無いのも分かってる。
なのに、なのにね・・・。
ごめんね、おかあさん。

「 stars 」 FreeTEMPO
とある夕景

昼が海へ出て
夜が陸へはひる時
汝の髪が見えなくなる
すべての窓に汝の手がうつる。
ブリス、カーメン。
喜びの女が歩く
汝の言葉は
五月の閉された朝。
西脇順三郎 『ガラス杯』(一部)
*
空のグラスが色を満たす時
人々は皆 同じ方角を向いて 言葉少なになる
晴れた日の夕暮れなら どこでだって
きっと 昔から・・・ずっと
知らず 知らず 受け継がれた儀式
*
土地柄のせいか
やや 神妙さに欠けるものの
思ったよりも私たちは信心深い
西の空に掲げられた一枚の絵に
心奪われずには いられないのだから

昔 江ノ電に乗っているスーツ姿や学生服を見ると気の毒に思えました
混んだ車内に無理矢理ボードを持ち込んで 女の子たちは灼けた肌を露出させて
板張りの床は海の砂でざらつき その上をビーチサンダルがぺたぺたと
どうしたって 学校や会社に行くのが嫌になりはしないかと・・・
けれど そんなちょっと生活感の無いところも また 良さなのかも知れない
そんな訳で 少しだけ日常から離れて ここで眺める夕暮れも
しんみりともなり過ぎず 深く考え過ぎてしまうことも無く
西脇順三郎の詩のような 明るい透明感のある美しさのまま 暮れてゆくのかも知れません
久し振りにドライブ・夕暮れ編。 最後に稲村ケ崎を越えると江ノ島と富士山が見えます^^