めずらしく、何もすることがない夜。
本棚から何を選ぼうかな・・・。
手にしたのは、「橋をかける 子供時代の読書の思い出」(文春文庫) 美智子
美智子皇后が1988年9月21日、インド ニューデリーで行われた
国際児童図書評議会の初日に、基調講演されたときの初稿です。
私ごときが物申すのも畏れ多いのだけれど。
様々なことが一挙に襲いかかってきて、打ちひしがれそうな夜。
美智子様のお言葉は、私の心に確かな「根っこ」を張らせてくださいます。
美智子様ご自身、少女時代に、まさか自分が後に、こんな人生を歩もうとは、
夢にも思われていなかったでしょうから。
それでは、抜粋させて頂きます。後のコメントはなしにして。
今振り返って、私にとり、子供時代の読書とは何だったのでしょう。
何よりも、それは私に楽しみを与えてくれました。
そして、その後に来る、青年期の読書のための基礎を作ってくれました。
それはある時には私に根っこを与え、ある時には翼をくれました。
この根っこと翼は、私が外に、内に、橋をかけ、自分の世界を少しずつ広げて育っていくときに、
大きな助けとなってくれました。
読書は私に、悲しみや喜びにつき、思い巡らす機会を与えてくれました。
本の中には、さまざまな悲しみが描かれており、私が、自分以外の人がどれほど深くものを感じ、
どれだけ多く傷ついているかを気づかされたのは、本を読むことによってでした。
(中略)
そして最後にもう一つ、本への感謝をこめてつけ加えます。
読書は、人生の全てが、決して単純でないことを教えてくれました。
私たちは、複雑さに耐えて生きていけなければならないということ。
人と人との関係においても。国と国との関係においても。