「会計処理の方法により、財務諸表は変わる」というテーマの続きです。
今回は、費用=経費についてです。
「会社計算規則」に、「償却すべき資産については、(中略)相当の償却をしなければならない。」という規定があります。
ここでは、どのように償却をすればよいのかについては規定していません。
「相当」であれば良いわけです。「相当」とは、「適正」という意味です。
償却すべき資産の代表的なものに、減価償却資産があります。
減価償却資産とは、建物、機械装置、車両運搬具、工具、器具備品などです。
どのように減価償却をするのかについては、二つのことが問題になります。
第一点は、償却の方法です。
定額法なのか、定率法なのか、その他の方法なのかを選択することになります。
もう一点は、何年にわたって償却するのかという償却期間の問題です。
この償却の期間を耐用年数といったりもします。
この償却の方法や償却期間は、会社が適切と思う方法を選定することになります。
ちなみに、税法では「法定耐用年数」というものを設けているとともに、償却方法についても規定しています。
ただし、ここでは税法の問題は無視して進めます。
例えば、A社とB社がそれぞれ300万円の備品を取得したとします。
償却の方法は両社とも定額法を選定しました。
ただし、A社は、償却期間を3年、B社は償却期間を5年とした場合です。
A社のケースはこうなります。
減価償却費は300万円÷3年=100万と計算され、損益計算書に減価償却費100万円が計上されます。
貸借対照表には、器具が200万円(=300万円-100万円)計上されることになります。
一方、B社のケースはこうなります。
減価償却費は300万円÷5年=60万円と計算され、損益計算書に減価償却費60万円が計上されます。
貸借対照表には、器具が240万円(=300万円-60万円)計上されることになります。
どちらかが正しくて、どちらかが間違った「会計処理」を行っているということにはなりません。
A社は耐用年数を3年、B社は耐用年数を5年と見積もったわけです。
合理的な基準で見積もったのであり、それぞれの会社にとって「適正」であれば問題はありません。
非常に単純な例ですが、「会計処理の方法」により財務諸表は、異なってきます。
しかも、いずれも適正な財務諸表です。
一点付け加えておきます。
「それぞれの財務諸表が適正である」ということを、どう担保するのかという問題は残ります。
つまり、「会計処理の方法が適正だったのかどうか」という問題です。