会計事務所の一日 -18ページ目

昨日のお話を続けたいと思います。


「ある金融機関から、どうしても借りて欲しい。」と言われて悩んでいるお客様です。


私は、こうアドバイスしました。


「この金融機関には、いつもドレッシングに協力していただいています。」

「今回は、当社が協力しましょう。」

「ただ、金利の交渉だけはきちんと行ってください。」


ただ、それだけです。

担当役員の方も、「そうだね」とおっしゃって、それで終了です。


つまり、すでに「ドレッシング」は完了していたわけです。



過去、実際にあったお客様との打ち合わせを振り返ってみます。


決算前の打ち合わせです。

内容は、以前触れたとおりの「ドレッシング」の件です。

「ドレッシング」といっても、粉飾をするわけではなく、その逆でももちろんありません

前日までの財務状況は当然把握していますし、当期がどの程度の利益かもほぼ予測できています。

経営計画どおり実行してきたわけですから、当然といえば当然かもしれません。

あくまでも、日頃の積み重ねの最終確認です。


一朝一夕に「ドレッシング」はできません。

仮にそんなことができたとしても、見る人が見ればすぐにわかることですし、何の意味もありません。


このお客様は、6月末決算の法人でした。


「どうしてもある金融機関から、借入をして欲しい」と言われて悩んでいるとのこと。

そのお客様は、今はまったく資金ニーズはないという状況です。


ただし、日本でも四半期ベースでの開示が求められているので、その金融機関も必死です。

6月末といえば、まさにその該当日ですから。


さて、私はどうアドバイスをすれば良いのでしょうか?


現在は、「相手を知る」というステップです。






「中小企業の会計に関する指針」については、前回ご説明したとおりです。


中小企業は、この指針に基づいて適正な会計処理を行うという趣旨でした。


適用状況の確認は、勘定科目ごとに行います。


どうしてこんな確認作業が必要なのでしょうか。


第一義的には、キチンとこの指針に基づいた会計処理を行ったかどうかの確認を行うためです。


しかし、例外的にこの指針に基づかない会計処理を行う場合があります。

ただし、こういった場合には「指針に基づかない会計処理を行った理由と説明」が必要です。


よくあるケースとしては、減価償却の問題です。


会計上は、会社が選択した方法により計算した適正額を減価償却費として費用計上しなければなりません。


一方、法人税法上は減価償却費の計上は任意とされています。

費用計上しなくても構わないということです。


実務上、減価償却費の計上を行わない場合があります。


減価償却を行った結果、繰越欠損金が打ち切られてしまうようなケースです。


将来の税金コストを考慮して会計処理を行った結果です。


このケースでは、その理由と影響額を明記することになります。









「中小企業の会計に関する指針」は、中小企業の会計についてその指針を示したものです。


これでは、説明になっていませんね。


法人税法に、「別段の定めがあるものを除き、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従う」という規定があります。


会計処理の基準」については、会社によって様々な法律の適用を受けることになります。


債権者保護であったり、投資家保護であったりとその法律が求める会計処理を行う必要があるということです。


上場会社であれば、複数の書類を作成することになります。


中小企業についても、もちろん会計基準があります。

問題は、どこまで厳密に行うのかということです。

一定の基準がないと融資をしている金融機関など第三者は困ってしまいます


その基準として、中小企業に対してこの指針が設けられているのです。


中小企業であっても、「この指針に従って会計処理は適切に行ってくださいね」ということです。











今日、日本政策金融公庫から、突然の電話がありました。


「何だろう?」と思ったところ、アンケートに答えて欲しいとのこと。


新商品を検討しているので、意見を聴きたいということでした。


融資は伸ばしたいが、貸倒れも困る。何か良い方法はないのか。


というわけです。


主な内容は、「中小企業の会計に関する指針」の適用に関するチェックリストの活用方法についてでした。


チェックリストの作成と提出は、既に保証協会や民間金融機関では定着しています。


ところで、このチェックリストとはどんなものなのでしょうか。


チェックリストは、ある会社の計算書類について「中小企業の会計に関する指針」の適用状況を確認する書類です。


これでは何のことかさっぱりわかりませんね。


二点、ご説明が必要です。


まず、第一点は「中小企業の会計に関する指針」とはそもそも何なのか。


もう一点は「適用状況を確認する」とは具体的にどういうことなのか。


2回に分けてご説明したいと思います。



以前、お客様からフラット35についての質問がありました。

なにしろ、少し変わったスキームでしたから。

要するに、「対象になるのかどうか」という質問です。


取り扱い金融機関に聞きにくかったのか。

金融機関から十分な説明が受けられなかったのか。

それは、よくわかりません。


ただし、そのスキームを提案したのは私です。

もちろん、事前に確認はしました。

スキームを実行するというフェーズに入ったことから、再確認を行いました。

私は、「問題ないでしょう」とお客様にお伝えしました。

念のために再度、住宅金融支援機構に問い合わせ、問題ない旨の確認をとることができました。

ホームページはこちらです。→住宅金融支援機構


ところが、ここからが問題です。

もしやと思って、借入を申し込もうと思っている金融機関のホームページを見てみました。

なんと、フラット35の取り扱いがありません。


どうして、もしやと思ったのでしょうか。

最近、この金融機関は金融庁から業務改善命令を受けていました。


早速、普段から情報交換をしている同金融機関の方に尋ねてみました。

やはり、そうでした。


この経緯を、お客様に説明しました。

お客様も、思わず「ずっこけて」しまったようでした。


そこで、他行で申込をすることになり、無事、融資は実行されました。


その4で、「一行取引は絶対避けましょう」と書きました。


もしこの会社が一行としか取引をしていなかったことを考えるとゾッとします。


こんなことは、例外中の例外かもしれませんがあるのです。


さて、どんなスキームだったのでしょうか。


参考にしていただける部分もあるかもしれませんので、別に書きたいと思います。


<自分と相手を知る>というステップの続きです。


今回は、「相手を知る」というステップです。


相手=融資を申し込む金融機関でした。


まず、申込を受けた金融機関は、財務諸表をもとにスコアリングという作業を行います。

スコアリングについては、「その3」で触れました。


次に、事業計画書の検討を行うことになります。


ここまでのやりとりで、ほぼ融資の方向性が決まってしまうといってもよいでしょう。


先ほど、事業計画書という書類が登場しました。

実は、事業計画書は既に出来上がっているのです。

どういうことでしょうか。


「その1」「借入の目的は何か?」を確認しました。

この確認作業の中で、事業計画は出来上がってしまいます。

事業計画書は、この事業計画を書類にしたものに他ならないからです。


事業の収支見通しはどうか。返済原資はどうなのか。

借入金額はいくらで、返済期間をどうするのか。

こういったことを一つ一つ確認していくのですから、具体的な数字が入った書類にしてみなければわかりません。


もちろん、借入金融機関との打ち合わせも同時進行しています。

融資担当者は、稟議書を書くわけですから、書きやすい内容になっていなければならないわけです。


事業計画書は決して、何十枚にも及ぶものを作ってはいけません。

本人は説明を尽くしたつもりなのかもしれませんが、それを受け取った融資担当者は戸惑ってしまいます。

こういった計画書の場合は、どこがポイントなのか、よくわからないものが多いからです。


ところで、「相手を知る」というのはどういうことでしょうか。


借入を申し込んだ金融機関がどうやって審査するのかについては、今回、簡単に触れています。

そういうことの一つ一つです。


日頃から、各金融機関とのコミュニケーションを心がけておくことが重要です。

情報交換もそうです。


いろいろなことがわかります。


例えば、各借入金融機関の決裁までの流れ。


大手行、地銀、信用金庫等、さらに政府系金融機関の状況。各金融機関の貸し出しのスタンスが現在どうなのか。

大手行は厳しいけれども信用金庫は大丈夫だとか、あるいはその逆も当然あります。


貸し手側の都合もいろいろあるのです。


そういう意味でも、一行だけとの取引は絶対にやってはいけません

複数行との取引が絶対です。


各金融機関それぞれ都合があるわけですし、その本音もそうです。


自行で融資をしたい。

しかし、今はできないというケースもありうるわけです。








「改正貸金業法」「中小企業金融円滑化法」について、もう一度整理をしておきたいと思います。


平成22年6月18日から「改正貸金業法」が完全施行されています。


詳しい内容は、こちらです。→金融庁ホームページ


完全施行により、「総量規制」が導入されています。


9月の金融庁の発表によれば、「施行後大きな混乱はない」ということです。


でもやはり、今後が心配です。特に、年末や年度末が。



平成21年12月4日から「中小企業金融円滑化法」が施行されています。


なお、この法律は、平成23年3月31日までの時限措置となっていますので注意してください。


詳しい内容は、こちらです。→金融庁ホームページ


「中小企業金融円滑化法」について、少しコメントしておきたいと思います。


期限は来年3月末までとなっていますから、今後の国会で、法律の期限を延長するかどうかの議論が出てくるものと思われます。



この法律の施行前から、私からお客様へ「借入金の返済方法の変更を金融機関お願いしてはどうですか」というご提案をしたことがあります。



業界用語になりますが、「リスケ」というものです。

「リスケ」というのは、「リスケジューリング」を意味します。


ただ、私自身、注意していたことがあります。

実態は「リスケ」なのですが、貸し手側=金融機関から見ても、そうならないように注力したということでした。


なぜならば、どうしても「リスケ」後は借入金融機関の対応が変わってくることがあるからです。


しかし、借入金融機関とのコミュニケーションがキッチリとれていれば、大丈夫です。












前回の補足を少ししておきたいと思います。


経営分析は、通常、決算時の財務諸表で行います。


例えば、3月決算の会社であれば、「3月末の時点」ということになります。


ということは、3月末時点での財務諸表の内容をどう良く見せるかという問題もあります。

決算書のお化粧=ドレッシングという作業です。

4月になってからでは、手が打てませんから、事前にできることは行っておかなければなりません。

粉飾をするとかその逆をするとかそういう意味ではありません。

取引先の協力が必要な場合もありますが、どうしても決算時の財務諸表ですべてが数値化されてしまうわけですから、できうる対策は十分尽くしておく必要はあると思います。


では、具体的にはどうすれば良いのでしょうか。

ただ、こればっかりは、その企業によって異なります。

具体的に企業を例にとって、行ってみればコツはわかると思います。

書籍でも、紹介されていると思いますので、それを読んでみるのも一案です。

おそらく、セブン&アイ・ホールディングスとイオンを比較したりしている書籍があるはずです。


そういう意味では、経営分析の方法をあらかじめ知っているのと知らないのでは大きな違いがあるわけです。


<自分と相手を知る>というステップの続きです。


前回、経営分析について触れましたが、中小企業庁のホームページにも「経営自己診断システム」 という、日本政策金融公庫よりもっと簡易なものがありますので、そちらを利用するのもよいと思います。


もちろん、どちらも無料で提供されています。

もうひとつの利点は、類似業種の企業と比較するデータが最新のものである点も見逃せないかもしれません。


「経営分析を行ってみる」ということをお勧めしているのには理由があります。


どの金融機関でも、借入申込企業の財務諸表から、必要なデータをコンピュータに入力し、スコアリングという作業を行っています。


このスコアリングという作業はざっくりいって、経営分析を行っているということに他なりません


「自分を知る」ということは、まず、経営分析を行うこと。


ただ、経営分析は万能ではありませんから、それぞれの会社固有の事情を把握することも重要です。


まず、自社の現状を定量的に分析し、次に定性的な部分を加味して、認識するという作業になります。


定量的というのは、数字で表現できるもの。

定性的というのは、数字では表現が難しいけれども、自社の強いところや弱いところということになります。