担当:まか、さり
8章 クチコミとソーシャルメディア
8-3 インフルエンサー・マーケティングは有効か?
8-3-1 自己申告によってインフルエンサーを見つける
a インフルエンサー(influencer):少数だが非常に影響 力が高い人々
b オピニオン・リーダ(opinion leader):特定分野に詳 しい市井の人々
→オピニオン・リーダを発見する1つの方法に、質問紙 調査によって本人に答えてもらう方法がある
c 2ステップフロー(two-step flow):マスメディアの影 響が一般大衆(マス)に直接及ぶというより、オピニオン・ リーダが介在することで2段階で届くこと
→マーケティングでもオピニオン・リーダの役割は注目 されている
8-3-2 ネットワークを調査してインフルエンサーを見つ ける
a 特定の人を取り巻く社会ネットワークを把握すること で当人の潜在的な影響力を探ろうという考えが生まれた ∵ 質問紙調査によって本人に自己申告させる方法がど こまで正確か分からないから
Ex) iPhoneが発売されたとき、ある企業内部で誰が誰と それについて会話し、購入への態度がどう形成されたか を調査
→ところどころ比較的次数の大きな個人がいる
c iPhone の購入者を増やすには、このネットワーク上の 誰をシードとしてクチコミを伝播させるとよいのかをシ ミュレーション
→発売直後の会話ネットワークで次数が高い個人をシードにすれば、クチコミ伝播が購入を促進しやすい
8-3-3 ソーシャルメディア上のハブに影響力はあるか
a ゴールデンバーグらは、韓国のSNSのデータを入手し て、非常に次数が大きいハブが採用したアイテムを彼ら と直接リンクするユーザーが購入する確率を調べた
→ハブには周囲の購入を引き起こす影響力があることが 分かった
b ワッツは逆にハブをターゲットとするマーケティングの有 効性に疑問を持っている
(1) 人々がクチコミを伝播させるネットワークに、少数 のハブが存在するか?
(2) たとえハブが存在したとしても、周囲に対して影響 力があるか?
(3) ハブに影響力があったとしても、それは持続的か?
(4) ハブに持続的な影響力があったとしても、それをタ ーゲットにしたときの成果はコストに見合うか?
c インフルエンサー・マーケティングを考えるときに注 意しておくこと
(1) ハブだけがインフルエンサーの候補ではない
(2)インフルエンサーかどうかの最終判断では、影響力を どう測るかが重要
(3)一時的にインフルエンサーをシードとするキャンペ ーンでも、迅速に実行できるなら有効である可能性があ る
(4)インフルエンサーを見つけ、彼らを動かすコストを考 慮する必要がある
8-3-4 ハブ以外のインフルエンサーをどう見つけるか
a ソーシャルメディア上のネットワークが詳細にわかれ ば、次数以外の基準で(ハブでは必ずしもない)シードを 選べる
b 中心性(centrality):ネットワーク上の個人の重要性 を示す指標
c 次数中心性(degree centrality):次数の指標
d 近接中心性(closeness centrality):自分と他の個人 との距離の平均の逆数で計算され、他者への距離が短い ほど近接中心性は高くなる
→個人間の距離によってクチコミの到達時間が決まるな ら、近接中心性の高い個人をシードとすることで情報伝 播が最も速くなる
e 媒介中心性(betweenness centrality):その個人がネ ットワークからいなくなることで、2 者間に情報が流れ なくなるケースがどれだけ増えるか
→媒介中心性の高い人々は情報伝播で橋渡しをしている ことが多く、彼らが情報を遮断するとクチコミは伝播し なくなる
f ページランク(PageRank):検索されたウェブページを 表示する優先度を決めるため開発された
→この値はページランクの高いページからリンクを張ら れているほど高くなる
→人間の評判に当てはめると、より多くの評判の高い人 から評価されている人ほど評価が高くなる
8-4 ソーシャルメディアで顧客と対話する
8-4-1 ソーシャルメディアとは何か
a ソーシャルメディア(social media)といわれているの は、YouTubeなどの画像共有サービス、Facebookに代表 される SNS、Twitter に代表されるマイクロブログなど 多岐にわたる
b ソーシャルメディアに共通する特徴の1つは、ユーザ ーあるいは消費者が自らコンテンツをつくり出すこと →この点を捉えて、UGC(User-Generated-Content)や CGM(Consumer-Generated Media)などと呼ばれる
c もう1つの特徴はユーザー間で双方向のコミュニケー ションが可能なこと
→企業がソーシャルメディアを利用する場合、一方的に 情報を流すだけでなく、顧客と双方向のコミュニケーシ ョンが可能になる
8-4-2 Twitterによる顧客とのコミュニケーション
a エンゲージメント(engagement):いいね、返信、リツ イートといったユーザーの反応
←リツイート(retweet:RT):自分がフォローしているユーザーのツイートを、自分をフォローしているユーザー 全員に転送する機能
→RT されたツイートを見たフォロワーがさらにRTすれ ば、情報は大規模に拡散する
b Twitterを用いた顧客との対話の実態を探るため、ツ イートの分析をした
→顧客が企業のツイートに返信し企業がさらに返信する ことで、自然と双方向コミュニケーションが活発になる
8-4-3 Twitterではどのように情報が拡散するか
a Twitterでは誰をフォローしているか、そこでRTや返 信がなされたかどうかでユーザー間にネットワークが形 成される
b RTによって最終的に何人まで到達したかの分布では、 べき分布が当てはまる
←べき分布:右に裾が非常に長い分布
→RTされる回数が多いほど、そのようなツイートは少な くなる
c フォロワーの数が多いからといって、企業ツイートに 対するRTのリーチが平均的に大きくなるわけではない
→フォロワーが少なくても、リツイートの連鎖によって リーチが大きくなることが十分あり得る
8-4-4 ソーシャルメディアの企業利用は「傾聴」から
a ソーシャルメディアの企業利用
(1) 顧客の声を聴く「傾聴」
(2) 顧客との「会話」(対話)
(3) 自ブランドのファンに対する「活性化」
(4) 顧客どうしの助け合いの「支援」
(5) それらすべての「統合」
b ソーシャルメディア上の発言を収集して分析すること が、現代的なマーケティング・リサーチの一手法として 期待されている
∵ ソーシャルメディア上の発言には、顧客が日常生活で 感じた自然な気持ちが表れているから
8-4-5 トリプルメディア時代のメディアミックス
a トリプルメディア(triple media):ペイドメディア、 オウンドメディア、アーンドメディアという3つに分類 する
←企業のソーシャルメディア利用が傾聴の次の段階であ る、顧客との対話や協働の段階に進むにつれて生まれた
b ペイドメディア(paid media):カネを出して買うメデ ィア
Ex) インターネット、広告
c オウンドメディア(owned media):自社が所有するメ ディア
Ex) カタログ、広報誌、自社のウェブサイト d アーンドメディア(earned media):買うことも所有も できない外部の一般メディア
←伝統的な PR ではマスメディアのニュースをアーンド メディアとして活用
e 3種のメディアをいかに統合的に活用するかが現代の マーケティング・コミュニケーションの鍵になっている
9章 チャネルとプロモーション
9-1 チャネルとSPが最後の決め手になる
9-1-1 流通構造の変化とチャネル選択
a 消費財メーカーと顧客の間に、何層にもわたって流通 業者が介在していた
メーカーが大規模になるにつれ卸売業者に代わり自社の 販売会社をつくったり、小売業者を系列化してチャネル が垂直に統合された
その後巨大スーパーや量販店、コンビニエンスストアな どが登場し小売業者の大規模化が起きる
9-1-2 配荷率がマーケットシェアに直結する
a 配荷率:カテゴリーの製品を扱っている全国の店舗に 自ブランドの製品がどれだけ置かれているかを示す比率 b 配荷率とマーケットシェアの関係
→配荷率が高いとマーケットシェアが高い
c 配荷率が高い企業
→広告が活発でブランドが確立しているため、マーケテ ィング力が傑出している
d 顧客とのシェアを拡大するには
→傘下に多くの店舗をもつ流通業者と取引する
9-1-3 広告による記憶を素地に店頭で刺激する
a 広告を見た顧客がすぐに店舗を訪れることはなかなか ない
顧客がたまたま店舗を訪れ記憶のなかの購入意向が想起されることがありそうな展開
記憶を蘇らせるには店内に刺激が必要
それにより製品に気付き購入確率が上がる
b 顧客の意思決定には2パターン
記憶ベース:広告が記憶を作り出す
刺激ベース:店頭で注意を惹きつける
9-1-4 セールスプロモーションの一般的な分類
a セールスプロモーション(sp:Sales Promotion 以下sp)は3パターン
b 消費者プロモーション:メーカーが顧客に対して行う
c トレードプロモーション:メーカーが小売業者に対し て行う
d 小売プロモーション:小売業者が顧客に対して行う
9-1-5 対消費者プロモーションの分類
a 顧客を店舗に誘う
→来店者のインセンティブ付与と同時に来店の呼びかけ を行うもの
Ex) クーポンなど
b 店内を回遊する顧客の注意を製品に惹きつける手段で今買わねばと思わせる
→最後の段階で購入を迷う顧客に決め手となるのが、いま買うと得と感じさせること
Ex) 増量パックやキャッシュバックなど
9-2 顧客は店頭で何を考えているのか
9-2-1 非計画購買があるからこそspは重要になる
a 非計画購買:買物客が小売店を訪れた時、事前に予定 していなかったカテゴリーやブランドを購入すること
b 非計画購買が高いと小売業者にとって売上が増える可能 性が高まるため好ましい
c しかし本来自ブランドを買うために、来店した顧客が 他ブランドにスウィッチするおそれもある
9-2-2 購買はしばしば無意識に行われる
a 非計画購買が生じる背景には、店頭が情報と刺潡に満 ちていること、市場にあまりに製品が多くて来店前に選 ぶことが難しいことなど
Ex) 最後の点を立証した心理実験
実際のスーパーマーケットの売場に4種類のネグリジ ェをおき、実験参加者に1つだけ選択させてなぜそれを選 んだのかを質問した
→実験参加者たちの多くは、その質問に対して「品質がよ かったから」などと答えるが店頭に並べられていた製品 は、実は中身は全く同じでどれが多く選ばれたかを分析 すると、製品の陳列位置の効果が認められたが参加者た ちは「本当の」理由には全く気づいていない
9-2-3 ショッパーインサイトを探る調査方法
a ショッパーインサイト:顧客が実店舗やECサイトなど で「なぜその商品を手に取り、購入に至ったのか」とい う無意識の心理や行動の動機
→本格的に実施する機会が限られているのも事実
b 最近では、買物行動を自動的に測定する手法が実用化 されている買物カートにICタグをつけ位置情報を計測し、 買物客が店をどのように回遊したかの動線を記録する
9-3 どんなとき顧客は「お得と」感じるのか
9-3-1 購買に立ちはだかる壁を乗り越える
a 買物客が最後の決断で悩むのは、価格 この価格はこの製品の価値に対して適切か、同じ品質で もっと安い製品があるのではないか、別の店に行けば同 じ製品をもっと安く売っているのではないか、この店で もそのうち値下げするのではといった思いが頭をよぎる
b そこで、SPの出番となる
→いま、ここで買うことが最もお得である、と買物客の説 得に乗りだす
→そのために、いまここでしか得られない「特別待週」を 提示する
こうした特別待遇の提供は、一般に期限を切ったほうが 効果的
∵ いま、ここで決めないと損をすると思わせることが重 要なため
9-3-2 値引きはなぜ「お得」と感じられるのか
a 最初から低価格にするより一旦高くして値引きした方 が、支払う額は同じなのに顧客には魅力的に感じられる
9-3-3 値引きの効果を低減させる要因―参照価格
a 値引きにより価格が参照点より下がると顧客は利得だ と感じる 値引きを長く続けると、顧客は値引き後の価格を参照価 格だと思うようになる
b 値引きをやめて価格をもとに戻したら価格水準は前に 戻っただけだが、参照価格が下がっているので顧客には 損失と受け取られて、損失回避のため以前値引きで得た 価値の増加分より価値の減少分が大きくなる
→以前購入していた顧客すら失うおそれがある
9-3-4 無料と聞いた途端、顧客の態度は一変する
a 顧客にお得と思わせるSPに、様々なプレミアム(おまけ)がある プレミアムが効果を持つ理由の1つは、「プレミアムは無 料」だと顧客が感じることだと考えられる
b Ex) 高級チョコレート1個15セント、ふつうのチョコ レート1個1セントにして選ばせる実験を行うその結果、 73%が高級チョコを、27%がふつうのチョコを選択
→次の実験で、高級チョコを1個14セント、ふつうのチョコ を無料にすると高級チョコを選んだ人は31%に激減
→どちらの製品もたった1セント値下げしただけなのに、効 果の差は劇的
c 価格が無料になったとたん、顧客の頭のなかで、別の 回路のスイッチが入った
9-4 デジタル化がチャネルを変える
9-4-1 オンラインで「摩擦なき商取引」が実現するのか
a インターネットの普及とともに、電子商取引(EC: electronic commerce)が着実に人々の生活に浸透
b オンライン・チャネルでは、買物客は検索エンジンや 価格比較サイトを使って、同じ製品をより低価格で提供 している店舗を容易に探すことができる
→摩擦なき商取引であり、オフライン・チャネルに比べ て価格は低下するのではないかと一時期期待
c しかしオンライン上の買物行動であっても、店舗のブ ランド力、信用、過去の取引経験といった価格以外の要 因が働いており、摩擦のない商取引という期待は外れた
d オンライン・チャネルでもオフライン・チャネルでも、 価格への反応という点で本質的な差がない
9-4-2 オフライン・チャネルでSPをカスタマイズする
a オフライン・チャネルでも、カスタマイズされた対応 が可能になってきた
b 個人を識別するために、ポイントカードが使われる
これは、顧客のリピートを促すロイヤルティ・プログラ ムのツールであると同時に、カスタマイゼーションのた め個人を識別するツールにもなる
c 個人を識別できれば、より精細にカスタマイズされた クーポンを発行できるのは確か 過去の購買履歴等の情報を用いて、個々の顧客に最も効 果的な割引率を割り出す
9-4-3 モバイルメディアの普及がさらにSPを変える
a スマートフォンが普及した
→店内や店舗の近くにいる買物客に個別かつ直接にアプ ローチすることが可能になる
b 潜在顧容の位置情報に合わせて、最寄りの店舗や売場 の情報やクーボンを電子メールで送ることは、ガラケー の時代から考えられていたが、スマートフォンになった ことで、より高度なカスタマイゼーションが可能になっ た
c モバイルメディアから、ユーザーについて様々な情報 を入手できる
9-4-4 マルチチャネルからクロスチャネルへ
a マルチチャネル:オンライン・チャネルからの質が増 える一方、現実にはオフライン・チャネルも存在し、顧 客はしばしばそれらを併用する
b クロスチャネル:客は「探索」「購買」という目的に 合わせてチャネルを使い分ける
c ショールーミング: 製品の探索をオフラインの従来 型店舗で行い、購買をオンラインで行う
→こうした買物行動が広がると、オフラインの小売業者は 全く儲からない
d ウェブルーミング(webrooming):オンラインで製品 を探索し、購買するときはオフラインの店舗で行う
e オンライン小売業者が困り、彼らのなかにはオフライ ンの店舗を持つ動きが現れる
→その典型がアマゾンで、米国で書店やコンビニの実店 舗を導入したり、高級スーパーのホールフーズを買収し ている
9-4-5 オンライン・チャネルが可能にするロングテール 型ビジネスモデル
a ロングテール:オンライン・チャネルでは裾(テール =尻尾)が右に長い発上の分布
→テールにあるニッチ(niche)なアイテムから得られる 利益の合計がそれなりの水準(例えば全体の3分の1程度) になると主張
b ニッチなアイテム
→ 特定の限られた顧客や特殊なニーズに応える商品
c 大規模倉庫から配送する場合、保存性が高い製品であ る必要がある
9-4-6 推薦によってニッチなアイテムを売る
a 推薦(recommendation)システム
クロスセル(cross sell):過去の購買に基づき、関連 するアイテムを推薦
アップセル(up sell):より高い価格帯のアイテムを推 薦する
b 推薦に用いられる1つの原理
協調フィルタリング:ある顧客に対して、選好が似た他 の顧客がすでに買っていて、本人がまだ買っていないア イテムを推薦
顧客の選好が他の誰と似ているかを知る
→過去の購買履歴を見るのが効果的
c 内容ベース・フィルタリング:顧客の過去の購買履歴 とアイテムの属性がわかれば、選択モデルなどを用いて 各顧客の属性への選好を推定できる
d これらの2つの原理を複合し、独自の工夫を凝らした さまざまな推薦手法が開発されている
売上分布のテールにあるニッチ・アイテムが売れる
→ロングテール型ビジネスモデルは成功
9-4-7 テールの品揃えはどんな意味を持つのか
a 購入金額の大きい顧客が売れ筋だけでなく、ニッチな アイテムも多く買う
→彼らがその製品カテゴリーに深く関与しており、自分 の個別的なニーズに合ったアイテムを求めている
購入金額が非常に小さい顧客でもニッチの購入比率が高 くなる
∵ 彼らは稀少なアイテムを買うためだけに、品揃えの豊 富なこの小売業者を訪れたから
b 全体としての購買金額が大きい顧客を維持しまた勧誘 するのにニッチのアイテムの品揃えが武器になっている
→売れ筋とニッチのアイテムをうまく組み合わせるロン グテール型ビジネスモデルは、顧客サイドを分析する