担当:まか、さり

Q1. 8-3-3 の比較的次数の大きな個人がいるとは、どういう 意味ですか? 

A1. 次数とはネットワークを形成する各点が持つリンク数の ことですので、次数の大きな個人とはリンク数が多い個人の ことを指します。 

Q2. 8-3-1 の市井とは何ですか?

 A2. 市井とは庶民が生活する場所などの意味があり、市井の 人という言葉になると市中に住む人という意味です。(1)

 Q3. インフルエンサーという言葉は最近よく聞く言葉です が、いつからある言葉なのですか? 

A3. インフルエンサーという言葉が多く使われるようになっ たのは、ブログの利用者が急増した2007年頃からといわれ ています。(2)

 Q4. フォロワーが少なくてもリツイートが多かった企業のツ イートの例はありますか? 

A4. 例えば、アタゴ空調設備株式会社がダイキンのストリー マ空気清浄機があたるキャンペーンのツイートです。当時の フォロワー数は13,000人ほどでしたが、リツイート数は 5,713 件もありました。分かりやすい投稿でハッシュタグを 上手く活用している点が、リツイートが多くなった一因だと 考えられています。(3) 

Q5. 8-4-2 のbで、顧客と企業が自然と双方向コミュニケー ションが活発になるとありますが、これの代表例はなにかあ りますか? 

A5. 例えば、象印マホービンが挙げられます。象印マホービ ンのXのアカウントでは、リプライに対する返信に加え、製 品の購入や利用をしている投稿を探してお礼の返信を行って います。(4) 

Q6. インフルエンサーマーケティングを起用するときの企業 側のメリットについて詳しく知りたいです。 

A6. インフルエンサーマーケティングのメリットは、信頼性 の高い情報発信ができる、SNS上での話題性・拡散力があ る、若年層や特定のコミュニティに強く届くなどの点が挙げ られます。(5)

 Q7. 9-4-4 のマルチチャネルからクロスチャネルへとはどう いうことですか? 

A7.「マルチチャネル」とは実店舗やECサイト、アプリなど 複数の販売経路を持つことですが、それぞれが独立していま す。「クロスチャネル」へ進化させるとは、それらの顧客情報 や在庫データが裏側で連携され、店舗でネットの在庫を確認 したり、どこで購入しても同じポイントが貯まるようになる 状態を指します。

 Q8.ショールーミングとウェブルーミングのどちらの方が割 合として多いのですか?

A.8 ショールーミングの方が割合が大きいです。

 Q.9 非計画購買はどんな店で最も起こりやすいですか?

 A.9 非計画購買(いわゆる衝動買いや、店頭で買うことを決 める行動)は、「コンビニエンスストア」で多いです。 

Q.10 インサイトとは一般的に何ですか?

 A.10 本質を見抜くことを指します。 

Q11.消費財メーカーと顧客の間に何層にも渡って流通業者が 介在していたのはいつですか? 

A11.高度経済成長期(1950―1970年代にかけて)です。

 Q12.ウェブルーミングの商品とは一般的に何ですか? 

A12.家具、インテリアや家電製品などがあります。

 Q13.摩擦なき商取引の摩擦は何を指していますか? 

A13.消費者が買い物をした時に直面する時間的、金銭的な負 担を指します。 

担当:まか、さり

 

8章 クチコミとソーシャルメディア

 

 8-3 インフルエンサー・マーケティングは有効か?

 8-3-1 自己申告によってインフルエンサーを見つける 

a インフルエンサー(influencer):少数だが非常に影響 力が高い人々

 b オピニオン・リーダ(opinion leader):特定分野に詳 しい市井の人々

→オピニオン・リーダを発見する1つの方法に、質問紙 調査によって本人に答えてもらう方法がある

c 2ステップフロー(two-step flow):マスメディアの影 響が一般大衆(マス)に直接及ぶというより、オピニオン・ リーダが介在することで2段階で届くこと

→マーケティングでもオピニオン・リーダの役割は注目 されている

8-3-2 ネットワークを調査してインフルエンサーを見つ ける

a 特定の人を取り巻く社会ネットワークを把握すること で当人の潜在的な影響力を探ろうという考えが生まれた ∵ 質問紙調査によって本人に自己申告させる方法がど こまで正確か分からないから

Ex) iPhoneが発売されたとき、ある企業内部で誰が誰と それについて会話し、購入への態度がどう形成されたか を調査

→ところどころ比較的次数の大きな個人がいる 

c iPhone の購入者を増やすには、このネットワーク上の 誰をシードとしてクチコミを伝播させるとよいのかをシ ミュレーション

→発売直後の会話ネットワークで次数が高い個人をシードにすれば、クチコミ伝播が購入を促進しやすい

 8-3-3 ソーシャルメディア上のハブに影響力はあるか 

a ゴールデンバーグらは、韓国のSNSのデータを入手し て、非常に次数が大きいハブが採用したアイテムを彼ら と直接リンクするユーザーが購入する確率を調べた

→ハブには周囲の購入を引き起こす影響力があることが 分かった

b ワッツは逆にハブをターゲットとするマーケティングの有 効性に疑問を持っている

(1) 人々がクチコミを伝播させるネットワークに、少数 のハブが存在するか?

(2) たとえハブが存在したとしても、周囲に対して影響 力があるか?

(3) ハブに影響力があったとしても、それは持続的か? 

(4) ハブに持続的な影響力があったとしても、それをタ ーゲットにしたときの成果はコストに見合うか?

c インフルエンサー・マーケティングを考えるときに注 意しておくこと

(1) ハブだけがインフルエンサーの候補ではない

 (2)インフルエンサーかどうかの最終判断では、影響力を どう測るかが重要

 (3)一時的にインフルエンサーをシードとするキャンペ ーンでも、迅速に実行できるなら有効である可能性があ る

 (4)インフルエンサーを見つけ、彼らを動かすコストを考 慮する必要がある

8-3-4 ハブ以外のインフルエンサーをどう見つけるか

 a ソーシャルメディア上のネットワークが詳細にわかれ ば、次数以外の基準で(ハブでは必ずしもない)シードを 選べる

 b 中心性(centrality):ネットワーク上の個人の重要性 を示す指標

c 次数中心性(degree centrality):次数の指標

d 近接中心性(closeness centrality):自分と他の個人 との距離の平均の逆数で計算され、他者への距離が短い ほど近接中心性は高くなる

→個人間の距離によってクチコミの到達時間が決まるな ら、近接中心性の高い個人をシードとすることで情報伝 播が最も速くなる

e 媒介中心性(betweenness centrality):その個人がネ ットワークからいなくなることで、2 者間に情報が流れ なくなるケースがどれだけ増えるか

→媒介中心性の高い人々は情報伝播で橋渡しをしている ことが多く、彼らが情報を遮断するとクチコミは伝播し なくなる

f ページランク(PageRank):検索されたウェブページを 表示する優先度を決めるため開発された 

→この値はページランクの高いページからリンクを張ら れているほど高くなる 

→人間の評判に当てはめると、より多くの評判の高い人 から評価されている人ほど評価が高くなる

 

8-4 ソーシャルメディアで顧客と対話する

8-4-1 ソーシャルメディアとは何か

a ソーシャルメディア(social media)といわれているの は、YouTubeなどの画像共有サービス、Facebookに代表 される SNS、Twitter に代表されるマイクロブログなど 多岐にわたる

b ソーシャルメディアに共通する特徴の1つは、ユーザ ーあるいは消費者が自らコンテンツをつくり出すこと →この点を捉えて、UGC(User-Generated-Content)や CGM(Consumer-Generated Media)などと呼ばれる

c もう1つの特徴はユーザー間で双方向のコミュニケー ションが可能なこと

→企業がソーシャルメディアを利用する場合、一方的に 情報を流すだけでなく、顧客と双方向のコミュニケーシ ョンが可能になる

8-4-2 Twitterによる顧客とのコミュニケーション

 a エンゲージメント(engagement):いいね、返信、リツ イートといったユーザーの反応

←リツイート(retweet:RT):自分がフォローしているユーザーのツイートを、自分をフォローしているユーザー 全員に転送する機能

→RT されたツイートを見たフォロワーがさらにRTすれ ば、情報は大規模に拡散する

b Twitterを用いた顧客との対話の実態を探るため、ツ イートの分析をした

 →顧客が企業のツイートに返信し企業がさらに返信する ことで、自然と双方向コミュニケーションが活発になる

 8-4-3 Twitterではどのように情報が拡散するか

a Twitterでは誰をフォローしているか、そこでRTや返 信がなされたかどうかでユーザー間にネットワークが形 成される

b RTによって最終的に何人まで到達したかの分布では、 べき分布が当てはまる

←べき分布:右に裾が非常に長い分布

→RTされる回数が多いほど、そのようなツイートは少な くなる

c フォロワーの数が多いからといって、企業ツイートに 対するRTのリーチが平均的に大きくなるわけではない 

→フォロワーが少なくても、リツイートの連鎖によって リーチが大きくなることが十分あり得る

8-4-4 ソーシャルメディアの企業利用は「傾聴」から

a ソーシャルメディアの企業利用

(1) 顧客の声を聴く「傾聴」

(2) 顧客との「会話」(対話)

(3) 自ブランドのファンに対する「活性化」

(4) 顧客どうしの助け合いの「支援」

(5) それらすべての「統合」

b ソーシャルメディア上の発言を収集して分析すること が、現代的なマーケティング・リサーチの一手法として 期待されている

∵ ソーシャルメディア上の発言には、顧客が日常生活で 感じた自然な気持ちが表れているから

 8-4-5 トリプルメディア時代のメディアミックス

a トリプルメディア(triple media):ペイドメディア、 オウンドメディア、アーンドメディアという3つに分類 する

←企業のソーシャルメディア利用が傾聴の次の段階であ る、顧客との対話や協働の段階に進むにつれて生まれた 

b ペイドメディア(paid media):カネを出して買うメデ ィア

Ex) インターネット、広告

c オウンドメディア(owned media):自社が所有するメ ディア

Ex) カタログ、広報誌、自社のウェブサイト d アーンドメディア(earned media):買うことも所有も できない外部の一般メディア

 ←伝統的な PR ではマスメディアのニュースをアーンド メディアとして活用

e 3種のメディアをいかに統合的に活用するかが現代の マーケティング・コミュニケーションの鍵になっている

 

 9章 チャネルとプロモーション

 

9-1 チャネルとSPが最後の決め手になる

9-1-1 流通構造の変化とチャネル選択

a 消費財メーカーと顧客の間に、何層にもわたって流通 業者が介在していた 

メーカーが大規模になるにつれ卸売業者に代わり自社の 販売会社をつくったり、小売業者を系列化してチャネル が垂直に統合された

その後巨大スーパーや量販店、コンビニエンスストアな どが登場し小売業者の大規模化が起きる

9-1-2 配荷率がマーケットシェアに直結する

a 配荷率:カテゴリーの製品を扱っている全国の店舗に 自ブランドの製品がどれだけ置かれているかを示す比率 b 配荷率とマーケットシェアの関係

→配荷率が高いとマーケットシェアが高い

c 配荷率が高い企業

→広告が活発でブランドが確立しているため、マーケテ ィング力が傑出している

d 顧客とのシェアを拡大するには

→傘下に多くの店舗をもつ流通業者と取引する

9-1-3 広告による記憶を素地に店頭で刺激する

a 広告を見た顧客がすぐに店舗を訪れることはなかなか ない 

顧客がたまたま店舗を訪れ記憶のなかの購入意向が想起されることがありそうな展開 

記憶を蘇らせるには店内に刺激が必要 

それにより製品に気付き購入確率が上がる

b 顧客の意思決定には2パターン

記憶ベース:広告が記憶を作り出す

刺激ベース:店頭で注意を惹きつける

9-1-4 セールスプロモーションの一般的な分類

a セールスプロモーション(sp:Sales Promotion 以下sp)は3パターン

b 消費者プロモーション:メーカーが顧客に対して行う 

c トレードプロモーション:メーカーが小売業者に対し て行う

d 小売プロモーション:小売業者が顧客に対して行う

9-1-5 対消費者プロモーションの分類

a 顧客を店舗に誘う

→来店者のインセンティブ付与と同時に来店の呼びかけ を行うもの

Ex) クーポンなど

b 店内を回遊する顧客の注意を製品に惹きつける手段で今買わねばと思わせる

→最後の段階で購入を迷う顧客に決め手となるのが、いま買うと得と感じさせること

Ex) 増量パックやキャッシュバックなど

 

9-2 顧客は店頭で何を考えているのか

9-2-1 非計画購買があるからこそspは重要になる

a 非計画購買:買物客が小売店を訪れた時、事前に予定 していなかったカテゴリーやブランドを購入すること

 b 非計画購買が高いと小売業者にとって売上が増える可能 性が高まるため好ましい

c しかし本来自ブランドを買うために、来店した顧客が 他ブランドにスウィッチするおそれもある

9-2-2 購買はしばしば無意識に行われる

a 非計画購買が生じる背景には、店頭が情報と刺潡に満 ちていること、市場にあまりに製品が多くて来店前に選 ぶことが難しいことなど

Ex) 最後の点を立証した心理実験

実際のスーパーマーケットの売場に4種類のネグリジ ェをおき、実験参加者に1つだけ選択させてなぜそれを選 んだのかを質問した

→実験参加者たちの多くは、その質問に対して「品質がよ かったから」などと答えるが店頭に並べられていた製品 は、実は中身は全く同じでどれが多く選ばれたかを分析 すると、製品の陳列位置の効果が認められたが参加者た ちは「本当の」理由には全く気づいていない

9-2-3 ショッパーインサイトを探る調査方法

a ショッパーインサイト:顧客が実店舗やECサイトなど で「なぜその商品を手に取り、購入に至ったのか」とい う無意識の心理や行動の動機

→本格的に実施する機会が限られているのも事実

b 最近では、買物行動を自動的に測定する手法が実用化 されている買物カートにICタグをつけ位置情報を計測し、 買物客が店をどのように回遊したかの動線を記録する

 

 9-3 どんなとき顧客は「お得と」感じるのか

9-3-1 購買に立ちはだかる壁を乗り越える

a 買物客が最後の決断で悩むのは、価格 この価格はこの製品の価値に対して適切か、同じ品質で もっと安い製品があるのではないか、別の店に行けば同 じ製品をもっと安く売っているのではないか、この店で もそのうち値下げするのではといった思いが頭をよぎる

b そこで、SPの出番となる

→いま、ここで買うことが最もお得である、と買物客の説 得に乗りだす

→そのために、いまここでしか得られない「特別待週」を 提示する

こうした特別待遇の提供は、一般に期限を切ったほうが 効果的

∵ いま、ここで決めないと損をすると思わせることが重 要なため

9-3-2 値引きはなぜ「お得」と感じられるのか

a 最初から低価格にするより一旦高くして値引きした方 が、支払う額は同じなのに顧客には魅力的に感じられる

 9-3-3 値引きの効果を低減させる要因―参照価格

a 値引きにより価格が参照点より下がると顧客は利得だ と感じる 値引きを長く続けると、顧客は値引き後の価格を参照価 格だと思うようになる

b 値引きをやめて価格をもとに戻したら価格水準は前に 戻っただけだが、参照価格が下がっているので顧客には 損失と受け取られて、損失回避のため以前値引きで得た 価値の増加分より価値の減少分が大きくなる

→以前購入していた顧客すら失うおそれがある

9-3-4 無料と聞いた途端、顧客の態度は一変する

a 顧客にお得と思わせるSPに、様々なプレミアム(おまけ)がある プレミアムが効果を持つ理由の1つは、「プレミアムは無 料」だと顧客が感じることだと考えられる 

b Ex) 高級チョコレート1個15セント、ふつうのチョコ レート1個1セントにして選ばせる実験を行うその結果、 73%が高級チョコを、27%がふつうのチョコを選択

→次の実験で、高級チョコを1個14セント、ふつうのチョコ を無料にすると高級チョコを選んだ人は31%に激減

→どちらの製品もたった1セント値下げしただけなのに、効 果の差は劇的

c 価格が無料になったとたん、顧客の頭のなかで、別の 回路のスイッチが入った

 

9-4 デジタル化がチャネルを変える

9-4-1 オンラインで「摩擦なき商取引」が実現するのか 

a インターネットの普及とともに、電子商取引(EC: electronic commerce)が着実に人々の生活に浸透

b オンライン・チャネルでは、買物客は検索エンジンや 価格比較サイトを使って、同じ製品をより低価格で提供 している店舗を容易に探すことができる

→摩擦なき商取引であり、オフライン・チャネルに比べ て価格は低下するのではないかと一時期期待

c しかしオンライン上の買物行動であっても、店舗のブ ランド力、信用、過去の取引経験といった価格以外の要 因が働いており、摩擦のない商取引という期待は外れた 

d オンライン・チャネルでもオフライン・チャネルでも、 価格への反応という点で本質的な差がない

9-4-2 オフライン・チャネルでSPをカスタマイズする

a オフライン・チャネルでも、カスタマイズされた対応 が可能になってきた

b 個人を識別するために、ポイントカードが使われる

これは、顧客のリピートを促すロイヤルティ・プログラ ムのツールであると同時に、カスタマイゼーションのた め個人を識別するツールにもなる

c 個人を識別できれば、より精細にカスタマイズされた クーポンを発行できるのは確か 過去の購買履歴等の情報を用いて、個々の顧客に最も効 果的な割引率を割り出す

9-4-3 モバイルメディアの普及がさらにSPを変える 

a スマートフォンが普及した

→店内や店舗の近くにいる買物客に個別かつ直接にアプ ローチすることが可能になる

b 潜在顧容の位置情報に合わせて、最寄りの店舗や売場 の情報やクーボンを電子メールで送ることは、ガラケー の時代から考えられていたが、スマートフォンになった ことで、より高度なカスタマイゼーションが可能になっ た

c モバイルメディアから、ユーザーについて様々な情報 を入手できる

9-4-4 マルチチャネルからクロスチャネルへ

a マルチチャネル:オンライン・チャネルからの質が増 える一方、現実にはオフライン・チャネルも存在し、顧 客はしばしばそれらを併用する

 b クロスチャネル:客は「探索」「購買」という目的に 合わせてチャネルを使い分ける

c ショールーミング: 製品の探索をオフラインの従来 型店舗で行い、購買をオンラインで行う

→こうした買物行動が広がると、オフラインの小売業者は 全く儲からない

 d ウェブルーミング(webrooming):オンラインで製品 を探索し、購買するときはオフラインの店舗で行う

e オンライン小売業者が困り、彼らのなかにはオフライ ンの店舗を持つ動きが現れる

→その典型がアマゾンで、米国で書店やコンビニの実店 舗を導入したり、高級スーパーのホールフーズを買収し ている

9-4-5 オンライン・チャネルが可能にするロングテール 型ビジネスモデル

a ロングテール:オンライン・チャネルでは裾(テール =尻尾)が右に長い発上の分布

→テールにあるニッチ(niche)なアイテムから得られる 利益の合計がそれなりの水準(例えば全体の3分の1程度) になると主張

b ニッチなアイテム

→ 特定の限られた顧客や特殊なニーズに応える商品

c 大規模倉庫から配送する場合、保存性が高い製品であ る必要がある

9-4-6 推薦によってニッチなアイテムを売る

a 推薦(recommendation)システム 

クロスセル(cross sell):過去の購買に基づき、関連 するアイテムを推薦 

アップセル(up sell):より高い価格帯のアイテムを推 薦する

b 推薦に用いられる1つの原理

協調フィルタリング:ある顧客に対して、選好が似た他 の顧客がすでに買っていて、本人がまだ買っていないア イテムを推薦 

顧客の選好が他の誰と似ているかを知る

→過去の購買履歴を見るのが効果的

c 内容ベース・フィルタリング:顧客の過去の購買履歴 とアイテムの属性がわかれば、選択モデルなどを用いて 各顧客の属性への選好を推定できる

d これらの2つの原理を複合し、独自の工夫を凝らした さまざまな推薦手法が開発されている 

売上分布のテールにあるニッチ・アイテムが売れる

→ロングテール型ビジネスモデルは成功

9-4-7 テールの品揃えはどんな意味を持つのか

a 購入金額の大きい顧客が売れ筋だけでなく、ニッチな アイテムも多く買う

→彼らがその製品カテゴリーに深く関与しており、自分 の個別的なニーズに合ったアイテムを求めている

購入金額が非常に小さい顧客でもニッチの購入比率が高 くなる

∵ 彼らは稀少なアイテムを買うためだけに、品揃えの豊 富なこの小売業者を訪れたから

b 全体としての購買金額が大きい顧客を維持しまた勧誘 するのにニッチのアイテムの品揃えが武器になっている 

→売れ筋とニッチのアイテムをうまく組み合わせるロン グテール型ビジネスモデルは、顧客サイドを分析する

第7章 広告―マスからネットまで 第8章 クチコミとソーシャルメディア -マーケティングは進化する 改訂第2版- Q&A

 

担当:まか、さり

 

Q1. インプレッションとはなんですか?

A1. インプレッションとは、ユーザーが実際に読んだかやクリックしたかに関わらず、画面に表示された時点で1回とカウントされるものです。

 

Q2. AIDMAとは何かもう一度教えて頂きたいです。

A2. AIDMAとは、それぞれ次のとおりです。

Attention(注意): 広告や店頭などで、まずは商品の存在に気づく(認知)

Interest(関心): 商品に興味・関心を抱く

Desire(欲求): 「欲しい」という欲求が芽生える

Memory(記憶): 欲しい商品を記憶にとどめる

Action(行動): 実際に店舗やECサイトで購入する

 

Q3. 広告ストックの増加や減少とは具体的にどういうことですか?

A3. 広告ストックの増加と減少とは、過去の広告投資が人々の記憶や市場に「資産(ストック)」として蓄積され、それが時間の経過とともに消費・減衰していく現象です。

 

Q4. バランス理論が難しかったのでもう一度教えて欲しいです。

A5. バランス理論とは、3者の関係性(P → O、P → X、O → X)の掛け合わせがプラス(+)になるとき、心理的に安定(バランスが取れている)状態とみなすがマイナス(-)になるときは不安定で不均衡な状態となることです。

 

Q6. TV広告をしなくなった商品の例は?

A6. 例えば、大塚食品のボンカレーや資生堂のスキンケア製品やなどがあります。

 

Q7. 7-3-4のプロファイルの識別は、例えばCookieの利用のことですか?

A7. はい、Cookieはお客様のウェブサイトを閲覧したユーザーのIDなどのことで、それを対応するビッダーに固有のユーザーIDと照合してより効果的な入札に役立つユーザーリストを作成し、そのドメイン内のユーザーを識別するために使用されます。

 

Q8. 7-3-5の従来広告配信の枠外とはどこですか?

A8. 例えば、個人ブログなどの草の根のウェブページです。

 

Q9. 図表7-18がよくわかりません。A₁~A₆は何ですか?

A9. A₁~A₆はメーカーのブランドのことです。図を横に眺めるとメーカーごと、ブランドごとでどの変数がどのような動きになっているかが分かります。

 

Q10. 8-1-2のbの例は何ですか?

A10. 例えば、携帯電話、LINE、Zoomが挙げられます。

 

Q11. 8-1-4のdのwは、ヒトによっては伝達しないのですか?

A11. はい、wが0.5のこともあれば1.0のこともあり、ヒトによっては伝達しません。

 

Q12. スノッブ効果の語源はなんですか?

A12. まずスノッブとは、元々「気取った人」「他人よりも上だと思っている人」を意味するイギリス英語です。そこから派生して、「他人と違うものを持ちたい」という心理が消費行動にどう影響するかを研究する中で、スノッブ効果という言葉が使われるようになりました。

 

Q13. 8-1-3のバンドワゴン効果のほかの例はありますか?

A13. 例えば、飲食店の前に行列ができていると、きっと美味しいのだろうという心理が働いて自分も並んでみようという気持ちになる、という例が挙げられます。

 

Q14. ハブの具体例はありますか?

A14. 例えば、ネットワーク以外だとUSBハブと呼ばれるものがあります。USBハブとは複数のUSB機器の接続を可能にする機器のことを指し、規格上は5段(6階層)までツリー上に接続でき、最大127台の周辺機器の接続を行うことができます。(

 

Q15. メディアミックスのなかで一番多い組み合わせはなんですか?

A15. 定番はテレビ×Webの組み合わせと言われています。具体的に言うと、テレビ視聴中にスマートフォンで検索する習慣が定着していることを活かして、テレビCMで認知を広げCM内のURL・QRコードでWebサイトに誘導します。

 

担当:ちだ、みみ


20 外へ向かう組織、第21 組織デザインのプロセスを開放する―ミンツバーグの組織論:7つの類型と力―Q&A



Q1.セクターとは何ですか?

A1.セクターとは全体を何らかの基準で分けたグループのことで、ここでは組織を構成する主体を基準に分けています。

 

Q2. 組織デザインのパーソナル型組織は、最高位者が組織構造をデザインしていくものなのですか?

 

Q3. 20-4の合弁事業の利益はどのように分配しますか

A3.利益配分は事前の契約や、出資比率によって決められる場合が多いです。(1)

 

Q4. 20-7-1の会合は寄り合いや、合同とは違うのですか。

A4.ここでの会合は、G7やG20などの会合を指していて、寄り合いの具体例です

 

Q6. 「組織らしくない組織」とは、具体的にどのようなコミュニケーションが取られている状態を指すのか。

 

Q8. 20-5-1のアーキテクチャの説明が=ではなく≒になっているのはなぜですか。

A8.アーキテクチャーには他にも「建築」や「構造」など多くに意味があるので完全に=で結べないからです。(2)

 

Q9.コンパクトカー「スマート」で、時計の「スウォッチグループ」は、もともとどのような自動車を作ろうとしてメルセデスと組んだのですか?

A9.スウォッチの創業者であるニコラス・ハイエックが1980年代に、「おしゃれでコンパクト、街中で使いやすい2人乗りの小型車」という構想を考え、当初はフォルクスワーゲンとの協力を図りましたが断られ、メルセデス・ベンツと手を組むに至りました。

 

Q10. IMPMによる社会的学習はどこの大学でされていますか?
A10. IMPMの社会的学習は日本の横浜国立大学、カナダのマギル大学、イギリスのランカスター大学、インドのインド経営大学院バンガロール校、ブラジルのFGV EBAPEで実施されています。

 

Q11.コアコンピタスの例として建設会社が挙げられていてコアコンピタスすなわち中核の強みは契約を獲得する能力と下請け会社を選ぶ能力とされており、なぜ本業の建設ではないのか気になりました。

A11.建設会社は実際の工事業務を下請け業者に委託することが多いため、本当の強みは「工事そのもの」ではなく、契約を獲得する力と、適切な下請け業者を選び、管理する力にあります。これらは他社に任せることができないため、コア・コンピタスとされています。

 

 

 

Q12. デザインには4つのアプローチがあるとありましたが、どのアプローチが多く使われているのですか?

 

 

Q13.21-0-6に出てきた組織の中で、どの組織が1番入りたいと思いましたか?

 

Q14.エア・カナダのポイントプログラムはどういう意味でコア・コンピタスなのですか?

A14.ポイント制度そのものだけでなく、ポイント制度によって顧客との関係性を維持し、長期間顧客を囲い込んで、収益を生み出す仕組みとして、コア・コンピタスになっているといえます。

 

Q15.「合同」、「寄り合い」はそれぞれ英語では何と言いますか?

A15.ヘンリー・ミンツバーグの、「Affiliating」を「合同」、「Associating」を「寄り合い」と翻訳しています。

 


担当:ちだ、みみ

 

第20章 外へ向かう組織、第21章 組織デザインのプロセスを開放する ―ミンツバーグの組織論:7つの類型と力―

 

第VII部 7つの類型を超えて
a 組織形態を7つの類型やハイブリッド型に限定して思考停止に陥る(ジグソーパズル型の思考)のではなく、遊び心を発揮して創造的に組織形態を考える(レゴ型の思考)べき
※ジグソーパズル型:形がはっきり決まったピースがあらかじめ用意されており、決まった形に組み立てることが想定されている
→理解することが難しいわけではなく、思考停止状態でも完成させることができる
※レゴ型:輪郭がはっきりしないピースを自分で見つけるなり、作るなりし、全く新しいことをつくり上げることが想定されている
→パズルを完成させるためには頭を使って理解し、謎を解く必要がある
b 特定の組織形態の類型にもハイブリッド型にも当てはまらない「特異例」に着目することで、組織形態の枠にとらわれずにものを考える機会が得られる可能性がある
→組織形態を7つに限定する必要はない
c どのようにして組織が境界線を開放するのか(第20章)
d 組織構造をデザインするプロセスをどのようにして開放するのか(第21章)
第20章 外へ向かう組織
a 組織の境界線に縛られていた組織が組織の外へ向かうようになった現象について論じる
←多くの組織で組織の内と外の境界線が曖昧になり始めている
20-1 垂直統合や多角化により境界線が確立されているパターン
20-1-1 垂直統合による境界線の確立
a 垂直統合によって事業活動のチェーンを長くする
→チェーンの上部では納入業者を、下部では顧客を組織の境界線の内側に取り込む
Ex)自動車メーカーがバッテリー製造会社を買収
20-1-2 多角化による境界線の確立
a 異分野の企業を買収して社内に取り込んだり、自社内で新しい事業を立ち上げる
Ex)ホンダの自動車以外の乗り物の製造
20-2 外へ伸びるネットワーク

20-2-1 組織のネットワークづくりの変化
a ソーシャルメディアの登場
←組織の内外でネットワークを広げていくにあたり、ソーシャルメディアが登場したことで広げられる範囲が大きく広がった
b ネットワークの広がりによって分業も進む
←異なる時間帯で働くチームが非同時的に円滑に作業を進めることが可能となる
Ex)ボストンのソフトエンジニアチーム:ボストンのメンバーが勤務時間を終えると、インドのチームにバトンタッチする
20-3 契約によるアウトソーシング
20-3-1 アウトソーシングを始めると組織の境界線が曖昧になる
a アウトソーシングは垂直統合と正反対の性格
←組織内で行っていた活動を契約のみによって外部の組織や個人に発注する
Ex)オフィスの清掃業務を外部に委託
→清掃業者は組織内の人としてカウントするのかの境界線が曖昧になる
20-3-2 アウトソーシングは様々な組織で行われてきた
a 建設業界
←「コントラクター」と呼ばれる建設会社が建物を建設する契約(コントラクト)を獲得し、電気配線、足場、配管などの個別の業務は「サブコントラクター」と呼ばれる下請け業者に発注する
b 映画製作
←映画製作会社はどのような映画を作るかを決めて、あとの細かい部分は社外の映画監督や、脚本家、俳優、映像編集者などの力を借りて映画を製作している
20-3-3行き過ぎたアウトソーシングは組織の空洞化を招きかねない
a 空洞化を防ぐには組織のコア・コンピタスを見極める
←コア・コンピタス:その組織における中核的な強みや能力
←コア・コンピタスを見極めることで、どこはアウトソーシングしてよくて、どこはしてはいけないのかがわかる
Ex)建設会社のコア・コンピタス:契約を獲得する能力と、下請け業者を選ぶ能力
b 思いがけない要素が自社のコア・コンピタスだと知る場合がある
Ex)航空大手エア・カナダ
←「アエロプラン」というポイントプログラムを作り、その業務を独立した部署に委ね、後にその事業を売却したが、業績が悪化したことでその事業がコア・コンピタスだと気づき、買い戻すこととなった
20-4 提携による合弁事業
20-4-1 合弁事業はさらに境界線が曖昧になる

a 独立した組織同士が提携し、一時的に合弁事業を行うパターン
Ex1)複数企業によるイノベーションの分業
←少なくとも2つ以上の企業を経てアイデアが商業化まで進むため、企業の境界線がわからなくなる
Ex2)コンパクトカー「スマート」:開発に自動車大手のメルセデス・ベンツと時計メーカーのスウォッチグループの合弁事業
20-4-2合弁事業が行われるのはビジネス界だけではない
a 政府セクターと民間セクター間でも行われる
←「PPP」(=public private partnership)と呼ばれることが多いが、実際には政府セクターと多元セクターのパートナーシップであることが多く、実例はあまり見られない
b 政府・多元・民間セクターでの合弁事業も珍しくない
Ex)地方自治体、NGO、民間企業が手を組んで地域の大気汚染を改善する
20-5 部外者を参加させるプラットフォーム
20-5-1 組織がプラットフォームの形をとり、部外者に利用させる

a ウィキペディアが最たる例
∵ウィキペディアは世界中の一般利用者が自由に出入りして、記事を書いたり、修正したりする形をとっているため
b ウィキペディアは「共有財産」である
←ウィキペディアは多元セクターの組織であり、特定の所有者は存在しない
c ウィキペディアのような組織形態を「新しいコミュニティのアーキテクチャー」と呼ぶ
←マーク=デーヴィット・シーデルとキャサリン・スチュワートが定義づけたもの
←アーキテクチャー:≒設計、枠組み
d 「新しいアーキテクチャー」の特徴
①メンバーとメンバー以外の境界線が流動的で非公式である
②ボランティア労働を大々的に取り入れている
③情報に基づくプロダクトを提供している
④知識の共有が大掛かりに実行されている
20-6 共通の目的に向けた「合同」(図20)
20-6-1 「合同」とは

a 複数の独立した組織が、共通の目的や機能を実現するために協力する形態
Ex)病院同士の共同購買:複数の病院が合同を形成して、納入業者との価格交渉を有利にしようとする
20-6-2 「合同」の特徴
a ユーザー自らがメンバーとして存在する
←ユーザーが自由に出入りするプラットフォームと違い、組織のメンバーとして存在している
b 合同はしても、統合はしない
←組織同士が合併することはなく、それぞれの組織が完全に独立した組織として存在する
c 特定の組織がすべてを取り仕切ることはない
←活動にまとまりを出すために、少人数のスタッフが存在する場合がある
←スタッフは「合同」のメンバーである各組織から期間限定で選ばれる
20-7 テーブルを囲む寄り合い
20-7-1 「寄り合い」とは

a 組織同士が共通の関心ごとについて話し合うために集まる緩やかな結びつき
b 「合同」との違い
←合同:何らかの目的や機能を達成するために結集する
Ex)NATO(北大西洋条約機構)
←寄り合い:共通の関心ごとについて議論することが目的
Ex)G7やG20などの会合
20-7-2 「寄り合い」の実態
a 「コンソーシアム」「チェンバー」「アライアンス」「アセンブリ―」などと呼ばれる
←これらの言葉は「合同」を言い表す言葉としても用いられる
∵ビジネス界では、「合同」と「寄り合い」の両方の性格を持つ集まりの場合が多いから
b 「寄り合い」が「合同」の隠れ蓑になる
←同業の大手企業が集まって「ただおしゃべりするだけ」の寄り合いだという建前で、実際にはそこで
「合同」し、談合が行われている場合が多い
20-8 組織形態の類型と境界線の開き方
20-8-1 境界線を外へ開くパターンが見られやすい組織形態

a プロジェクト型組織
←本章で論じた6つのパターンすべてを通じて外へ向かうだけでなく、ほかの組織を内側に取り込む場合もある
b プロフェッショナル型組織
←プロフェッショナル型の組織の境界線はたいてい外に広く開かれていて、組織で働く専門職たちは様々な場所で、時には国境を越えてネットワークを形成したり、合弁事業をおこなったり、合同や寄り合いを開いたりする
Ex)複数の大学が一緒になって大学院プログラムを設置したりするケース
20-8-2 マネジメント教育の境界線を開く
a マネジメント教育:組織をうまく運営するために必要な知識や考え方を育てる教育
b 従来のマネジメント教育
←講義やケーススタディ中心で分析の性格が強く、マネジメント能力が身につきにくい
c IMPM(International Masters Program for Managers)による社会的学習
←IMPM:5つの大学が共同で経験を共有したりすることでマネジメントについて学ぶ
d IMPMがマネジメント教育を外に向けて開くために用いる仕組み
①合弁事業・合同
←5つの大学が合弁事業を行っている、またはマネジメント教育を進化させるという目的のために合同しているともいえる
②アウトソーシング
←学習者自身に学習をアウトソーシングしている
③プラットフォーム
←教育のプラットフォームとして見学を歓迎している
第21章 組織デザインのプロセスを開放する
21-0-1 カスタマイズは欠かせない
a 組織の構造は、ひとつひとつの組織に合わせてカスタマイズしなければならない
∵まったく同じ人間が2人といないので、唯一無二の存在である人間が集まって形作られた組織も同じものは2つと存在せず、それぞれの組織のメンバーの特異性に合わせた調整が必要だから
b ジグソーパズル型の思考ではなくレゴ型の思考で、組織の構成要素(本書第Ⅱ部)・7つの類型と力(本書第Ⅲ部〜第Ⅴ部)・錨・ハイブリッド・変遷(本書第Ⅵ部)を基に組織構造をつくり上げる
21-0-2 デザインの4つのアプローチ
a 定式型アプローチ
←制約なしに実験をおこなうのではなく、既存の原則に沿って行動する
b ビジョン型アプローチ
←デザインをおこなう人の想像力に依存し、新しい機会に対応する
c 会話型アプローチ
←デザイナーだけでデザインをおこなうのではなく、デザインの成果とともに生きていくことになる人たちの知見も取り入れる
d 進化型アプローチ
←状況が変化したり、問題が生じたり、機会が出現したりするのに合わせて、デザインのプロセスがつねに適応し続ける
21-0-3 組織デザインにおいて必要な遊び心
a 定式型アプローチは遊び心に欠けていて、ものごとに対して機械的であり、組織構造をカスタマイズするには不十分
b ビジョン型アプローチ・会話型アプローチ・進化型アプローチは遊びの要素があり、想像力や会話、適応力を駆使することで、組織構造をカスタマイズできる
Ex)ハエとミツバチ
①ガラス瓶の中に同数のミツバチとハエを入れ、瓶を横倒しにして瓶底に窓をくっつけて置く
②ミツバチは論理的に考えて強い光が差し込む窓を出口だと思い込み、そこから外に出ようと悪戦苦闘し、疲労か空腹で死んでしまう
③ハエは2分もしないうちに開いている瓶の口から外に飛び出していく
→高い知性を持つミツバチは強い光が差し込む場所に必ず出口があると思い込み死んでしまったが、脳ミソの軽いハエは瓶の中を飛び回り、出口を見つけた
→組織デザインにおいて必要なのはハエ的な遊び心である
21-0-4 「通路を舗装する」のはほどほどに
a デザイナーには、ものごとを本当によく理解している人と、理解していると思い込んで好ましくない結果を生み出す人がいる
Ex1)外科医に対して患者が手術に対して口出しすることは無い
Ex2)建築設計士や教師やマネージャーが自分の知識を過信すると、デザインのプロセスから利用者の経験が排除される
b 知識のあるデザイナーではなく、構造の下で生きていくことになる人たちが組織デザインのプロセスに参加するべき
→実践を通じて人々は最も適した組織デザインを見いだすことができる
Ex)公園の来園者が通行すべき通路のデザイン
①専門知識をもったデザイナーたちが定式型アプローチで、公園の道路から橋へ導く通路をS字形のルートに舗装する
②人々は舗装された通路を無視して直線ルートで道路から橋を行き来するようになる
③人々が芝生の上を歩くうちに、芝生が踏み固められて道が出来上がる
→組織デザインにおいて必要なのは組織構造の下で生きる人たちの実践を通じた設計である(利用者のビジョンに開かれているビジョン型アプローチ、利用者の思いに耳を傾ける会話型アプローチ、人々の利用によって絶えず進化し続ける進化型アプローチ)
21-0-5 デザインは創発的であるべきだ
a 組織デザインは最初から完璧なデザインを目指すべきではない
∵利用者がデザインを改変したり、誤りを修正したりする余地をなくしてしまうから
Ex)建築家フランク・ロイド・ライドが設計した邸宅
←一度も住んだことのない建築家は高く評価するが、そこに暮らす女性は家の家具さえ変更できないため邸宅を嫌っている
b 組織には創発的な組織構造が必要であり、不完全なデザインを実体験で埋めながら進めていくことが望ましい
←組織の戦略と同様に、組織構造も計画するのではなく、学習していくようにすべき
21-0-6 組織デザインの核心に関わる難題
a 組織構造の安定性が必要とされるなかで、組織構造を変えるべきタイミングは難しい
←新しいメンバーを採用したり、道具類を購入したり、コンピュータのプログラミングをおこなったりする組織の人々の活動のためには、しばらくの間組織構造を固定する必要があるが、どれくらいの期間その構造が持続するべきなのか
b 人々は組織構造を必要とし、一方で柔軟性も必要としているという矛盾が生じる
c 組織の類型によって、構造の変わりやすさが異なる
Ex1)プログラム型組織
←長い期間組織構造を維持しようとする
∵緊張に耐えられなくなるとそこではじめて新しい組織構造に跳躍するが、それまではなかなか組織構造が変わらないから
Ex2)プロフェッショナル型組織
←プログラム型組織よりも組織改編しにくい
∵組織の構造のかなりの部分がそれぞれの職種の性格によって決まっているから
Ex3)パーソナル型組織
←組織構造は変わりやすい
∵最高位者の意向によって変わるから
Ex4)プロジェクト型組織
←組織構造は変わりやすい
∵プロジェクトの入れ替わりによって変わる
21-0-7 デザイン・ドューイング
a 近年は「デザイン・シンキング」(思考すること)が人気だが、実際には「デザイン・シーイング」(見ること)に基づく「デザイン・ドューイング」(実行すること)の性格が強い
∵定式型アプローチよりも会話型アプローチと進化型アプローチの側面が大きいから
※デザイン・シンキング=下記の段階を経て進む「繰り返しのプロセス」
①ユーザーの気持ちになること
②ユーザーのニーズと問題点を見いだし、ユーザーを理解すること
③前提を問い直して革新的な問題解決策を編み出すこと
④試作品づくりの発想で実際に解決策をつくり出す作業に着手すること
⑤解決策を実際に試してみること
21-0-8 「組織らしくない組織」を解き放て
a 「組織らしくない組織」が近い将来出現するかもしれないし、出現しないかもしれないが、それは著者でも確かなことは言えない
Ex)著者の娘スージーが描いた絵(図21)
←事業部の中に事業部が入れ子状に入っていて、それぞれのリーダー層が切り落とされており、飛び立とうとしている不死鳥が組織を解き放って「組織らしくない組織」に変えようとしている
b 組織づくりの固定観念から解放され、将来よりよい組織をデザインできるようになることが理想的である
c 組織作りをおこなうときは、「シンプルなものを求めよ。そして、それを疑え」(アルフレッド・ノース・ホワイトヘッド)の言葉より)

担当 みゆ、いた、しは

 

Q&A

 

Q1. ロッキー山紅斑熱とはなんですか?

A1. アメリカ南東部や中南部で多く発生しているダニが媒介する細菌感染症のことです。

 

Q2. なぜ多くの人は基準率を無視してしまうのでしょうか?

A2. 統計的に考えるよりも目の前の具体的で印象的な情報を重視するほうが楽だからです。

 

Q3. 5-2-4のステレオタイプの話でどこがそれにあたりますか?

A3. ヨーロッパ旅行やフランス語イタリア語を流暢に話せる。またカリグラフィーに秀でているという点から人々が心理学よりも美術史を連想するということがステレオタイプだと言えます。

 

Q4. 過去のすべての経験によって積み上げられた知識など、完璧に知り得るのですか?

A4. ここでいう「すべての経験」とは、全知全能の完璧な知識という意味ではありません。個人や人類がこれまでに生きてきた中で蓄積してきた「経験則」や「科学的知見」の総体を指しています。もちろん人間がすべてを完璧に知り得るわけではありませんが、「全くの無知から出発するのではなく、現時点で人間が持ち得る最善の知識を事前確率のベースとして使う」という意味合いです。

 

Q5. 「基準率無視」を防ぐためには、日頃からどのような意識を持ってデータを見るべきですか?

A5. ニュースなどで「驚くべき新しい発見」や「奇抜な主張」を目にした際、すぐに飛びつくのではなく、「そもそもその現象が日常的に起こる確率(事前確率・基準率)はどれくらいか?」と立ち止まって考える意識を持つことが重要です。

 

Q6. ダリルベムの実験についてもう少し詳細に教えて欲しいです。

A6. コンピューター画面上の2つのカーテンのどちらかに写真が隠されていて、それがどちらであるかを被験者が当てる(正確には被験者がどちらかをクリックすると同時に、コンピューターがランダムにどちらに写真を置くかを決め、それが被験者の選択と一致すれば「当たり」となる)実験でした。隠された写真がポルノ写真だった場合のみ、当たりの確率が偶然による比率を上回った(=被験者が偶然の確率を上回って未来を予知できた)とされました。しかし結局、誰もこの実験結果を再現することはできなかったため、再現性危機の議論を呼ぶ象徴的な騒動となりました。

 

Q7. 事前確率すなわち基準率を日常の中で精度を高く予測するためにはどのような点に着目する必要がありますか? 例えばこの性格診断は当たるか当たらないかなど。

A7. 「超予測者」が行うように、「類似の過去のデータ」や「客観的な統計(発生回数など)」に着目することです。性格診断の例であれば、「自分の直感」だけで判断するのではなく、「他の多くの人がこの診断をやってみてどうだったか」といったベースとなる統計データ(基準率)を探して出発点にすることが、精度を高めるコツです。

 

Q8. ベイズ的思考を分かりやすく説明するとどのようになりますか?

A8. 簡単に言うと、自分が持っている「これまでの常識(事前確率)」と、目の前に現れた「新しい証拠」を掛け合わせて、自分の考えを「アップデート(事後確率へ)」していく思考法のことです。

 

Q9. 5-4-1のbにおいて、属性によって行動に統計的な差異が認められる場合、それを判断材料に含めるべきかという倫理的葛藤が起こるのはなぜですか?

A9. 特定の人種や性別をもとに予測をしようとすると、期せずして偏見を抱いてしまう可能性があるためです。

 

Q10. 5-5-7 aのExで具体的にどのようなことが起こるのでしょうか?

Q10. 裁判での誤審や治療の際、人の命を誤って奪ってしまうことが挙げられます。

 

Q11. 道徳的トレードオフとは何ですか?

A11. ここでいう道徳的トレードオフとは公平性を犠牲に予測の正確性を取るか、正確性を犠牲に公平性を守るかというジレンマのことを指します。

 

Q12. 5-5-1のdの情報の枠組みを確率から頻度に変えるとはどういうことですか?

A12. 抽象的である確率よりも1000人中10人のような具体的な数で表すということです。

 

担当 いみ

Q&A

 

Q1.FSCとLCCとはなんですか。

A1.JALによると、FSC(フルサービスキャリア)は「高品質の商品・サービスや利便性の高いネットワークを提供し、世界と日本、都市と地域をつなぐ航空会社」とされています。提携会社との連携による強みを生かし、ビジネスや観光、生活に不可欠なインフラとして人流・物流の活性化に貢献しています。

一方、LCC(ローコストキャリア)は日本では「格安航空会社」とも呼ばれ、最大の特徴は「航空券の安さ」にあります。FSCに比べて一般的に割安な運賃を提供しているため、旅行や出張のコストを抑えたい人々の強い味方となっています。

 

Q2.産業再生機構について詳しく教えて頂きたいです。 

A2.三菱UFJ eスマート証券によると、産業再生機構とは、「過剰な債務を抱えながらも再生の可能性がある企業を対象に、その企業の債権や株式を買い取り、経営再建を支援することを目的として設立された政府出資の特殊会社」です。産業再生機構は当初から5年間の時限組織として設立され、2007年3月にその役割を終えて解散しました。

 

Q3.ソラシドエアのようにスターフライヤーやAIRDOの名前には何か由来があるのですか。

A3.AIRDOによると、「AIRDO」という社名は、会社設立当時に公募された5,430点の愛称の中から選ばれたものです。「DO」には「挑戦する」という意味に加え、北海道の「道」を表す意味も込められています。一方、スターフライヤーの社名は、「STAR(星)」と「FLYER(飛行機)」を組み合わせたものです。「STAR」には24時間運航できるエアラインを目指すという思いが込められており、「FLYER」は、ライト兄弟が初めて有人動力飛行に成功した航空機「フライヤー号」に由来しています。そこには、ライト兄弟の挑戦精神を受け継ぐ企業でありたいという願いが込められています。

 

Q4.チャーター便はどういう意味ですか

A4. JALによると、チャーター便とは、主に定期便が運航していない路線を、お客様のニーズに合わせて運航する不定期便のことです。定期便では乗り継ぎが必要な都市や観光地への直行便や、これまで国内主要都市からしか運航していなかった路線への地方都市発着便を設定することで、多様なニーズに対応しています。また、観光目的だけでなく、スポーツ大会や音楽コンサートなどのイベント参加者向けに運航されることもあり、その場合は旅行会社が契約者となってツアー商品として販売されます。さらに、特定の個人・法人・団体・官公庁が契約者となり、音楽・スポーツ団体の移動や企業の社員旅行、被災地への救援隊派遣などを目的として、航空機を貸し切ることも可能です。

 

Q5.スカイマークのA380の6機はどの路線に使う予定だったのか。

A5.スカイマークが導入を予定していた総2階建ての超大型旅客機「A380」6機は、成田空港を発着する欧米向けの長距離国際線に投入される予定でした。具体的には、イギリスのロンドン、ドイツのフランクフルト、アメリカのシアトルなどへの就航が計画されていました。欧米路線はアジア路線に比べて運賃が高く、格安航空会社の参入も少なかったことから、大手航空会社よりも安い運賃を提供することで競争力を高められると考えられていました。また、国内各地から成田空港へ乗客を集めるため、新千歳、神戸、福岡、那覇と成田空港を結ぶ国内線の接続便も運航する計画でした。

 

Q8.空恋プロジェクトの内容は?

A8.空恋プロジェクトは、航空会社であるソラシドエアが地域の振興を目指して実施している、特別な機体を活用した取り組みです。このプロジェクトは九州や沖縄の各自治体とパートナーシップを組み、1つの航空機を使って特定の地域を大々的に宣伝します。空の旅をきっかけにして、九州や沖縄にある魅力的な街を知ってもらい、その地域に恋をしてほしいという願いが込められています。選ばれた自治体の名前やオリジナルのPRメッセージは、約1年間にわたって航空機の機体側面に描かれ、日本各地の空を飛び回ります。

航空機の内部でもさまざまな取り組みが行われ、客室乗務員による機内アナウンスや機内誌を通じて地域の特産品や観光地が紹介されます。これまでに鹿児島県曽於市や大分県杵築市、熊本県南阿蘇村など、数多くの自治体がこのプロジェクトを通じて地元の魅力を全国に向けて発信されました。

担当 いみ

  

1 MCCとは

1-1 MCCの定義

1-1-1 MCCはミドル・コスト・キャリアの略称

1-1-2 MCCとは厚いサービスと高い信頼性を誇るFSCと、徹底的な低コスト化により低運賃を実現したLCCの「中間」に位置づけられる航空会社を指す

1-1-3 日本の航空市場においてこのMCCに分類されるのは、スカイマーク、AIRDO、ソラシドエア、スターフライヤーの4社

 

2 MCCの誕生

2-1 MCCの誕生

2-1-1 1998年の国内航空運賃の完全自由化および規制緩和

←それまでの行政主導による45・47体制が崩壊し、市場競争が解禁

2-1-2 新興航空会社の相次ぐ新規参入ラッシュ

a 1998年9月:スカイマークが羽田=福岡線に第1便就航

←大手の普通運賃が片道約2万6,000円であったのに対し、スカイマークは「半額以下」となる1万3,700円という驚異的な運賃を打ち出す

b 1998年12月:北海道国際航空(現AIRDO)が札幌=東京線を1日3往復で運航開始

←「道民の翼」を掲げ、既存大手の片道約2万4,000円に対し、通年で「一律1万6,000円」という非常に高い価格優位性を提示

c 2002年8月:スカイネットアジア航空(現ソラシドエア)が羽田=宮崎線に就航

d 2006年3月:スターフライヤーが北九州=羽田線に就航

 

3 MCCの経営苦難と生存戦略

3-1 初期の構造的限界と経営苦難

3-1-1 FSCによる強力な価格対抗策により価格優位性が一時的に無効化

a 大手2社は、新興航空会社の就航便の時間帯にピンポイントでぶつける形で「特便割引」などの直前割引運賃を導入

←新興勢と同等、あるいはそれ以下の価格を設定

→大手の持つ「圧倒的な知名度」「頻繁なダイヤ(便数)」「マイレージの魅力」に、価格優位性は一時的に無効化

3-1-2 羽田空港の発着枠の獲得制限、知名度不足、および独自の運航効率化ノウハウが未成熟

→多くの新興航空会社が経営危機や民事再生を経験し、生存戦略の練り直しを迫られる

 

3-2スカイマークの経営苦難と回復

3-2-1 2002年8月:羽田=ソウル線の国際チャーター第1便就航

← 新興航空会社として初の国際線チャーター便の運航

3-2-2 2005年12月:B737-800型機の導入開始

← 業績を大きく伸ばし、路線拡大を推し進める

3-2-3 2011年:日本の航空会社として初めて、世界最大の旅客機であるA380を6機発注

→ A380の値段は1機あたり300億円以上で、合計すると1,800億円を超える投資

← 2011年度の売上は600億円であったことから、過剰投資であった

3-2-4 急速な円安の進行やLCCとの競争激化による業績悪化が重なり、資金繰りが行き詰まる

3-2-5 エアバス社とのA380の購入契約交渉も決裂し、多額の解約違約金(約800億円)が発生して資金枯渇に陥る

3-2-6 2015年に民事再生法を申請し、ANAホールディングスや投資ファンド(インテグラル)の資本支援を受ける

3-2-7 経営破綻して1年後の2016年、スカイマークの民事再生手続きの終結が発表

 

3-3 北海道国際航空(現:AIRDO )の経営苦難と回復

3-3-1 大手による猛烈な価格対抗の直撃

← 既存大手のピンポイントな値下げにより、かつての「一律1万6,000円」の価格優位性が無効化される

→ 搭乗率は50%を下回るまでに急落

3-3-2 2002年民事再生法の適用とANAによる傘下入り

←設立からわずか3年半で民事再生法を申請

→その後、ANAによる業務・資本提携(共同運航や航空券予約システムの共有)を受け、民事再生を終結

3-3-3 機材の最適化と運航の安定

→ 高需要路線である羽田=新千歳路線において、座席数の多い中型機B767-300を安定的に運用

3-3-4 全路線でのANAとのコードシェア(共同運航)の効果による収支回復

← ANAの巨大な販売網と予約システムを活用したことで、自社だけでは獲得できなかった本州側のビジネス客や観光客を効率的に自社便へ誘導

3-3-5 徹底的な「北海道ブランド」の推進によるファン層の確立

3-3-6 定時運航率の向上と安定的経営基盤の構築

→ ANAの整備・運航ノウハウを取り入れたことで、新興航空会社の弱点であった遅延や欠航を大幅に削減

3-3-7 2000年代後半には完全に黒字経営へと転換

←「大手の安心感」と「独自の北海道ブランド」を掛け合わせた、地方発着MCCのビジネスモデルを完成

 

3-4 スカイネットアジア航空(現:ソラシドエア )経営苦難と回復

3-4-1 2002年に就航後、機材不具合が相次ぎ運航が安定せず旅客離れが生じる

←中古機材を中心とした運航によりトラブルが頻発

→ 運航の不確実性から深刻なブランドイメージの低下を招く

3-4-2 2004年産業再生機構への申請とANAによる支援

→自力再建を断念し、国の「産業再生機構」に支援を要請して事実上の法的整理・再編を行う

→ANAによる資本・運航・整備の全面支援を受けることで経営を維持

3-4-3 最新のB737-800型機への刷新

→初期の課題だった機材不具合を克服し運航信頼性を劇的に向上

3-4-4 2011年7月、ブランド名を「ソラシドエア」へ変更

3-4-5「九州・沖縄の翼」として地方自治体と連携した「空恋プロジェクト」などを展開

3-4-6 ANAの予約システム活用による高い搭乗率を維持

← ANAの巨大な販売網と予約インフラをそのまま利用できたことで、FSCからの出張客や観光客を効率的に自社便へ誘導することに成功

→徹底したコスト削減とANA連携による安定的な集客に成功

 

3-5 スターフライヤーのANAとの共同運航

3-5-1 2006年3月の北九州=羽田線就航と、既存大手による激しい価格対抗

← 北九州空港の24時間運用を活かした早朝・深夜便で華々しくデビューするも、FSCが羽田発着枠を活かした値下げや便数変更で猛烈に対抗

→ 九州側では知名度が高かったが、本州(東京・羽田)側での知名度が圧倒的に不足し、羽田発の搭乗率が低迷

3-5-2 2007年6月:ANAとの北九州=羽田線共同運航(コードシェア)開始

←自社単独の販売力では東京側のビジネス客獲得に限界があり、法的整理(破綻)を未然に回避するための防衛策としてANAとの提携を決断

←ANA側の狙い: 当時JALが独占していた北九州=羽田線に参入し、JALのシェアを切り崩すとともに、貴重な羽田発着枠を自社で消費せずにネットワークを拡大できるメリットがあった

→ANAの巨大な予約システムに座席が掲載されたことで、東京側のビジネス出張客を効率的に自社便へ誘導することに成功し、低迷していた搭乗率が劇的に改善

3-5-3 2011年ANAとの連携強化による高い搭乗率の維持と、東証二部上場

 

4 LCCの台頭とMCCの危機

4-1 MCCが直面した危機

4-1-1 2012 年関西国際空港や成田国際空港を拠点とする、本格的なLCCの誕生

4-1-2上下からの挟み撃ちによる存在意義の喪失

a FSCからの圧力: FSCによる圧倒的な便数、羽田空港の圧倒的な利便性、手厚いサービス、強力なビジネス顧客(法人需要)の基盤

b LCCによる脅威の本格化: 圧倒的な低価格運賃の提示、およびインターネット直販の普及に伴う購入手続きの簡便化

4-1-3 MCCの孤立

a  「価格」の面では、徹底した低コスト構造を持つLCCの圧倒的な低価格路線に対して価格面での優位性を失う

b 「サービスや利便性」の面では、FSCが誇る高い品質や、豊富な羽田発着枠がもたらす高い利便性に対して優位性を確保できない

→ 結果として、LCCとFSCの双方から挟み撃ちに遭い、自社のポジショニングが曖昧化

4-1-4消費者のマインド変化と選択の厳格化

a 「安さ」のみを追求するレジャー客や観光客が、MCCからLCCへと一斉に転移する

b 大手FSCによる対抗値下げ(割引運賃の拡充)の実施や、LCCの各種手数料(手荷物・座席指定等)を加算した実質運賃との比較が進む

→ 結果として、MCCがかつて保持していた「大手の半額」という明確な価格優位性が減退

 

4-2 2022AIRDOとソラシドエアの経営統合

4-2-1 共同持株会社「リージョナルプラスウイングス」の設立

4-2-2 統合の背景: コロナ禍による財務基盤の悪化を乗り越え、独立性を保ちながらも、FSCやLCCに対抗できる強固な経営基盤をつくる必要性に迫られる

4-2-3「共同持株会社」方式の採用: 両社が地域で築き上げてきた強力なブランド価値を維持するため、会社を合併させるのではなく、上に持ち株会社を設立する形を選択

→ 独自の機内サービスやファン層を壊すことなく、バックヤードの一体化を可能にした

4-2-4 路線の完全な補完関係: AIRDOは「北(北海道・東日本)」、ソラシドエアは「南(九州・沖縄・西日本)」を中心に路線を展開しており、両社の就航路線に「重複が一切ない」という相性を発揮

→互いの市場を食い合うリスクがゼロの状態で、日本を南北に縦断する強力なネットワークが完成

4-2-5  徹底的なコスト削減と効率化: 両社ともに主力機材として「ボーイング737-800型機」を共通して採用しているため、航空機の部品や消耗品の共同購入、メンテナンス体制の共通化による劇的なコスト削減が実現

→ 予約システムや地上業務、バックオフィスの共通化を進め、重複する運営コストをカットした

4-2-6 地域創生と共同マーケティング: 「北」と「南」の魅力を掛け合わせた新しい旅行商品の開発や、両社のマイレージ・ポイントの相互交換など、単独ではできなかった大規模なキャンペーンを展開

→ 地方発着MCC同士の強みを結集し、日本の地域活性化を牽引する「リージョナルエアライン(地域航空会社)」としての確固たる地位を確立

 

4-3スカイマークの東証再上場とスターフライヤーの現在

4-3-1スカイマークの東証再上場

a機材をB737-800型機に完全統一したスリム化経営

→コロナ禍で乗客が激減した時期も無駄なコストを最小限に抑えることができた

b コスト削減と定時運行率などの信頼性向上により、コロナ禍のダメージからいち早く脱出

→ 経営破綻からわずか7年後の2022年、東京証券取引所グロース市場への再上場を達成

4-3-2スターフライヤーの独自価値の維持

a コロナ禍において機材のスリム化を進めつつも、

独自の「黒のブランド」と「圧倒的な座席の広さ

」という快適性は維持

b JCSI(日本版顧客満足度指数)調査において、11年連続で第1位を獲得した圧倒的なおもてなし力を武器に、ライバルである新幹線や大手航空会社に対抗

 

5国内MCC 4社のサービス特徴

5-1 スカイマーク

5-1-1 基本概要

a 就航開始:1998年9月

b拠点空港:羽田空港、神戸空港

c系列::独立系(ANAHDも出資するが、独自経営を維持)

d経営理念::「社会的使命」,「将来に目指す姿」,「価値観・行動指針」を全役職員で共有し、スカイマークMVV(Mission・Vision・Value)を掲げている

5-1-2運航規模

運用中機材数::30機

国内線:羽田、札幌、仙台、茨城、神戸、名古屋、福岡、長崎、鹿児島、奄美大島、那覇、宮古

5-1-3 業界トップクラスの定時運航率

→ 全社を挙げた出発時間の徹底管理により、「定時運航率5年連続日本一」を達成 

5-1-4 2026年5月より日本の航空会社として初めて、最新鋭機「ボーイング737-8」を導入

 

5-2 AIRDO

5-2-1 基本概要

a 就航開始:1998年12月

b拠点空港:羽田空港、新千歳空港

c系列:ANAグループ

d経営理念:AIRDOは安全を絶対的使命として追求し、北海道の翼として地域社会の発展に貢献します

5-2-2運航規模

a機体数:12機

b国内線:北海道内の6都市(札幌、旭川、函館、女満別、帯広、釧路)と全国5都市に(東京、仙台、名古屋、神戸、福岡)に就航

←北海道発着路線に特化

5-2-3「北海道ブランド」の機内体験

a 機内飲料として、北海道産の素材を使った「ほたてバタースープ」や、珈房 サッポロ珈琲館の香り高い炭直火焙煎コーヒーなどを提供

← 地域特化型のファン作りに成功している

bマスコット「ベア・ドゥ」によるキャラ戦略

→ 自社キャラクター「ベア・ドゥ」をあしらった特別塗装機の運航や、機内限定グッズの販売を展開

→ 親しみやすさを前面に出し、道民や北海道旅行客からの高い愛着を獲得

5-3 ソラシドエア

5-3-1 基本概要

a 就航開始:2002年8月

b拠点空港:羽田空港、宮崎空港

c系列:ANAグループ

d経営理念:空から笑顔の種をまく 

5-3-2運航規模

機体数:14機すべてボーイング737-800型機統一

国内線:九州・沖縄発着路線に特化

ex. 名古屋=沖縄・宮崎・鹿児島など、

羽田=宮崎・熊本・長崎・鹿児島・大分・沖縄、

5-3-3「空恋プロジェクト」による地域密着

→ 九州・沖縄の自治体と組み、機体に地元のPRイラストをラッピングして運航

→ 機内でも地元の観光案内や特産品をアピールし、地域住民の生活・観光インフラとして定着

5-3-4こだわりのおもてなしと「アゴユズスープ」

→ 機内で九州産のアゴ(トビウオ)と柚子を使ったオリジナルスープを提供

 

5-4 スターフライヤー

5-4-1 基本概要

a就航開始:2006年3月

b拠点空港:北九州空港、羽田空港

c系列:ANAグループ

d経営理念:「感動のあるエアライン」

5-4-2運航規模

a機体数:11機すべてエアバスA320型機に統一

b国内線: 北九州=羽田、福岡=羽田、関西=羽田、名古屋=福岡、山口宇部=羽田、福岡=仙台

←ビジネス主幹路線中心

5-4-3 「黒」で統一された高級ブランド戦略

→ 機体、客室、空港カウンターに至るまで全てをスタイリッシュな「黒」でデザイン

5-4-4「圧倒的な座席の広さ」と快適性

→ 他社なら180席配置する機体に、あえて席数を減らして「150席」のみを贅沢に配置

→ 全席本革シート、タッチパネルモニター、USBポート、フットレストを標準装備

5-4-5タリーズコーヒーと共同開発したオリジナル珈琲にチョコレートを添えて無料提供

5-4-6 JCSI(日本版顧客満足度指数)の国内航空部門で11年連続第1位を獲得

5-4-7デジタル環境の徹底強化

→ 新型機(A320neo)を中心に機内無料Wi-Fiを導入し、快適なネット環境を無料で提供

→ 全席にACコンセントとUSBポート(Type-A/C)を標準装備し、フライト中の充電が可能

 

6 MCCまとめ

6-1 拠点・路線戦略の違い

6-1-1 スカイマークとスターフライヤーは「幹線・ビジネス」重視

→ スカイマークは羽田・神戸を軸に全国の主要都市を結び、スターフライヤーは羽田と北九州・福岡などのビジネス路線に特化

← 利便性と快適性を求めるビジネス層の取り込みを競っている

6-1-2 AIRDOとソラシドエアは「地域特化・レジャー」重視

→ AIRDOは「北(北海道)」、ソラシドは「南(九州・沖縄)」に特化し、路線重複ゼロの綺麗な住み分けを実現

← 2022年の共同持株会社(リージョナルプラス)設立により、バックヤードを共通化しつつ各々の地域ブランドを守っている

 

6-2 サービス戦略の違い

6-2-1 受託手荷物の無料化

a LCCでは荷物を預けるのが有料オプションであるのに対し、MCC4社はすべて一定重量(20kg)まで無料で預かり可能

→ 旅行客や出張客が追加料金を気にせず利用できる大きなメリット

6-2-2 機内サービスの「無料」へのこだわり

← LCCは有料であるのに対し、MCCは独自のこだわりドリンクを無料提供

6-2-3 座席間隔(シートピッチ)の余裕

← LCCが約71cmと詰め込んでいるのに対し、MCCは通常大手並み(約79cm)、スターフライヤーは約89cmという広大なスペースを提供

6-2-4「安く移動できればいい」LCCに対し、「安くても快適に移動したい」層に選ばれる理由となっている

 

6-3 親会社(大手FSC)との関係性による信頼性

6-3-1 4社すべてが大手グループのノウハウをフル活用

→ スカイマークはANAとのコードシェア等の連携、他3社(AIRDO・ソラシド・スターフライヤー)はANAグループの資本・業務支援を直接受けている

6-3-2大手の安全管理、整備体制、予約インフラを活用することで、新興航空の弱点だった「運航の不確かさ」を完全に克服し、高い信頼性を維持

担当:しは、みゆ、いた

 

5 信念と証拠に基づく判断=ベイズ推論


5-1ベイズ推論は全人類が学ぶべき理性の道具
5-1-1 ベイズの推論とその例
aベイズ推論:ベイズの定理を用いた統計的推定方法
b ベイズの定理(ベイズの法則):「証拠の強さ」を扱
う確率の法則
←新しい事実を知ったり、新しい証拠を観測したときに、
どの程度確率を修正するか(考えを変えるか)を示す法

←日常的に最も頻繁に無視されている
c 多くの人がベイズの定理を理解すれば、公共の合理性
に大きな効果をもたらす
Ex)医療診断
←ある地域の女性人口の乳癌有病率が1%、ある乳癌検
査の感度(真陽性率)が90%、偽陽性率が9%
←ある女性が検査で陽性になったとしたら、この女性が
乳癌である可能性はどれくらい?
→医師たちの回答で最も多かったのは80%~90%
→ベイズの法則に従うと9%となる
5-1-2 リスクを伴う意思決定に求められる 2 つの考えの
ジレンマ
a確率の算定
Ex)私は癌だろうか?
b各選択肢の結果の検討
Ex)癌なのに放っておいたら死ぬかもしれない。しかし
癌ではないのに手術を受けたら、無駄に痛い思いをして
手術痕も残ることになる。
5-1-3 ベイズの洞察とベイズの定理
←ベイズ:トーマス・ベイズ(イギリスの牧師、数学者)
a ベイズの洞察:ある仮説に対する信頼の度合いは確率
として定量化できる(4章で述べられていた主観解釈の
確率のこと)
←定量化:通常の場合、質的にしか表わせないと考えら
れている物事を数値で表すこと
5-1-4 ベイズの法則の仕組み
a 復習:B が起こったときに A が起こる確率=A かつ B
の確率÷Bの確率(4章より)
b 復習:A かつ B の確率=A の確率×A が起こったとき
にBが起こる確率(4章より)
c 式の解説
①P(仮説|データ):証拠を見た後で更新した、仮説
に対する私たちの最新の信頼度(事後確率)
②P(仮説):データを見る前の、仮説に対する信頼度
(事前確率)
③P(データ|仮説):仮説が正しいとしたらそのよう
なデータが得られる可能性はどれくらいか(尤度)
④P(データ):仮説の真偽にかかわらずそのようなデ
ータが得られる全体的な確率(周辺確率)
Ex)乳癌の例
①P(仮説|データ):ある女性が乳癌である確率は
9% = 0.09(事後確率)
②P(仮説):母集団の有病率が 1% = 0.01(事前確
率)
③P(データ|仮説):検査の真陽性率が 90% = 0.9
(尤度)
④P(データ):母集団全体での検査陽性率は、罹患し
ていて陽性になる人の割合(1%の 90%で 0.009)+罹患
していなくて陽性になる人の割合(99%の 9%で 0.0891)
で0.0981 ≒ 0.1(周辺確率)
5-1-5日常における仮説と信頼度の3つの関係
a もともとその説に十分な裏付けがあり信頼性が高く最
もらしい(事前確率が高い)
→信頼度は高い
Ex)筋肉痛を訴える人がいたらそれはクールーではなく
まずは風邪を疑うべき
←クールー:ニューギニアのフォア族に見られる珍しい

b 証拠が、とりわけその説が正しい場合に起こりやすい
ものである(尤度が高い)
→信頼度は高い
Ex)患者がロッキー山脈から来ていて、発疹と熱があれ
ばロッキー山紅斑熱の可能性を疑うべき
c 証拠がありふれたものである(周辺確率が高い)
→信頼度は低い
5-2基準率無視と代表性ヒューリスティック
5-2-1ベイズの推論で私たちが失敗する主要因
a基準率無視:基準値(事前確率)を無視すること
Ex)検査が陽性だったこと(尤度)に気をとられ、母集
団の中でその疾病がどの程度見られるか(事前確率)を
忘れる
5-2-2そもそも私たちはベイズ推論を行っていない
a 代表性ヒューリスティック:ある事例が何らかのカテ
ゴリーに属する確率を、それがどれほど代表的かで判断
している
←そのカテゴリーのステレオタイプにどれくらい似てい
るか
Ex)血液型で性格を判断する
5-2-3基準率無視の具体例
a深夜のタクシーのひき逃げ事件
←基準率(事前確率):グリーンタクシー社(85%)と
ブルータクシー社(15%)
←目撃者が一人いて、ひき逃げをしたのは青いタクシー
だと証言
←尤度(彼が実際の色を証言する確率):後日の検査で
この目撃者が夜間に色を識別できる確率は 80%である
ことが測定された
→事件を起こしたのがブルータクシー社である確率は?
→ベイズの法則に従うと0.41
→実験参加者の中央値は 0.80(尤度を重視しすぎて基準
率を無視または軽視している)
5-2-4 基準率無視は物事をステレオタイプで考えてしま
う要因の一つである
a ペネロペという感性が豊かな大学生
b 彼女は夏休みにはヨーロッパを旅行し、フランス語と
イタリア語を流暢に話す
c カリグラフィーに秀でており、ボーイフレンドの誕生
日には詩を書いて贈ったりする
d さて、ペネロペの専攻は心理学と美術史のどちらかで
あるかという問題
→多くの人は美術史であろうと推測する
←しかし、大学生の13%が心理学を専攻しているのに対
し、美術史を専攻しているのはわずか0.08%である
←基準率からペネロペが美術史を専攻しているとは考え
にくいがわたしたちには専攻しているように見え、ステ
レオタイプが基準率を締め出してしまう
5-2-5基準率無視の影響
a 不可能を要求する
Ex1)誰が自殺しそうかをなぜ予測できないんだ
Ex2)銃乱射事件の早期警告システムはどうしてないん

Ex3)テロリストや銃撃犯の特徴を割り出して事前に拘
束することがなぜできないのか
←どこにでもいるわけではない人物像を完璧とはいいが
たい手法で洗い出そうとすると誤認が頻発する
←基準率が低い
5-2-6基準率を意識すると人生が穏やかになる
a 人生の中での基準率(競争相手がいかに多いか等々)
を意識する
→挫折があっても一喜一憂せずにすむ
∵基準率が念頭にあると、望みの照準を最適なレベル
(自分の長所を生かせば成功率を上げられると合理的に
期待できるレベル)に合わせることができるから
5-3 基準率無視が科学の再現性危機の根源
5-3-1 基準率無視とは事前確率無視の特殊な例である
a 事前確率:証拠を見る前の状態で、ある仮説に寄せる
べき信頼度のことで、基準値よりも不明瞭な重要な概念
→事前の信頼度は「単に過去のすべての経験によって積
み上げられた知識」を意味する
b ベイズ更新:証拠を見て得られた事後確率(=経験に
よって積み上げられた知識)が、次のときの事前確率に
なること
c 科学における知識と事実への姿勢
Ex)「すべての事実を説明できると主張する理論は必ず
間違っている。なぜならばその事実のうちのいくつかは
間違っているのだから」(フランシス・クリック)
←どんなに新しいデータ(事実)であっても、データ自
体が測定ミスや偶然の産物である可能性も含まれている
ため
→単一の事実にすぐ飛びつくのではなく、事前確率と照
らし合わせるベイズ推論が不可欠となる
5-3-2 超常現象などを疑うべき理由(ヒュームの奇跡論)
a 奇跡は「これまで観察されたことがない」ため、事前
確率が極めて低い
b 奇跡を立証するための証言は、奇跡が存在する場合の
尤度よりも、奇跡が存在しない場合の尤度(嘘、誤認、
錯覚など)の方がはるかに高い
→奇跡が存在する確率より、人間が嘘や勘違いをする確
率の方がはるかに高いため、「奇跡は存在しない」と考
えるのが妥当である
Ex)「途方もない主張(事前確率が低い)には、途方も
ない証拠(高い尤度)が求められる」(カール・セーガ
ン)
5-3-3 科学の再現性危機とベイズ推論の無視
a ダリル・ベムの ESP(超感覚的知覚)実験の騒動:ラ
ンダム事象の予知に成功したとする論文が権威あるジャ
ーナルに掲載されたが、誰も再現できなかった
←物理法則に反するような「事前確率が低い」主張であ
るにもかかわらず、ベイズ推論が無視されたため
b 再現性の検証の標的になる研究:直感からかけ離れた、
驚くべき(=事前確率が低い)結果を主張するものが多

←逆に、再現性のある当たり前な実験(配列の最後にあ
る項目をよく覚えているなど)は話題にならないため
Ex1)ペンをくわえると笑った顔になるため漫画が面白
く感じる
Ex2)ファストフードのロゴを見るとせっかちになる
Ex3)短時間でも温かい飲み物の入ったカップを持つと
友好的になる
Ex4)嘘を書くとハンドソープに好感を持つなど
→このように事前確率が極めて低い奇抜な主張に対して、
ベイズ推論を無視して単一の実験結果だけで飛びつくこ
とが、再現性危機の根本的な原因である
5-3-4 科学ジャーナリズムと「驚くべき」発見の罠
a メディアは読者の目を引くために、奇抜で途方もない
(=事前確率が低い)発見を好んで掲載しがちである
Ex)「ダーウィンは間違っていた?」「新進気鋭の若手
が科学の常識を覆す」などの見出し
b 「驚くべき」とは「事前確率が低い」発見と同義であ

→同じ程度の信頼性がある証拠を出されたとしても、事
前確率が低いため、驚くべき説に対する事後確率は低く
ならざるを得ない
c ジャーナリストや科学者自身もこの点を理解しておら
ず、誤った発見を世に広める原因となっている
Ex1)「なぜ公表されたほとんどの研究結果は間違って
いるのか」(ジョン・ヨアニディスの論文)
←研究者が興味深い(事前確率の低い)現象ばかり追い
求め、逆に「以前の研究と同じだった」という真の発見
は掲載する価値がないとみなされてしまうため
Ex2)「大学の物理学の教科書に載っている内容は 20 パ
ーセントが真だが、主要な研究誌に載っている内容は90
パーセントが偽である」(ジョン・ザイマン)
←教科書にある「退屈だが確実な知識(高い事前確率)」
に敬意を払い、研究誌の「科学革命(低い事前確率)」
には懐疑的になるべきであるという教訓
→科学論争は長期的には真理に近づくが、たった 1 回の
新しい発見にはベイズ式に疑ってかかるべきである
5-3-5 政治評論や予測への応用
a 専門家の予測が外れる理由:人々の注目を集めるため、
事前確率の低い(驚くべき)予測をしてしまうから
b 超予測者の手法:事前確率(過去の基準率)からスタ
ートし、新情報に基づいて予測を更新(ベイズ更新)し
ていく
Ex)テロ発生確率を予測する際、まずは過去の発生回数
から基準率を見定める
5-4 基準率を無視するほうが合理的である場合
5-4-1 基準率無視の社会的背景
→人々が基準率(ベースレート)を無視する理由は、単な
る直感の誤り(代表性ヒューリスティック)だけではな

→特定の倫理的、政治的文脈においては、統計的な正確
さよりも優先されるべき価値判断が存在し、あえて基準
率を無視することが「社会的に合理的」とされる場合が
ある。
5-4-2 「禁じられた基準率」と道徳的トレードオフ
a フィリップ・テトロックによる「禁じられた基準率」
の概念
→禁じられた基準率:どの項目をとっても、サブグルー
プの平均値が同じになることはまずないという事実から
生じるタブー(第2章より)
b 社会科学における不都合な事実
→人種、性別、宗教、民族、居住地域などの属性によっ
て、特定の行動(犯罪率、収入、健康リスクなど)に統
計的な差異が認められる場合、それを「判断材料」に含
めるべきかという倫理的葛藤
c 公正さと正確さの衝突
→統計的に正しい予測(プロファイリング)を行うこと
と、個人をその属性で判断しないという道徳的原則が対
立する
∵誰もが先入観で判断されたくないので、立場の入れ替
えが可能であるべきだという論理により、公平性という
権利をすべての人に認めなければならないため
5-4-3 基準率の利用が禁じられる理由
a 過去の抑圧の再生産防止
∵過去の差別や不平等の結果として生じている統計的格
差を現在の判断基準として採用すれば、その不利益は永
遠に固定化され、将来にわたって差別が再生産されるた

b 「予言の自己成就」の回避
→予言の自己成就:予言をすると、人々が予言に基づい
て行動する結果、それが実現しやすくなってしまうこと
∵統計的偏見に基づいて特定の集団を「リスクが高い」
と見なして扱うと、その集団の人々が実際に不利益を被
り、結果として統計通りのネガティブな状況へ追い込ま
れてしまうため
c 個人を属性ではなくその人自身として扱う権利の保護
∵誰もが「所属するグループの平均値」によって人生を
左右されたくないという道徳的な要請があるため
→合理的な社会では、あえて特定の基準率を無視するこ
とが道徳的・政治的に合理的とされる場合がある
5-4-4 公平性より正確性を優先する場合
a 公的機関による個人の扱いについて公平性を正確性よ
り優先するのは当然だったとしても、分野によってはそ
うもいかないことがある
Ex)リバティ・ミューチュアル社は、自動車事故を起こ
す基準率が低い成人女性よりも基準率が高い 10 代の少
年に高い保険料を設定する
∵保険会社は、さまざまなグループのリスクを入念に見
積もらなければならないため
5-5 ベイズ推論を直観的に使うには
5-5-1 ベイズの法則の難解さと「自然頻度」
a 社会科学者よりも一般の人びとのほうがベイズの法則
を無視しているように見えても、時にはそこに確固たる
数学的根拠が見受けられる場合もある
∵一般の人びとのほうが前提に敏感である場合もあるた

b ベイズの定理は数学的な構造は単純(事前確率×証
拠の確かさ)だが、抽象的な確率の形式で示されると、
人間の脳はそれを処理できず、基準率をほぼ完全に無視
してしまう
c ゲルハルト・ギゲレンツァーによる「自然頻度」への
変換の提唱
→抽象的な確率ではなく、「1000 人中 10 人」のような
具体的な数、すなわち頻度で考える方法
d 人類は数百万年の進化の歴史の中で、抽象的な統計学
ではなく、目の前の環境から「数」として経験的に情報
を収集・学習してきた
→情報の枠組み(フレーム)を「確率」から「頻度」へ
置き換えるだけで、専門家でさえ陥る認知の誤りを劇的
に修正できる
5-5-2 参照クラスの選択
a 推論を行う際、どの参照クラスを使うかが重要となる
→参照クラス:統計の分母となる集団
Ex)前立腺癌の検査結果を解釈する際、「成人男性全体
の基準率」を使うか、「同年齢層・同民族の基準率」を
使うか、あるいは「自分自身の過去のデータ」に照らす

b サンプルの大きさと正確性のトレードオフ(参照クラ
スのジレンマ)
→カテゴリーを細かくしすぎると、該当するサンプル数
が減り、統計的なノイズ(誤差)が大きくなる
→カテゴリーを広くしすぎると、個別の状況に適合しな
い大雑把すぎる予測になる
←どのレベルの基準率を採用すべきかは、単純な計算問
題ではなく、判断者の知識と目的が問われる知的な作業
である
5-5-3 基準率を事前確率として使う際の問題
a 基準率が変化するケース
Ex)40 年前と現在の獣医学生に占める女子学生の割合の
変化
→これにより、古い基準率をベイズの法則に代入して計
算した人は、ひどい結果になる
b そもそも基準率のデータが存在しないというケース
Ex)獣医学生のうち、ユダヤ人の割合や左利きの割合、
トランスジェンダーの割合は?
→ベイズ問題に正しい事前確率など存在しない
5-5-4 何らかの基準率を事前確率として使える場合
→サンプルが母集団から無作為に抽出されたものである
場合に限られる
Ex)5-2-4 で紹介したペネロペも学生の中から選ばれた一

5-5-5タクシー問題と検診問題
a 基準率が極端に低い場合、目の前の証拠の精度が高く
見えても、結果は基準率の方に強く引き寄せられる「逆
転現象」を理解することが、ベイズ的思考の最大のハー
ドルである
Ex1) 街のタクシーの 85%が緑、15%が青で、目撃者が
「青だった」と証言し、その目撃能力の正確性は 80%
である場合
→多くの人は証言の正確性(80%)に飛びつき、青だと
確信するが、実際には「そもそも青が非常に少ない
(15%)」という基準率の重みが効いてくる
→基準率と証言の精度を組み合わせると、実際にそのタ
クシーが青である確率はわずか 41%程度となり、緑で
ある確率の方が依然として高いという逆転現象が起きる
Ex2) 医療検診における「偽陽性」の罠:罹患率 1%の病
気で、偽陽性率が9%の場合
→陽性と出た 100 人近くのうち、本当に病気なのはわず
か10人程度(約10%)である
偽陽性:実際には陰性(無病)であるのに検査結果が陽
性と出てしまう誤判定のこと
5-5-6視覚化によるベイズ推論
a100個のマス目を用いた空間的な思考:数式を「面積の
比較」として捉え直す手法
b ステップ1:全体の面積の中に、まずは基準率(事
前確率)に対応するマス目を塗り分ける
c ステップ2:その中で、さらに「証拠(検査の陽性反
応など)」が検出されるエリアを囲う
d ステップ3:囲まれた「証拠」のエリア全体の中で、
「本当に該当する(真陽性)」マス目が占める比率を目
視で確認する
→これにより、複雑な分数の計算を介さずとも、基準率
がいかに強力に結果を左右するかを直感的な比率の感覚
として脳に定着させることができる
5-5-7 ベイズ推論の社会的意義と「リスク・リテラシー」
の向上
a 専門職における「理性の道具」としての必須性
→ベイズ推論を欠いた判断は致命的な人権侵害や資源の
無駄遣いを招く
Ex)医師の診断、裁判官の量刑、警察の捜査、政策立案
者の予測
b リスク・リテラシーの概念
←リスク・リテラシー:不確かな確率情報を正しく解釈
し、感情的な煽りや偏見に左右されずに評価・判断を下
すことができる知的なリテラシーのこと
c ベイズ推論を学ぶことは、個人の知的能力を向上させ
るだけでなく、社会全体の偏見(ステレオタイプ)を中
和し、公正さと合理性を維持するための知的なインフラ
となる
d 私たちは皆、「サイコロを振っている神」のような不
確実な世界を生きており、ベイズ推論という理性の道具
を磨くことは、不当な恐怖や差別から解放され、より自
由で賢明な社会を築くための第一歩である

担当:まか、さり

7章 広告―マスからネットまで

 7-1 広告の効果は長く謎であった

 7-1-1 広告なしのマーケティングは可能だろうか 

a コミュニケーションの機能を担うのは広告だけではな い

 →提供する製品やサービスが素晴らしければ顧客間の口 コミが自然に起こる 

7-1-2 広告とはそもそも何でどう変化しているか 

a 広告

 →メッセージとメディアからなる メッセージ

:メディアで伝えたいこと クリエイティブ 

→それを具現化したもの メディア

:メッセージを伝えるチャネル テレビやラジオなどのマスメディアから看板や広告まで さまざま 

b 広告メディアは変化している 戦前から戦後は広告はポスターや新聞だったがテレビや ラジオといった電波メディアが登場しテレビ広告に変化 インターネット広告の支出も増加し2009年には新聞広告、 2019年にはテレビ広告を追い越す

 →テレビ広告とインターネット広告が柱の時代

 c またプロモーションメディアもテレビ広告やインタ ーネット広告に負けない規模 プロモーションメディア 

→折り込み広告やダイレクトメール、屋外広告

7-1-3 広告効果測定という長年の課題

 a 広告効果測定の前に分かっていないといけないもの 

→広告出荷量の把握 メディアのどの時間場所にどのような長さや大きさの広 告が出たのか記録する

 b 次の段階 潜在顧客がいかに顧客に反応したか 接触→認知→選考→購入が一般的

 7-1-4 すべては(接触)から始まる

 a 接触 

→対象者が広告が露出された環境にいるか テレビ広告では視聴率、インターネット広告ではインプ レッションが接触の指標 それ以外のメディアでは広告接触は質問紙調査で本人に 尋ねるしかなく精度が落ちる 

→落差をどう埋めるかが課題

 7-1-5 知られなければ選ばれない a 知名の測定方法 助成想起 

→ブランド名のリスクを啓示し知っているものを選ぶ 非助成想起 

→そのカテゴリーで知っているブランド名を何の手がか りも与えずに挙げてもらう

 b 知名率を高めることはその存在や内容が潜在顧客に十 分認知されていない新製品にとって需要な目標 知名の形成には広告だけでなく店頭で製品を見たりクチ コミで製品について聴くことも影響する 

7-1-6 なぜ広告をみると買いたくなるのか a 広告には情報提供や説得とは違う方法でターゲット顧 客の選考を変える可能性がある b Ex) バランス理論 

→AさんBさんCさんの3人がいたときAさんがBさんを好き でBさんがCさんを好きな時AさんがCさんを好きでないと バランスがとれない 広告に当てはまるとAを潜在顧客、Bを広告には登場する 人物やキャラクター、Cをブランドとする BはそもそもAに好かれているため広告には起用される BがCを好きだとしたらAはCを好きにならないとバランス がとれない

 7-1-7 内容と関係なく接触するだけで生まれる効果 

a 単純接触効果

 →ある対象に何度も接触すると他の条件が一定なら対象 への好意度が高まる 

7-1-8 購買の直前、そして購買後にも広告効果がある 

a リマインド効果:広告をみて思い出し購入に至る効果 

b 購入後に購入者は選択を正当化するためにその製品を 魅力的に描く広告を見ようとしている

 7-1-9 広告効果のファネルモデル

 a コミュニケーション効果のモデル 消費者は認知 選考 購買 購買後の流れで行動する 代表的なモデル 

AIDMA:AIDAに記憶を追加 

AIDA:注意→興味→購買→購買後の流れ

AISAS:インターネット時代向けに検索と共有を追加

 AIDEES:体験や熱中を重視 

b 消費者意思ジャーニー 購買は一直線ではなく何度も行き来して決まる 

7-1-10 

もう1つの経路₋無意識と感情の役割

 a 意思決定には二つのシステムがある

 b システム1はほとんど無意識のうちに自動的に進行す る 日常のかなりの部分が行われている 

c システム2は時間をかけて論理的に処理していくもの 

7-2 巨大な到達力を誇るテレビ広告

 7-2-1 テレビ広告の接触効果は視聴率がベースになる 

a テレビ広告の強み →幅広い範囲に迅速に情報を伝達できその効果を視聴率 で把握できる点 

7-2-2 テレビ広告キャンペーンの運賃としてのGRP a GRP(Gross Rating Points)

:1つのテレビ広告キャン ペーンが一定期間に獲得した視聴率の総和であり、キャ ンペーン全体の規模 GRPはテレビ広告を実施する際の最も基本的な価値基準 

→ GRPは広告キャンペーンの貨幣 

7-2-3 GRPはリーチとリクエンシーに分解される 

a GRPはリーチとフリクエンシーの掛け算でもある 

b リーチ

 →接触回数が1回以上の世帯(個人)の比率 

c フリクエンシー

 →接触のあった世帯(個人)における平均接触回数 GRPが同じ値でも、リーチとフリクエンシーはさまざまな 値をとることができる 

d リーチとフリクエンシーの最適な組み合わせは、ター ゲットとなる顧客の広告接触に対する反応(たとえば知 名)関数を推定して計算する

 7-2-4 理想のデータとしてのシングルソース・データ 

a シングルソースのデータ 

→顧客の自宅のテレビに視聴率を測定する装置を取り付 け、テレビ広告への接触まで同じ個人から測定する 広告への接触と購買行動との関係をより精密に分析する のが狙い

 7-2-5 テレビ広告の長期効果を担う広告ストック 

a 広告の購買効果を分析するとき、長期的な視点が必要 になる 

→ 一度や二度広告に接触しただけで購買が起きること は非常にまれで、広告接触を積み重ねるにつれ、徐々に ブランドへの選好が形成され、最後に購買に至る 

b 広告の長期効果を扱うときに有力なアプローチ

→広告 をストックとみなす考え方 広告ストックは毎期一定の比率だけが保持され、残りは 一方で新しく広告接触があった分だけ積み増されている

 →こうした増加と減少の2つの力によって、広告ストック は変化する c 広告ストックが最適水準を維持するように、忘却分を 補填する形で広告を実施し続けることが望ましい 

7-2-6 テレビ広告には短期効果が存在するという主張 

a シンクルソース・データを使い、購買前1週間以内にテ レビ広告に接触した世帯と、そうでない世帯間でブラン ドのシェアを比較する

 b 広告に接触した世帯ほどブランドのシェアが大きい場 合 

→広告の短期効果があったと判断する c しかし購買前に広告に接触した世帯はそもそも購買可 能性が高い 

→広告キャンペーンのターゲットにされた可能性がある ため広告に接触したことが購買の原因ではないのに、あ たかもそうであるかのように見える 

7-2-7 スプリット・ケープル実験による広告効果の検証 

a スプリット・ケーブル実験:ある地域コミュニティの ケーブルテレビ加入世帯ごとに流す広告を変え、反応を 比較する 

b 対象世帯については、その地域のスーパーで何を買っ たかも記録されている 

c この仕組みを使えば、世帯による広告接触回数や広告 内容の違いが、購買行動にどう影響するかを検証できる d 広告の配信先がランダムに選ばれているので、広告以 外の要因の影響は中和されている

 7-2-8 広告表現をいかに「管理」するか

 a クリエイティブ・テスト(広告表現の事前テスト)行 われ、テストの結果次第では、表現の内容が改良される こともある 

b テストは通常、会場に潜在顧客を集めて行われる 実際に自宅でテレビを視聴する状況とは異なるため、テ スト結果の妥当性を疑う関係者もいる 

c クリエイティブ・テストと購買データを結びつけた分 析も考えられる 

d 2005年から2010年までにドイツで流された437のテレ ビ広告について、クリエイティブ・テストの結果を組み 入れた広告の売上効果を分析した 

→その結果は製品カテゴリーによってさまざま

 7-3 業界を根底から変えるインターネット広告 

7-3-1 インターネット広告の効果はクリックで測られて きた 

a 現在のインターネット広告の2本柱は、ディスプレイ 広告とリスティング広告(検索運動型広告)

 b ディスプレイ広告(display ad):ウェブページの広告枠に表示される広告 

→インターネット・ユーザーは、ディスプレイ広告を避 けるようにウェブページを閲覧している 

→ディスプレイ広告の接触回数が多いほど、ブランド名 が記憶される 

∵ 人間の知覚には「周辺視野」と呼ばれる視点から離れ た場所への意識されない知覚があるため

 c クリックスルー率(Click Through Rate:CTR):表示さ れた広告の何%がクリックされたかを示す比率 

→コンバージョン(Conversion):さらにそのサイトで購 入したり、資料請求したりすること 

→以前に比べCTRは非常に小さい数値になった

 7-3-2 精緻なターゲティングによる効率アップ

 a CTR向上のために、マイクロ・ターゲティング(micro targeting) や 行 動 ターゲティング(behavioral targeting)と呼ばれる方法がある 

→ターゲットの顧客が過去に訪れたサイトなどのデータ を収集・解析し、個人の反応確率が高くなる広告を配信

 7-3-3 潜在顧客が自然に集まる広告 

a リスティング広告(listing ad:検索運動型広告):顧 客のその時点での関心や欲求に適合した広告 

Ex) 丸の内で美味しいケーキ屋を探している人が検索サ イトで「丸の内 ケーキ屋」と入力すると、それらのキー ワードに関連するウェブページのリンクだけでなく、顧 客の関心や欲求に合った広告が表示される 

7-3-4 広告ビジネスの革新―市場取引の自動化 

a ディスプレイ広告では、リアルタイム入札(Real Time Bidding:RTB)と呼ばれる自動化された取引が行われる 

→広告枠のあるウェブページを訪れた顧客は瞬時にプロ ファイルを識別され、そこに対して広告を配信したい広 告主を代理するプログラムが入札する

 7-3-5 「成果報酬型」広告によるメディアの拡大

 a 「成果報酬型」広告 

→これまでの広告取引は、広告主とメディア(インターネ ットであればサイト運営者)の間で直接または広告会社 を介して行われてきたが、そこに他の個人や企業が参加 する余地ができた 

Ex) アフィリエイト広告(affiliate advertising) 

→アフィリエイトは自分のサイトに第三者の企業の広告 を掲載させ、それがクリックされたり購買が発生したり したとき報酬を得る 

b 成果報酬型広告が導入されて、従来広告配信の枠外に まで広告配信が可能になり個人ブログでも参加しやすい

 ∵ コストはクリックや購買が起きたときのみ発生する から 

7-4 多数のコミュニケーション・メディアを統合する

 7-4-1 コミュニケーション計画の最適化 

a メディアミックス:広告において異なるメディアをど う組み合わせるか 

→これを用いて与えられた予算の下で、顧客に対するコ ミュニケーション目標(知名から購買まで)を最大化する メディア間予算配分が算出される

 b 顧客に対するコミュニケーション目標がブランド知名 など、広告の接触回数でほぼ決まる時代ではなくなった 

→マーケティングにおいて、対話性(interactivity)と特 定可能性(addressability)が重要 

→顧客との対話がマーケティングに不可欠なのは言うま でもないが、対話には相手が誰かを知り個別にアクセス できる特定可能性があるとよい

 7-4-2 メディア間シナジーを考慮したメディアミックス

 a マスメディアとインターネットをメディアミックスに 組み込むだけでなくそれらを上手く関連付けるためには、 メディア間のシナジー(synergy:相乗効果)の測定が課題

 Ex) テレビ×ラジオ、テレビ×新聞 

b メディアミックスにシナジーがあると、各メディア単 独の効果の足し算より大きな効果が得られる

 ∵ [効果]=a₀+a₁[マス]+a₂[ネット]+a₃[マス]×[ネ ット]+誤差(a₁,a₂,a₃>0)という式になるから

 7-4-3 カスタマージャーニーマップを描く 

a タッチポイント(touch point:顧客接点):顧客と企 業・製品・ブランドの接点 

b カスタマージャーニーマップ(customer journey map):顧客接点の間で顧客の動きを描いたもの →顧客の行動について理解を深めるのに役立つ c 競合も考慮に入れて顧客の行動を把握する必要がある

 Ex) ビール市場のカスタマージャーニーマップ 

←価格:価格が下がったこと 

←購買数量:市場全体で購買量が増加したこと 

→図を横で見たとき、どの変数がブランド間で同時期に 動くかが分かる 

d 各タッチポイントにどう予算配分すべきかの意思決定 のために、広告やプロモーションへの予算配分や価格設 定の効果を予測するマーケティング・ミックス・モデル が提案されている

 7-4-4 ボトムアップ型マーケティング・コミュニケーシ ョン

 a マーケティングにおいて、目標を最大化すべく個々の 手段の水準を決めるという発想はトップダウン的 

b 検索やソーシャルメディアの利用のように顧客の能動 的な情報収集が活発になると、ボトムアップ型の発想も 加味していく必要がある 

8章 クチコミとソーシャルメディア

 8-1 クチコミが顧客を動かす  顧客間相互作用の一部としてのクチコミ

 a 顧客間の相互作用には3つの層がある 

b 狭義のクチコミ:言葉で表された情報が広がること

 c 広義のクチコミ:言葉以外の様々な情報が顧客間に広 がること 

d ネットワーク外部性:情報の伝播を必ずしも前提とし ない顧客間相互作用

 8-1-2 ネットワーク外部性とクチコミの区別

 a ネットワーク外部性(network externality)あるいは ネットワーク効果(network effect)

:顧客間に情報が流 れているかどうかに関係なく、ある顧客の行動が別の顧 客が得る価値に影響を及ぼすこと

 b 通信サービスのユーザーが直接得る価値は何人と繋が り得るかで決まるが、他人同士の繋がりが回り回って自 分にも利益をもたらすことがある 

→価値は全加入者間のペアの数に比例し大きくなる 

8-1-3 バンドワゴン効果とスノッブ効果 

 

a バンドワゴン効果(bandwagon effect)

:その製品やサ ービスのユーザーが多いほど選好されること 

Ex) 音楽配信サイトでランキングの上位にきた曲が、ま すますダウンロードされるようになる 

b スノッブ効果(snob effect)

:その製品やサービスの ユーザーが多いほど選好されないこと 

Ex) ファッション性の高い製品は、持っている人が増え すぎると選好されなくなる 8-1-4 感染症モデルでクチコミを理解する 

a ウイルスに感染すると自分だけでなく自分の周囲に感 染が広がるようにクチコミで情報は人づてに伝わる

 b シード:最初にクチコミを流す人

 c リーチ:到達人数

 d w:一人がクチコミを伝達できる人数であり、拡散率 e wが1以上になるとリーチは無限大に発散するが、人 口の上限に達したときクチコミの拡散は終わる

 8-1-5 実際のキャンペーンでのクチコミ拡散率 

a クチコミ・マーケティングの正否を決めるのは拡散率 ←緊急性の高い社会的メッセージなら拡散率が高くなる 

Ex) 参加するとハリケーンの被害者救援に1ドル寄付さ れるOxygen Networkのキャンペーンの拡散率は約0.8 8-1-6 クチコミによって拡大する顧客資産

 a 最初一人の顧客だけがシードになり、購入し続ける限 りクチコミを流し次期にw人が新たに購入する

 b シードとなった顧客の生涯価値:CLV=(1+d)÷(1+d-w r) 

←d:割引率 ←w:顧客獲得率 ←r:顧客維持率

 c クチコミがない場合の顧客生涯価値:CLV₀=(1+d)÷ (1+d-r) 

d クチコミ乗数(word-of-mouth multiplier):M=(1+d-r) ÷(1+d-w-r) ←クチコミによって顧客生涯価値を何倍にできるか 

→顧客維持率が高いときほど顧客獲得率の効果は大きく なり、クチコミ乗数も大きくなる 

8-1-7 クチコミ・マーケティングと弱い紐帯 

a 弱い紐帯:接触頻度が少なく知り合いのような関係 

b クチコミを流すクチコミ代理業者は、顧客の中にシー ドの役割を担う代理人を用意している 

→代理人は友人ネットワークを使ってクチコミを流す

 c 代理業者が行ったスーパーマーケット・チェーンの来 店促進キャンペーンの効果において、店舗へのロイヤル ティが低くクチコミ代理人と弱い紐帯で結ばれている顧 客に対しより効果的であった 

8-2 ネットワーク科学の基礎を学ぼう 

8-2-1 社会ネットワーク分析の基礎

 a 社会ネットワーク分析(social network analysis) 

→物理学や情報科学におけるネットワーク科学と相互に 影響を与え合いながら発展し、あらゆる社会科学の領域 に取り入れられている 

b ネットワークの性質

 (1) 密度(density):実際のリンク数を全員が直接友人 関係にあるときのリンク数で割った比率 

(2) 平均距離(average distance):特定個人にメッセー ジを届けるとき経由しなくてはならない最小のリンク数 を距離といい、二者間の距離の平均

 (3) 平 均 ク ラ スタ係数(average clustering coefficient) 

Ex) 個人Dの4人の友人の間であり得るペアは6つで、 その中でお互いに友人なのはAとCの1組なので個人D の友人同士が友人である確率は6分の1になり、同じ計 算を全員に行う 

(4) 次数分布(degree distribution) →次数:ネットワークを形成する各点が持つリンクの数 →次数が1の点はいくつあるかといった次数の度数分布

 8-2-2 イッツ・ア・スモール・ワールド! 

a スモールワールド・ネットワーク(small-world network):密度が高くない割に平均距離が短く、クラス タ係数が大きいネットワーク

 b スモールワールド・ネットワークを作るには全員を円 環状に並べ2つ隣までリンクし、その後ランダムにリン クを選んで繋ぎ替える操作を繰り返す

 8-2-3 巨大なハブが存在するスケールフリー・ネットワ ーク

 a ハブ(hub):非常に多くの点と結びつく点 

b スケールフリー・ネットワーク(scale-free network): ハブが存在するネットワーク

c 現実の社会ネットワークは、スケールフリー・ネット ワークとスモールワールド・ネットワークの両方の性質 を持っている