DM2年 かゆ、なま、しし
13-0 提案を通すためにすべきこと
13-0-1 他人の意思決定
Ex)意思決定のお膳立てをする役割、意思決定者に自分
の企画を通してもらう立場
13-0-2 意思決定をする人への対案の仕方を考える
13-0-3 人に意思決定を迫る場合
→その人の「心の内」によって話の進め方を選ぶ必要が
ある
13-1 Q13 品揃えは多いほうがいいのか?
13-1-1 自分はお店を経営する立場
13-1-2 お店に並べる商品をどんなものにしたらいいか
考える
13-1-3 考慮すべき点
a 品揃えは多い方がいいのか
b 品揃えは少ない方がいいのか
c どこかに「適量」があるのか
13-1-4 回答の例
a 一つの商品カテゴリーで三つか四つ
←ある程度の品揃えがないと売り場がみすぼらしい印
象になってしまう
←品数が多すぎても、選択肢が多すぎてお客さんは却
って決められなくなる
b 数の問題ではなくお客さんの納得性の問題
←お客さんの「自分で選んだ」という気持ちが一番大事
←それを買わせるように誘導した見せ方をしたり「押
しつけ」はないようにしたい
c 売れるものであれば一つでいい
←「パン屋さん」ではなく「メロンパン専門店」にする
と原材料も一種類分で済む
d「できるだけ多くする」か「できるだけ少なくする」
かどちらか
←中途半端でどっちつかずになると、お客さんを取れ
ないのではないか
e 顧客層に適した店の大きさと商品の種別を選ぶこと
が大事
←お店が大きすぎると動線が長くなって買い物をして
いて疲れてしまう
←少なすぎると商品を選ぶ余地が狭まる
13-2 相手に「自分で選んだ」という納得感を与える
13-2-1 商品やお店によって品揃えが多い方が良い場合
も少ない方が良い場合もある
a 大きな書店であれば何十万点も商品が必要
b コンビニエンスストアの飲料は一つのカテゴリーで
三つぐらいに絞った方が売れる
Ex)お茶なら「伊右衛門」「お〜いお茶」「綾鷹」しか
置かないというように絞り込む
13-2-2 どのようなお客さんを対象にするかで変わる
Ex)初めてラケットを買うとき、大きなスポーツ用品店
では選択肢が多すぎて決められない
13-2-3 お客さんの納得感も大事
13-3 複数の選択肢を提示してメリット、デメリットを
説明する
13-3-1 意思決定の提案をするときも相手が納得するよ
う仕向けることが大事
→自分で選ばせる
13-3-2「自分で選ぶのが嫌だ」という人もいる
→相手の「心の内」を知ることが重要
13-4 相手のリスク選好度を考慮する
13-4-1 意思決定をする人にはリスク選好度の違いがあ
る
←リスク選好度とはリスクに対する人それぞれの態度
の違い
a 提案する相手がリスクに対してどういう態度を取る
人間か知っておかなければいけない
13-5「逃げ道」を用意する
13-5-1 意思決定の中で「やめる」「捨てる」という決断
が特に難しい
a 人間は「自分でやってきたこと」に拘ってしまう
b それを捨てるのは自分の過去を否定するのと同義
13-5-2 マイナスの意思決定をするとき
a 経営者は自分の社長としての評判を気にする
b だからといって意思決定を先送りにはできない
13-5-3 逃げ道や言い訳を用意する
a 相手が不安に思っていたり、ネガティブに思っている
ことを打ち消してあげる必要がある
←相手の頭で考えるということ
Ex)共感する、脅す、なだめる
13-6 結論から言うのがいいか?
13-6-1 グローバルにビジネスをやっていく場合
a 日本的な議論の進め方
b アングロサクソン的な議論の進め方
c この二つの議論の進め方は違うということを知って
おく必要がある
13-6-2 アングロサクソン的な世界の人たち
←プレゼンテーションは結論から入るのが好き
13-6-3 日本人
←まず納得する根拠を欲しがる
Ex)ある事業からの撤退が明白に必要な場面でも撤退
をいきなり宣告するのではなく、うまく説明を入れる
と納得してくれることもある
13-7 相手に「腹落ち」してもらう
13-7-1 腹落ち
←お客さんが提案を心から信じてくれるようにするこ
と
a コンサルタントの提案を毎回反対してくるクライア
ント
b そのクライアントが提案の最終報告では「自分が昔か
ら考えていたことと同じ内容だ」と言い張る
←「これは自分の案だ」と主張しているともとれる
←腹落ち
13-7-2 相手に「これで行こう」「これでやってみたい」
と思わせることが大事
13-8 クライアントと一心同体になってはいけない
13-8-1 コンサルタントの立ち位置として重要なこと
a お金や自分のために働いていると思われ信頼を失う
のは避けたい
b 一心同体になってはいけない
→コンサルタントというのは第三者
→お客さんと一体化してはいけない
Ex)選手が勝利に喜んだとしても、コーチは選手の成績
に一喜一憂してはいけない
←冷静な分析が求められる
13-8-2 コンサルタントは「信頼」と「距離感」をうまく
バランスさせることが重要
14-0 リーダーの混乱は危機を招く
14-1『八甲田山 死の彷徨』に見る意思決定の問題
14-1-1 リーダーの意思決定が混乱すると組織は危機に
直面する
14-1-2「やめる」という決断が難しい
14-1-3 意思決定が遅れたり間違えたりしやすい
14-1-4『八甲田山 死の彷徨』(新田次郎著)
←映画化もされた小説
14-1-5 旧日本陸軍で起きた雪山での遭難事件が題材
←組織を率いるリーダーの意思決定について考えさせ
られる内容
14-1-6 あらすじ
a 日露戦争前の明治 35 年に陸軍は八甲田山で雪中行軍
の演習を実施することになり神田大尉率いる青森 5 聯
隊と徳島大尉率いる弘前 31 聯隊が出発する
b 徳島大尉率いる弘前 31 聯隊は志願者のみ、体格がい
い者だけを集めた少数精鋭の38人で210キロ余りを11
日間で踏破した
c 一方青森 5 聯隊は複数の部隊からなる 210 人で八甲
田山の難所に絞り 3 日で踏破する予定だった
d 指揮者は神田大尉だったが上官に当たる大隊長の山
田少佐が随行することになり山田少佐が命令を下すよ
うようになった
e 天候の悪化により軍医が撤退を進言するが山田少佐
の判断で行軍は続けられ聯隊は遭難
f 199 人の死者を出した
14-1-7 この小説を読むとリーダーシップと意思決定の
問題を多々感じる
14-2 指揮権を手放してしまった
14-2-1 ビジネススクールで出た意見
a「神田大尉はリーダーだったのに、意思決定権を山田
少佐に渡してしまった」
b「神田大尉はコンプレックスがあって、山田少佐に忖
度していた」
c「山田少佐が随行することなどへの疑問を抱きながら、
『言っても無駄なことは言わないほうがいい』と神田
大尉は考えてしまった。言えば変わったかもしれない」
d「神田大尉が『指揮権は自分にある』と言えば、それ
が軍のルールだということは山田少佐も知っている。
なのに、山田少佐に頼った」
14-2-2 神田大尉は山田少佐を尊敬していた
←これが話をややこしくする
14-2-3 山田少佐に「私が指揮を取ります」ということは
会社で言えば自分を引き立ててくれた上司に「お前ど
け」というような難しさがある
14-3 理屈が通らない人にも理屈がある
14-3-1 山田少佐に関しての意見
a ロジカルではなかった
b 精神論に偏っていた
c 弘前 31 聯隊が結果を出したので自分たちも結果を出
さなくてはならなかった
14-3-2 昔の米軍では「今回の演習で犠牲者が出たか?」
と聞いて「3 人です」という答えなら指揮官は「よかっ
た」と答えた
←死者が出るのは仕方のないことで実践と同じくらい
の緊張感を持って取り組まなくてはならないと思って
いる
14-3-2 青森 5 聯隊の行軍の結果はどれが望ましいか
a 全員が無事に到着する
b 一部だけが目的地に到着する
c 全員で引き返す
d 途中で露営して一部が救助される
e 全滅する
14-3-3 人名第一なら a か c
14-3-4 日露戦争に備えるという意味では b か d だった
かもしれない
14-3-5 山田少佐は死ぬことを恐れては戦争はできない
と思っている
←こういう考え方の人にとって行軍の続行は当然の判
断
14-3-6 自分が説得しようとしている相手には自分とは
全く違う理屈を持っているかもしれない
14-4 全体最適
14-4-1 どう説得すれば山田少佐が納得したかはわから
ない
14-4-2 部隊がバラバラに行動することだけは避けなけ
ればならない
14-4-3 軍隊は上位下達で上官の命令を守ることは絶対
←命令に従わない兵士がいると作戦が乱れ部隊が全滅
しかねない
14-4-4 ビジネスにも似たところがある
14-4-5 企業は部分最適ではなく全体最適を目指さない
といけない
14-4-6 富裕層向けの高級ブランドを強みにする企業な
のに一部の部署が勝手に安売り製品のような販促をす
るとブランドが損なわれる
14-4-7 組織が全体最適になるように作戦を設計しそれ
に従って全員が進んでいくよう指揮するのがリーダー
の役割
14-5 リスクマネジメント
14-5-1 青森 5 聯隊はリスクマネジメントができていな
かった
a 装備の不足
b 準備期間が短すぎた
14-5-2 神田大尉も山田少佐も雪山に無知であった
14-5-3 神田大尉は徳島大尉に演習の計画のアドバイス
をもらったがそれで得た案を山田少佐に否定された
←素人同士で話し合っても良い計画は立てられない
14-5-4 八甲田山の遭難における問題
a 出発してから起きたことへの対処
b 出発前の準備
←この2つはリスクマネジメントの基本
14-6 コンティンジェンシープラン
14-6-1 コンティンジェンシープラン
←危機が起きてから対応策を立てるのでは遅いので事
前に「こういう場合はこう対応する」と決めておくこと
14-6-2 青森 5 聯隊が建てることのできたコンティンジ
ェンシープラン
a 行動は3日間の計画なので、3 日経ってもつかなかっ
たら本部から救助隊を出す
b 行軍ルートに事前に物資を置いて最悪の事態に陥っ
た場合は使えるようにする
c1 日ごとに本部に舞台の一部を返して帰って来なかっ
たら救助隊を出す
14-6-3 このようなコンティンジェンシープランを決め
ておけば部隊がほぼ全滅することはなかった
14-7 ポイント・オブ・ノーリターン
14-7-1 ポイント・オブ・ノーリターン
←「ここを超えたら戻ることができなくなる」という地
点のこと
14-7-2 八甲田山のように「撤退」の意思決定が想定され
る場合
←「撤退するならいつまでに決める必要があるか」が
ポイント・オブ・ノーリターン
14-7-3 飛行機の例
→離陸後に何らかのトラブルが発生したとする。その
まま目的地に向かうか離陸地に戻るか。戻るだけの燃
料が残っていない場合も
←この境界がポイント・オブ・ノーリターン
14-7-4 八甲田山の場合
神田大尉が腹を括って「これからは私が指揮を執りま
す」と山田少佐に伝え、撤退することもできた
←ポイント・オブ・ノーリターンがどこだったかはわか
らないが早く撤退を決定していれば被害は抑えられた
14-7-5 このような意思決定は遅れれば遅れるほど難し
くなる
←嫌な意思決定ほど早くする
14-7-6 リーダーが意識するべき心がけ
←ポイント・オブ・ノーリターンを意識しつつ、手遅れ
にならないタイミングで意思決定をする
15-0 勘を磨く
15-1 直感を信じる
15-1-1 著者は意思決定のときは直感を信じる
a 勘は外れることもあるため、検証をする
←直感を大事にして結論を出し、その後うまくい
くのか検証をする
b その反対に先にデータを集め、答えを出すという
人もいる
→著者は長年のコンサルタントの経験や優秀な経
営者に会って直感を大事にするようになった
15-1-3 直感には独りよがりになるリスクがある
→これを防ぐために人の意見を聞く
a その反対に、人の意見を聞いてその集合知を自分
の意見にする人もいる
→集合知:多くの人々の知識や経験を収集し、共有
すること
Ex)10 人に聞いて 9 人や 7 人が賛成したら自分も
賛成すると決める
15-1-4 著者は先に決めてから意見を聞き、検証に
時間をかけず、スムーズに意思決定をする
15-1-5 意思決定は経験を積むほどうまくなるとい
える
15-2 分析して数字にする努力をする
15-2-1 意思決定にはいろいろな落とし穴がある
a これまでの手法に当てはめれば自動的に答えが
出るというわけではない
b 実際のビジネスで数字に落とし込むことも容易
ではない
c 数字が示さない、不合理な選択をすることもある
15-2-2 それでも因数分解する努力が大事
a 複雑な状況を整理して、何が重要か明らかにする
b 次にそれを数字に落とし込めるか試みることが
欠かせない
→この因数分解の手段がこれまで紹介したいろい
ろな手法や考え方
15-3 都合のいい数字を作らない
15-3-1 結論に合わせて数字を作ってしまう
a いろいろな分析手法を使うと、意思決定の判断材
料として数字を作っているようで実は都合のいい
数字を作ってしまっている
15-3-2 この、思いが先走って数字を作ってしまい
がちなのが M&A
a M&A をやりたい担当者がいかに効果があるかを
説明する資料は都合のいい数字が多い
←意思決定のために用意された数字を見る場合は、
このようなリスクを知覚しておくべき
15-4 情と理
15-4-1 経営者は大きく分けると「情の経営者と」
「理の経営者」がいる
a 情の経営者は、多くの人に手助けしたいと応援さ
れても、合理的ではないと思われる可能性
b 理の経営者は、言っていることが正しくても人間
味がなく薄情で、嫌われる可能性
←どちらがいいというわけではなく、自分がどち
らなのか知っておく必要がある
15-5 右脳と左脳
15-5-1 人によって左脳(合理的思考)が強い人、右
脳(感情的思考)が強い人がいる
a 左脳は納得していても右脳は納得しないという
ことがある
b 左脳と右脳が食い違って決められないときは人
の意見を聞くという選択肢
→自分では「それだけは嫌だ」と思って、人に意見
を求めるとプライドの問題だったことも
15-6 困ったときは妻に聞く
15-6-1 人に意見を求めるとき、まったくの素人に
聞くことで違う視点の判断を知れることも
a 著者は妻に聞く
b 人生の先輩の意見
→自分より長く生き、自分より成功した人の意見
は心理的に聞きやすい
c そういう先輩を自分のアドバイザーとして持つ
ことは役に立つ
15-7 実るほど頭を垂れる稲穂かな
15-7-1 自分が何かで困ったとき立場が下の人でも
頭を下げて聞く
→「君はどう思う?」と上から目線ではなく、「参
考にしたいんだけど良ければ教えてくれません
か?」と頭を下げる
15-7-2 偉い人に頭を下げられて気分が悪い人はあ
まりいない
a そういう態度で接すると快くいろいろなことを
教えてくれる
15-8 聞き方にも気を遣う
15-8-1 よく話してくれる態度
a 紙とペンを持ち、ポイントのメモを取り、頷きな
がら聞く
←「あなたの言っていることを真剣に聞いている」
という態度で、心を開いてもらいやすくなる
15-8-2 本音を言わなくなる態度
a 相手の話を漏らさず記録したいからと言ってレ
コーダーを使う
←レコーダーをセットしたとたんに本音を言いづ
らくなる
15-8-3 こういう風に人の話を聞くときは、状況に
よって適した聞き方がある
15-9 サル山からでも学べる
15-9-1 サル山を見ていれば、人間の社会でリーダ
ーが果たす役割を学べる
Ex)ボスがどんな仕事をしているか、どういうと
きにボスが手を出すか、どういう状況で部下が離
反してボス猿が追放されるか
15-10 意見が割れた意思決定ほど質が高い
15-10-1 複数人が議論して意思決定をするとき、意
見が不意ってだった時の方が意思決定の質は高い
a 当然だが意見が一致して決まった方が全体の満
足度は高い
b 一方で意見が割れ、議論が盛り上がるような意思
決定の方が椎津は高い
15-10-2 メンバーの調和や満足度を気にして当た
り障りのない議論をするのではなく、質を高める
議論に尽くすことが欠かせない
a すんなりいかなくても、むしろ意見が割れて議論
が紛糾するのなら歓迎し、そこでしっかりと決め
られる人になることが求められる
16-0 おわりに
16-0-1 経営は総合格闘技である
a 持てる知識と経験を総動員し、多面的に検討した
うえで自分自身で答えを出す必要がある
←経営者は財務や人事、マーケティングが分かれ
ばいいというものではない
16-0-2 ビジネススクール
a ビジネススクールは、幅広い科目を教えている
Ex)経営戦略、会計・ファイナンス、マーケティン
グ、人事・組織、リーダーシップ
b 機能別の専門知識やスキルを学ぶだけでは競争
相手に勝てない
16-0-3 経営者にとって「物事を決めること」が一番
大事な仕事
a 物事を実行に移す前段階での決めることの質の
高さが企業の命運を分ける
b 経営者は様々な悩みに直面しながら、様々な方法
で意思決定する
Ex)自分の得意な方法を使う、社内のスタッフを動
員する、コンサルタントを雇う、人に聞く
←意思決定の質の高さが大事なことは組織のリー
ダーや個人でも言える
16-0-4 意思決定において全体的に教えてくれるホ
リスティックな概念は存在しない
→ホリスティック:包括的な
a これまでに出てきた物事を決めることに関して
の手法は個別のものである
Ex)意思決定論、ディシジョンツリー、経済性分
析、オプション理論、シナリオプランニング、行動
経済学
16-0-5 著者の言葉
a ビジネスの意思決定においては、これまで紹介し
た知見を総動員し、「決める上」での要所を逃さな
いことが大事
b この本の目的は、入門的な演習、実験、ケースデ
ィスカッションを通じて「決めること」の要諦を知
ってもらうこと
c 本で学んだことを実践してみたり、それぞれの分
野を深く学ぶことでさらに質の高い意思決定がで
きるようになってほしい