こんにちは、佐野みずきです。
前回に続き、婚約者と自分の相性診断をして欲しいと望んだ会社員とその婚約者の方についてお話しします。
33歳の会社員の鈴木さん(仮名)と、婚約者の洋子さん(仮名)は、美男美女のカップルで、一見、大変お似合いのふたりに思えました。
結婚を控えた方が、あえて相性診断を求められる理由は、「ふたりは大変相性がよく神様が決めた運命の相手」ということを、確認したいためなのかもしれません。(私個人は「運命の相手」などは存在せず、人間関係は、忍耐と努力で築くもの……と思っていますが)
約500枚の色カードを使用した心理診断は、被験者の方が想像する以上にシビアな結果をもたらすことがあります。鈴木さんと、婚約者の洋子さんのケースもそうでした。
おふたりはカードを並べ終え、鈴木さんは期待に満ちた目で、私の診断結果を待っていました。彼は、悪い結果が出るとは、想像もしていないようです。
一方の洋子さんは、私の神妙な様子を早くから察知し、微かに不安を感じているようでした。
一方の洋子さんは、私の神妙な様子を早くから察知し、微かに不安を感じているようでした。
「どうぞ、何でも遠慮なくおっしゃってください。悪い内容でも平気ですよ」
カードを眺め、なかなか話しださない私の様子に、さすがに何かを感じた鈴木さんが、先を促します。
「少々お話しづらい内容もありますが、おふたりの将来のために、今わかることを正直にお伝えします」と、私は言いました。
鈴木さんは、サービス精神が旺盛で明るく楽しく、多くの人に好感を持たれる可愛らしい印象の方です。ただし、大変甘えん坊で依頼心が強く、わがままな点が目立ちます。
洋子さんのほうは心根が優しく、争いを好まず真面目。料理や家事も得意のようで、鈴木さんにとっては、理想的な結婚相手に思えるかもしれません。
ただ、表面には現れていませんが、洋子さんには、大変頑固で融通がきかない面がありました。おそらく家庭環境や親の教育に起因するものですが、幼い頃から他者に対して自分を強く主張したり、わがままを言ったりすることができないようです。
洋子さんは一見、穏やかでそつがないのですが、実は激しい感情も秘めており、嫌なこと不快なことは口に出さずに自分の中に溜め込むタイプでした。
洋子さんは一見、穏やかでそつがないのですが、実は激しい感情も秘めており、嫌なこと不快なことは口に出さずに自分の中に溜め込むタイプでした。
鈴木さんは、そんな洋子さんを「彼女は大人だから」と表現します。
ですが、彼は彼女のことを、何もわかっていないのではないかと思います。
ですが、彼は彼女のことを、何もわかっていないのではないかと思います。
鈴木さんの大いなる誤解、あるいは希望的観測による洋子さん像が、昔から出来上がっていて、今さらその形を崩すことができない……というのが今の洋子さんでした。
そしておふたりの関係は、常に鈴木さんが洋子さんを一方的に引っ張っていく……という形で成り立っていました。
そしておふたりの関係は、常に鈴木さんが洋子さんを一方的に引っ張っていく……という形で成り立っていました。
ふたりが置いたカードには、その他にも気になる点がいくつもありました。
鈴木さんは、33歳の現在も両親に経済的に依存している様子が伺え、また相当甘やかされている実態が見えました。
さらに鈴木さんは、人に物を借りても返さない、時間に遅れても気にならない……というルーズな面が目立ちます。
鈴木さんは、33歳の現在も両親に経済的に依存している様子が伺え、また相当甘やかされている実態が見えました。
さらに鈴木さんは、人に物を借りても返さない、時間に遅れても気にならない……というルーズな面が目立ちます。
サービス精神が旺盛で、パーティやお祭りが大好きで、人に好かれる可愛らしい性格ですが、結婚相手として考えると多くの問題がありそうです。
また鈴木さんの置いたカードには「多額の借金」を表す内容があり、私がそれを伝えると彼は激しく動揺しました。
「うん、ちょっと親に……ね。君も知ってるよね?」と洋子さんのほうを向いて、彼は弁解がましく言います。
「うん、ちょっと親に……ね。君も知ってるよね?」と洋子さんのほうを向いて、彼は弁解がましく言います。
洋子さんも彼の言葉にうなずいていましたが、普段からそれを不快に思っている様子が明らかでした。
最後に、「現在は一緒に住んではいないので、お互いの個性や欠点がさほど問題にはなりませんが、これから結婚し、良い家庭を築こうと思うなら、お互いにかなりの努力が必要ですね」……と、私はお伝えしました。
鈴木さんは、思い込みで行動しないこと。自分の悪い癖を直そうと努力すること。
洋子さんは、できるだけ正直に自分の考えや思いを、人に伝える努力をすること。
その後……
このふたりの結婚はなくなったと、鈴木さんを紹介してきた知り合いから、報告がありました。
ふたりが別れた大きな理由は、鈴木さんの借金でした。彼は両親からだけでなく、友人や金融会社からも相当な額を借りていたようです。
もしかしたら、私の診断が引き金になった可能性もあるかもしれない……と、私の知り合いは言いました。
ですが、相性の合わない者同士が無理に関係を保たせる方が、私にとっては不幸のように思えます。特に洋子さんにとっては、懸命な判断だったのではないかと、私には思えてなりません。
もしかしたら、私の診断が引き金になった可能性もあるかもしれない……と、私の知り合いは言いました。
ですが、相性の合わない者同士が無理に関係を保たせる方が、私にとっては不幸のように思えます。特に洋子さんにとっては、懸命な判断だったのではないかと、私には思えてなりません。