吉高宗像神社
(よしたか むなかた)
《印旛沼の西側に宗像神社が13社も密集》
当社は、旧・吉高村の高台に鎮座する美しい古社です。境内のはずれからは、印旛沼を遠望できます。
◇鎮座地:千葉県印西市吉高700-1
◇最寄駅1:京成本線・京成佐倉駅
◇最寄駅2:北総線・日本医大駅
◇最寄駅3:JR成田線・小林駅
→3駅ともバス利用で「一本松」バス停下車
◇御祭神:田心姫命、湍津姫命、市杵島姫命
→明治40年に罔象女命、保食神を合祀
◇御朱印:あり
【宗像大社】筑紫国
◎宗像大社は、福岡県宗像市にあり、宗像三神を祭神とする式内社。日本各地に七千余ある宗像神社、厳島神社、および宗像三神を祀る神社の総本社。旧社格は、官幣大社。
◎宗像三神は、『日本書紀』の「一書に曰く」として《道主貴》とも称される。byウイキ
◆道主貴(みちぬしのむち)
=すべての道を司る最高神
(日本書記 第3の一書)
◇なぜ、このような名で呼ばれるのか
宗像大社が、朝鮮半島を経て大陸へつながる海の道(=海北道中)に鎮座。
三女神が海道航海の安全を守護する神なので、こう呼ばれます。
◇「貴(むち)」=高貴な神
日本書紀において、この尊称が使われる神は、以下の3神のみです。
①大日孁貴神(おおひるめのむち)=アマテラス
②大己貴神(おおなむち)=オオクニヌシ
③道主貴(みちぬしのむち)=宗像三女神
→①天津神トップ、②国津神トップ、そして③宗像三神の別名に、この尊称が使われます。
いわゆる「三貴神」がありますが、これは固有名詞につけられた「貴」ではありません。
宗像三神がいかに崇高な神とされていたか。
それがよく分かる別称だと思います。
【当社への道程】
◇バス停から1.2km
森には入らず、周縁を迂回します。つまり、田んぼや森を迂回しながら進みます。
◆人に出遭わない
道中、人に遭遇しませんでした。農作業する方すら見かけることがありませんでした。
◆社号標
「村社 宗像神社」と彫られた石碑です。ここを右に入ります。
◆社頭を遠望
◆木製社号標
「吉高鎮守 宗像神社」と書かれています。
◆手水舎
斎庭に入る前に手と口を漱げる。実に嬉しいことです。
たとえ水道水であっても、心身を清めることができれば、それで「いいんです。」
◆鳥居
当社は、天暦2年(948年)、筑前国宗像郡田島より勧請し、宗像大明神と称しました。そして、1845年に「宗像神社」と改称しました。by『千葉県印旛郡誌』
◆常夜燈の列
事前調査で分かったこと。印旛沼周辺の宗像神社は、狛犬不在の神社が多く、このように常夜燈が並ぶことが多いとのことでした。当社では、狛犬が1対だけ存在しました。
◆筑紫・宗像大社の構成
宗像大社は、以下の三社の総称。祭神は総本社の社伝に拠ります。
①沖ノ島:沖津宮=田心姫
②筑前大島:中津宮=湍津姫姫
③宗像市田島:辺津宮=市杵島姫
*祭神は、①と③が入れ替わっている史書もあります。
◆「天孫奉助」の神勅
(日本書記「神代 上」第六段一書)
【原文】
汝三神、宜降居道中、奉助天孫而爲天孫所祭也。
【書き下し】
汝(いまし)三神(みはしらかみ)は、宜しく道の中に降居(あまくだり)まして、天孫を助け奉りて、天孫のために所(いつき)祭られよ。
by『天孫奉助の御神勅と興亜の宗廟 宗像神社』~国会デジタルコレクション
【現代語訳】
お前たち三柱の神は、(筑紫に)降臨して天孫を助けなさい。
そして、天孫によって祀られなさい。
◎宗像三神は、降臨にあたってアマテラスから直々に言葉を授かります。
ほかに、直接的な神勅を受けた神は、ニニギノミコトだけです。(=斎庭の神勅)
◆宮司=香取氏
2019年に「船尾 宗像神社」の宮司さんから伺った話。
→印旛の宗像神社では、香取姓の宮司が多いのです。
この件について、良い機会なので調べてみました。
香取氏が宮司を勤める神社は4社ありました。
①吉高地区=香取万寿巳
②山田地区=香取家良
③平賀地区=香取森重
④瀬戸地区=香取万寿巳
4社とも、旧・六合村の宗像神社でした。
by「千葉県神社名鑑」1987年
◆本殿
【境内点描】
◆突き立てられた弓と矢
当社では「奉射祭」すなわち、オビシャが行われています。その関連でしょうか。
◆狛犬
チワワなど小型犬のような眼球です。
【境内社】
◆本殿裏に3社
左:天満宮(菅原道眞命)1779年
中:稲荷神社(保食大神)1638年
右:水神社(水波之目神)1747年
◆境外に2社
拝殿の横から土手に上がる道がつけられています。
◆水神社
祭神:不明
おそらく、ミツハノメでしょう。
◆金刀比羅社
祭神:大国主命
◆金刀比羅社・神額
神額は「象頭山(ぞうずさん)」と揮毫されています。
これは、香川県・琴平山の別称。由来は、インドで釈迦が瞑想した山。
◆大蛇のように枝を伸ばす古木
以上で参拝と境内散策を終了。
境内をあとにして、「吉高大桜」に向かいました。
【吉高大櫻】
当社から、1kmほど歩きます。(満開写真はネットから拝借)
◆筆者撮影
5月末の撮影となると、こんな感じになります。
◆ご神木
老木の幹には注連縄。足元には石祠が祀られていました。
大桜は村人にとって、神であり誇りなのでしょう。
◆夜桜~ライトアップ
ネットから拝借。
【御朱印】
関係者不在のため、もらえませんでした。
千葉県神社庁HPによれば「御朱印あり」です。
(事前連絡が必要とのこと。)
【参拝ルート】
2021年 5月26日
START=09:31着 京成佐倉駅~850m~①岩名麻賀多神社~100m~コミュニティバス・宮前1丁目バス停 10:16発→(内郷ルート右回り)→飯野バス停 10:22着~160m~②飯野麻賀多神社~550m~なの花交通・白翆園バス停 11:10発→日本医大 行→印旛郵便局 11:20着~400m~③瀬戸宗像神社&昼食~徒歩~なの花交通・印旛郵便局バス停 12:51発→小林駅 行→ 一本松バス停 12:57着~1.2km~④吉高宗像神社~1km~(吉高の大桜) ~1.8km~印旛郵便局バス停 14:34発→京成佐倉駅 行→京成佐倉駅バス停 14:48着~徒歩~京成佐倉駅 14:51発→特急・上野 行=GOAL
【編集後記】
◆崇敬~吉高地区の人々
令和元年(2019年)から令和11年(2028年)まで11年分の「清掃当番」が決められていました。
◆印旛沼周辺の宗像神社(リンク)
①吉高 宗像神社=当記事
②船尾 宗像神社・参拝済
③瀬戸 宗像神社・参拝済
④山田 宗像神社・参拝予定→参拝済
⑤平賀 宗像神社・参拝予定→参拝済
⑥鎌苅 宗像神社・参拝予定→参拝済
⑦~⑬ 未定
◆癒し
神社境内の静謐さ&居心地良さもさることながら、途中の森林や田園の澄んだ空気。そして「吉高大桜」、と、癒しの連続でした。桜が満開の季節に再訪したいと思います。(了)