船尾 宗像神社
(ふなお むなかた)
《千葉における宗像社の密集地域》
北総台地には、手賀沼と印旛沼に挟まれた狭い地域に宗像神社が13社鎮座しています。
また、当社には鳥居がひとつもありません。
◇鎮座地:千葉県印西市船尾1293
◇最寄駅1:東葉高速線・八千代緑が丘駅
バス→船穂小学校バス停下車
◇最寄駅2:北総線・印西牧の原駅
バス→船尾車庫バス停下車
◇御祭神:市杵島姫命・多岐都姫命・多岐理姫命
◇社格等:村社
【表参道】
◆鳥居が無い
当社は、境内に鳥居がありません。聖と俗を分ける結界がないのは、きわめて異例なことです。「鳥居を建てると洪水になる」とか「印旛沼に大蛇がいて、鳥居を作ると壊される」などの言い伝えがあるようです。
◆宗像大社のこと
宗像系の神社は、全国で5番目に多いとされています。総本社は、福岡県宗像市・宗像大社。航海の安全を祈願する神社で、主として瀬戸内海沿岸や近畿地方の海沿い地域に鎮座します。ただし、千葉県の印旛沼周辺に、宗像神社が集まる地域があります。(ウイキを要約)
◆手水舎
水は、水道栓から供給されます。
水盤は、きれいに清掃されており、真新しい白色系の石が清潔感を喚起します。
【社殿】
◆宗像三女神
日本神話に起源を持つ神です。天照大神と素戔嗚尊の誓約(うけい)により生まれた、三柱の女神です。
◆宗像大社の創建
三女神は、アマテラスの神勅を奉じて、皇孫ニニギノミコトを見守り助けるため、玄界灘に浮かぶ筑紫宗像の島々に降りました。そして、この地を治めるようになったのが宗像大社の起源、とされています。
宗像大社とは、沖ノ島の沖津宮、筑前大島の中津宮、宗像市田島の辺津宮の総称です。
◆各宮の祭神
・沖津宮(おきつぐう):田心姫神
・中津宮(なかつぐう):湍津姫神
・辺津宮(へつぐう):市杵島姫神
~当社は、もちろん1社で三女神すべてをお祀りしています。
◆宮司さんからお聞きした話
印旛沼周辺の「宗像神社」宮司さんの姓名について。「なぜか《香取》姓が多い。」のだそうです。調べたところ、香取氏は4社ありました。by『千葉県神社名鑑』
◆本殿
◆当社の創建
周辺の宗像神社も含め、創建年代は不詳が多い状況です。具体的に記されている神社は、13社中で2社だけ。白井市清戸=876年。印西市瀬戸=985年。
by『千葉県神社名鑑』
【境内社】
拝殿の左右にある、境内社には意味がありました。
→記事を書きながら、この2社が祭神の「生みの親」を祀る神社だったことに気づきました。
◆アマテラスとスサノオの誓約(うけい)
アマテラスは、スサノオが所持する十拳剣(とつかの剣)を受け取って噛み砕き、息を吹き出しました。すると、そこから「宗像三女神」が誕生しました。
◆天照皇大神社
御祭神:天照皇大神
拝殿に向かって右。盛り土の上に鎮座しています。
◆八坂神社
御祭神:素戔嗚尊
拝殿に向かって左。盛り土の上に鎮座しています。
◆古峯神社
御祭神:日本武尊
日本武尊は、東征の折に東京湾で海神を侮辱したため、難破寸前まで追い込まれました。しかし、弟橘姫のおかげで難を逃れたことから、「海上安全」の神に祭り上げられました。
当社に、日本武尊が祀られているのは、「海上安全つながり」かもしれません。
【東参道】
東参道は、直進すると西参道につながります。
◆天満宮
御祭神:菅原道真公
社号が「天神社」であれば、菅公以外の祭神を考えることも可能です。しかし、「天満宮」では菅公以外に考えられません。よって、当社の神さまの中では、異質な存在です。
宗像神社・13社が鎮座する印旛沼周辺。1000年以上前、印旛沼は香取海ともつながっていたようです。となると、この地は香取・鹿島に向かう舟が出入りする場所でもあったことでしょう。航海の安全を祈る意味で「宗像大社」を勧請した、と考えることもできそうです。
【御朱印】
社紋は、北九州「宗像大社」と同じ。楢(なら)の葉です。
当社は、キホン、無人社のようです。この日は、宮司さんがいらっしゃる幸運に恵まれました。たまたま、「ご祈祷が入ったので」とのことでした。
【参拝ルート】
2019年11月21日
START=東葉高速鉄道・八千代緑が丘駅~30m~千葉レインボーバス・八千代緑が丘駅バス停→船尾車庫行き・20分→船穂小学校バス停~100m~①船尾 宗像神社 ~250m~(白山神社)~1km~千葉レインボーバス・船尾車庫バス停→印西牧の原駅行き・15分→印西牧の原駅南口バス停~100m~印西牧の原駅北口バス停→小林駅行き・8分→小林中学校バス停~900m~(八坂神社)~100m~②小林 鳥見神社~1.2km~JR成田線・小林駅→成田行き・17分→JR・成田駅~350m~京成成田駅→京成線・10分→大佐倉駅~300m~③大佐倉 麻賀多神社~京成線・大佐倉駅=GOAL
【附録】沖ノ島写真展
以下は、2年前に日本橋高島屋で開催された、藤原新也氏の『沖ノ島写真展』&『トーク・ライヴ』に参戦した際の写真です。
◆禊
玄界灘に浮かぶ小島、沖ノ島(=宗像大社・沖津宮)は神の島。島から出土した8万点もの遺構や遺物が国宝に指定されています。選ばれた神職しか入れない沖ノ島。そこに、写真家・藤原新也氏が許されて入島しました。島に入る前に禊しています。
◆磐座
展覧会では、数々の貴重な写真を見ることができました。また、トーク・ライヴでは、最前列となり、質疑応答に参加させてもらったことを思い出しました。(了)