○学ぼうという気持ち 学習意欲の低下について
・世論調査では、低下している58%
・テレビ ゲームやパソコン メールをしている時間が多い
・ケータイを親が子供に持たせるのは、緊急の連絡がとれなくなるという思いがある。
ケータイ使用については、子供の自主性を信じたい
※ここでは、ある中学生の取材がビデオで流れました。しょっちゅうケータイが鳴り、実に一日のメール数は200を越えるということです。本人も多いと思っていても、友達にそのメールを返さなければという思いがありやめられないようでした。「親が子供の自主性に任せたい」旨の発言をしていましたが、これは一種の依存や中毒であることを認識させることが先決と思われます。ケータイを取り上げるかどうかといった極論が番組では展開されましたが、これも2元論でしたね。要はけじめをつけて使える状況ならば与え、そうでない場合は使用制限するというのが賢い選択です。それはアルコールなどの扱いと同様に考えていただければわかると思います。分別のついていない人に無条件で与えればどうゆう結果を招くか・・・ 大人であっても分別のない使用をするようになったらそれは無秩序になり、本人もまわりも傷つくということですね。
○世論調査 強制的に学ばせるべきか 賛成64%(ケータイによる調査)
※ここでも感じたのは小学校の低学年と中高生を一緒に議論した混乱ぶりが見られました。
九九や地理の県名などは強制で覚えましたが、子供にとってはゲーム感覚などで上手に導くことは可能ですし、それができたということが勉強好きへのきっかけになったり自己肯定感を育むチャンスともなるはずです。そして、高学年になってきたら、小グループでの学びあいなどで、学習の進んだ生徒がそうでない生徒に教えてあげるなどの学び合いをうまく授業にのせてあげることが大切なのではないでしょうか。日本の教師の場合、このへんのスキルがありませんから、研修などで教師の質を高める必要があります。
○学校の問題
・学校の先生の質 あたりとはずれが多すぎる。(スタジオ主婦)
・モチベーションがあがらない先生がいる。校長のマネージメントは
どうなっているのか(ローソン社長)
・教師の質を向上させないと学力向上になっていない。(佐藤氏)
・学習意欲は中南米、東南アジア。先進国は共通して低い傾向(佐藤氏)
※フィンランドのように人口が少ない国(兵庫県ほどの人口しかいない)では、教師の質を高めるのにそれほど労はいらなかったと考えられます。大学などの教職課程でもきっちりしたフィードバックをかけていることが想像されます。日本の場合、教育に必要な教師の絶対数が多いため、この質の担保をどうしていくかはなかなか悩ましいところです。教材やすぐれた教育実践をしている先生の授業風景などを共有して学べるシステムや研修制度がまずは望まれるところですね。
○どうやったら学力があがるのか?
・夜スペシャルは進学補習で大手進学塾の先生が行う(和田中学)
補習は有料。一月2万円。レベルの高い中学生。
・土曜寺子屋も実施。こちらは通常授業の弱点補習。大学生ボランティアが入る。
地域本部が主体。保護者やボランティアが行っている。
※さすがにリクルート出身である藤原氏の実践であると思いました。人脈を駆使しながら実践していくところは勉強になります。これだけ世論を見方につけ、ロジックも詰め(地域主体という形をつくり法的問題をクリアしている)、教育委員会を動かせる校長というのも全国でそんなにいないでしょうね。きっと藤原氏本人も毎日ワクワクして新しいことに挑戦されていることだと思いました。地域主体での運営はひとつの理想型モデルをつくっているかと思います。私塾との連携についてもおそらく最終形ではなくテスト段階なんだと思います。本来は学校スタッフの量・質ともに拡充されれば学校でカバーできると藤原氏も思っているのかもしれません。
ただ、このモデルはなかなか全国に普及するのは難しく、藤原校長ならではという感が正直あります。ここまでのリーダーシップや戦略、マネジメント能力を全国の校長につけてもらうには、相当の管理職研修が必要となるはずですので、時間がかかりそうです。周辺校が藤原方式を真似していかないのもおそれくそこに原因があります。
・もっと教育は自由化してクロスオーバーしてもいい。(榊原氏)
※榊原氏の考えはどうやらワタミ社長と同じく、どんどん競争原理を教育に導入しようということのようです。しかし、イギリスなどではこの教育政策が立ちゆかなくなっている現状なども知っておいてほしかったなぁと思いました。学力世界一のフィンランドは、やはり底上げで学力を伸ばし増しましたし、クロスカリキュラムなどの導入で生徒のプレゼン力、問題解決力を図っています。では、「国際社会に通用するエリート教育はどうするのだ?!」という反論が聞こえそうですが、例えばディベート力などは専用の私塾をそれこそ作り、限られた生徒がそこでダブルスクールすればいいと考えます。これは語学学校の展開などにモデルケースを見いだせると考えます。
○中高一貫 習熟度別授業問題、学力の二極化の問題
公立学校 上位者と下位者のどちらを大切にすべきか(番組アンケート)
上位に賛成:世界での競争に勝ち抜かなくてはならないから。など
下位に賛成:・エリート教育は失敗してきている。
・官僚が結局何をしてきているか。
・学問への愛情やひらめきが必要
・競争主義 テストを沢山やる国の学力が落ちている。
・平等を貫いている国が高い学力。
・ドイツのようにエリート教育をしたところは落ちている。
アンケート結果⇒ 下位を大切にすべき64%
・和田中学の広がりが横展開しないのはどうしてなのか?(ローソン社長)
・教育予算と人をふやすべき(榊原氏)
※ローソン社長が、なぜ和田中学の取り組みが成功していないかと問うていましたが、会社と同じく、どの会社の社長もある会社の成功例を必ずしも真似しない(プライド?)、あるいは真似できないのと一緒ということであり、それは校長でも同様なのだというのが私の回答です。エリート教育はある分野で必要というのは私も思います。社会の仕組みは複雑化していますし、最先端技術はどんどん先にいっていますから、そういう社会を支えていくリーダーやスペシャリストは必要となるでしょう。しかし、それは公教育というものにふさわしいとは思えず、やはりそうしたスペシャリスト養成の専用大学なり私的機関が担い、国がある程度そういった学生を費用面で補助する仕組みがベストかと思います。榊原氏の議論はちょっと乱暴で、なんでもかんでも自由化、競争原理導入、保護者・生徒に選択権を与えたところで、大変な混乱が起きてくることが予想されますね。今の日本でいうと、大学乱立・専門学校乱立がそれに近いです。情報がありすぎて、保護者も生徒も選べるだけの能力を持たないし、物理的にも時間的にも調査が行き届かない。従って評判だけで判断してしまう面なども多い現状です。
その3に 続きます。