北インドは突然、強めの日差しが降り注ぎ始める季節。唐突に冬が終わり、今日はヒーターを片付けた。
でも春の穏やかさを楽しむ時間はあまりない。紫外線と埃、乾燥との戦い開始。
。。あれ、いつも戦ってる?笑
春のソワソワ感もどっと押し寄せるのか、大家さんの孫(10才)のヤンチャぶりがエスカレート。私もイライラマックスの所に、何故かウチのベランダから向かいの家の屋上へ、自転車の古タイヤを力一杯放り投げていたところを、捕獲。
「何ヤッテルノ。危ナイよ」(変な片言)
「何やっても良いでしょ。ここ、俺ん家だもん!」
「は?ナニ?ここワタシの家ヨ」
「お姉ちゃんの場所は部屋の中だけだよ」
「ナニ言っタ?掃除、アナタスル?Rentアナタ払う?Fight スルカ?」
「ディス イズ マイハウス。俺ん家だ!」
「でも危ない事ダメ!アナタの家ハ、ワタシの家ヨ!」
逃げ去ろうとするのを、追いかけて屋上まで駆けっこ。わー!と叫びながら、若干嬉しそうなナマン君。そう言えば、越してきた頃はよく一緒に鬼ごっこしてたっけ。
本当、どこからどこまでがウチなのか、いつから学校始まるのか、親はどこまで放ったらかしなのか、境界線が溶けてる国なので良く分からない。笑
それからは、しばらく恐れをなして寄り付かなくなった。それ相応のエネルギーで対応しておかないと、ここの子は試し行動をやめない。等倍返しぐらいで丁度良い。(今はケロっとして一緒にバドミントンしてる)
この辺の大人たちも、公共の場で目も当てられないマナーを見せる。先々週は動物園に行ったら激混みで、30分待ちのチケットの列に並んだ。並んでいる1人が5、6人分のチケットを買うので、よく突然押されて割り込みされる(家族が入って来たり、マジで横入りの人)。
女性が少ない時に女性用の列にシレっと並ぶオジさんも。面倒だけど、その都度周りを巻き込んで相手に注意すると、「え?気がつかなかった」と大体は引き下がるから、本当に悪気はないのかもしれない。
さて動物園では、動物よりも東アジア人が珍しいのか、親戚一同で来て気の大きくなっている大人たちにガン見され、子供たちは口々に「チャイニーズ」と言い去って行く。悪気がなくても嫌だし、これだけは全然慣れない。泣
つい気分を害し、せっかくのお出かけも楽しむどころではない。
こういうものだと冷静に受け容れて、自分の時間をルンルン過ごすには一体どんな修行が必要なんだろう?笑
先日は、山の方までツーリングに出かけた。山をいくつも越えた先の湖の畔のレストランに到着し、さぁ食事を、、と思ったら、これまた劇混み!最近、行楽地がコロナ前の5倍〜の人出なんだけど、お出かけブームが到来か?
しかもこのレストラン、前の人たちが席を立つ瞬間に誰かが滑り込むと言う、椅子取りゲーム方式。泣
夫と2人ベンチに座って待機すること10分、ようやく目の前の席が空いたので席に着いた。するとツカツカと大柄なマダムが現れ、片付けの終わらぬテーブルに大きなバッグをドン!
驚いて、「Excuse me... Is this your seat?」と聞いて後から後悔。態度のデカさに、食べ終わらず戻って来た人と勘違いしてしまった。テーブルに荷を置いた手を離さずマダム、私の質問には答えず辺りを見回して家族の居場所を確認。
そして先に座っている私の目を見ることもなく、「We are 4 people!」と空に言い放った。
か、数で勝負なの?笑
面倒なのでシブシブ立ち上がると、ヒョロっと気の弱そうな旦那さん、小学生の娘さん、白黒のマルチーズ犬が合流したのを見てジワジワ。。。4 people。。笑
悔し紛れに後で夫に「インドは中流家庭でもマナーがない。順番も守らない。自分さえ良ければいいの?大人がワガママすぎて気持ち悪いわ」と言うと、「そうだよね」と何の反論もない。つくづく、夫は戦わない人だ。。って、私が損な役回りを買って出てる?
ジャッジして
怒りに替えてしまい、
冷静に話すのを諦め
席を譲ったのは、
私。笑
相手を裁いて立腹したために、向き合ってきちんと主張ができなかった悔しさ。インドで生きるスキルが未熟すぎ。
相手にマナーがないことと、そこに感情的になり冷静に行動できず自滅することは、別物。
今の私には難しすぎるけど、少しずつ学んでいること。
しかし、夫という人は何かと面白い。今、尊厳を守るとこじゃない?って時には主張しないくせに、物を買う時は値切れるだけ値切り倒す。見栄やプライド、尊厳などはどうでも良いのだろう。
夫は列の横入りなどはせず、直接カウンターに行って口を効いてもらう方式を採用。正当な理由を言うので良いのだとか。
旅先で初めて会った時も、運転手と仲良しになったとかで、絶対取れなそうなバスのチケットを取ってくれて驚いた。何かと都合をつけてくれる友だちが沢山いる。
戦ったり、クレームをつけたり、口八丁言ったり(多い)、横柄な態度を取ったり(よくいる)は絶対にしない。物を値切る時は、冷静に根気よくどこまでも言い負かす。リアル持ってけドロボー君。
戦わないのに、得をする。
感情的でポンコツの私とは正反対。
でも、この前の大家さんの孫や動物園でのガン見ストレスなど、日々の戦いのことを夫に話すと、「。。。君はまた文句を言ってるの?」と、理解してくれない。
私は「文句じゃなくて説明してるんだよ。足りない所を改善しようと思うと、ついつい戦っちゃうんだよね。あなたはインド人だから、マナーや教育がこの程度でもフツーなんでしょうけど」と、嫌味の1つも言いたくなる。
そして再度聞いてみたくなる。
「あなたにとって、幸せって何?」って。
「うーん。僕は君といればいつも幸せ。今が幸せ。」と、
夫は昔から同じことしか言わない。妻がジロジロ見られてチャイニーズ言われても知らん顔かよ。怒
「じゃあ私の幸せはどうでも良いの?私は今よりもっと幸せになりたい。そのために、今起きていることをあなたに説明してるの。文句ではありません。
あなたが幸せなのはいいけど、私の話もちゃんと聞いてよね。もっと興味を持ってよ。私の幸せが何なのか、あなたは興味がないの?」と。
オレの話を聞けー!と、言ってやった。笑。それが先々週くらい。
先週。晩御飯の盛り付けに忙しく、目の前でただニコニコ座っている夫に(手が空いてるなら手伝いませんか)と思っていたある晩、唐突に夫、
「ところで、君の好きなハリウッド俳優はトム・クルーズだったよね?」と。
。。。。は?
忙しいのに何よと思いながら、一応、
「トム・クルーズは有名だけどね。あえて言うならマシュー・マコノヒーかも(本当はジョージ・クルーニーなのは秘密)」と答えてみる。
夫「おお、そうなんだ!じゃあボリウッド俳優は?」
私「アーリア・バハーット!」
夫「女優じゃなくて、俳優だよ?」
私「えー?いないわ(インド男子嫌い発病中)」
夫「当ててみようか?シャールーク・カーン!」
私「(古いな)いや、むしろイルファン・カーンかな(死んじゃったけど泣)」
夫「ええぇ!君もなの?僕もイルファンが一番好きなんだよ!」
私「あははー!だよねー(さっさとご飯食べませんかー)」
。。。という、不自然な会話をしたことを思い出した。もしかしたら夫、「私に興味を持って」「会話をする」努力をしてたのか?笑
私の言うことを「ただの文句」と思わず、冷静に聞いて望みを叶えてくれようとしてるみたい。
また聞いてないだろうなーと思いながら言った愚痴も聞いてくれたみたいで、最近は朝お皿洗いをしてくれたり、先に起きてコーヒーを淹れ、バドミントンに誘ってくれる。
相手のことをジャッジしたり、感情をこじらせてしまうと、その先の未来の扉を閉じてしまう気がする。
夫婦と言っても性格も全然違うのに、似たようなテーマを同じような時期に、お互いを通して学んでるんだなぁと思う。
戦わなくても、無理して嫌な事を頑張らなくても、お互いがそれぞれ幸せになれる、理想のシンクロニシティを思い描いて、
私も、会話してみたくなるような雰囲気をかもし出してみたい(そこだよ笑)。