目の前に広がるこの世界は、
ただ存在しているだけではなく
自分が選んで築いた世界だなんて
受け入れられない気分の時は、
普通に機能しているつもりでも
不安や恐れや、嫌な妄想がBGMで。
リスク回避型行動は、抜かりなく。
でも一体いつ心から笑ったろう?
自然と踊りたくなる日もなくなった。

そんな逃げ腰の私を、
この世界は放っておいてはくれず
気づきなさい。ちゃんと見なさいよ。と、
感情の限界を越える出来事や
常識を覆すようなありさまが、
度々、スキを突いて侵入する。
それがサインだと分かるけど、
それでも怖いのだ。
見たいものしか見ず
話したい人としか話さず
行きたい所にしか行かない。
私を守るはずの境界線、
外と内を分けていた城壁が
内側に向かって崩れ始めたのは
時空の緩みに座ったからかな。
目の前の世界を拒むことは
自分自身を拒むことで、
どんなに怖くても
どんなに理解出来なくても、
しまっていた真心を持ってきて
開いて行かなくてはならなくて
開かざるを得ない出来事に
こじ開けられる前に
平和に、誰も傷つけず、争わず
それは可能なはずなのだけど、
どの 方法よりも私には難しいよ。
平和な世界に護られていたから
変化球と魔球しかない世界では、
心の平安の保ち方なんて知らない。
冷たく閉じて無視するんじゃなくて
温かで生きた気を巡らせながら
境界線を行き来することが出来たら、
選んだ世界で自由に生きられるのか。

私が選んだ目の前の世界だって
嫌われたり無視されたい筈もなく、
それなりの配慮を求めてくる。
特に、子供はメッセンジャー。
訳もなくいたずらしたり
ケンカ売って来たり。笑
(住みたくて住んでるんじゃない)
なんて、
少しでも思う度に必ずトラブル。
不便や難点も多い家、町だからこそ
隅々への配慮が修行級に必要なのに、
「逆」の考え方を採用してきた。
(他に良い物件がなかった)
(他人が決めてくれた)と、
人のせいにするのはその場しのぎ。
現状、1つ1つ逃げ場をなくす経験が
ここが私の居場所だという事実を
1つ1つ見せてくれてきた。
ギリギリ保った境界線の中で
戦うように守ってきた独りきりの自分。
どんなに人のせいにして
どんなにこの場所を嫌って
境界線でここの人を拒絶しても、
向こうから一線を越えられ
必死に守る堤防は決壊し
怒ったり憤ったり
涙ぐんだり、結局笑えたり。
私が正しいと思っていた事は間違いで
相手が良いと思うことは悪に見えて、
ドラえもんの漫画の話みたいに
アベコベの世界で
境界線なんて引けるワケがないし、
もう、引かなくていい
不毛な闘いに疲れたし。笑
今まで「キチンと」して来た努力が
ドロンドロンに溶けて行くの?
という恐怖なのか
まだ世間話さえ交わせない
色黒な肌の奥に光る瞳の人たちの
心に触れるリスクを取る理由が
腑に落とせずに
いい歳して、いつも夫の後ろに隠れて
値段交渉も世間話も冗談も
オマケも受け取って来なかった。
それでも生きては来れたけど
魂は、息絶え絶えなのかもしれない。
日本に逃げ帰る前提ではなくて
この場所とこの町の人しか
私の周りにはいないという事実に
はっきりと目を覚まして、
私の世界に恐れずひるまず、
魂を震わせて生きてみたい
もっともっと生きてみたい。