田舎の名もないヒーローのこと | 北インド☆ゆるヨガライフ

北インド☆ゆるヨガライフ

ヒマラヤで出会った夫と、北インドローカル暮らし8年目。
お見合いが主流のインドで年の差婚、3度の流産、文化や習慣の違いに奮闘中。
スラム支援のNGOで働いたり、子宮腺筋症と共存しながらゆるーくヨガを続けたり。
40代インド生活の気づきと学びです。

先週の、村での作業から帰る朝のこと。
 
 

4時半起きで慌てて村のタクシーに乗り込んだ。数えるほどしかいない顔なじみのドライバーさんに、夫はいつも

 

「やぁ!マハラージ(王様)、元気?」と挨拶をする。

 

マハラージってw。。それが「気さく」な挨拶ってこと?

 

6時発のチャンディガール行きのバスは、遠目からもギュウギュウ詰めなのが分かる。月曜の朝なので、東京の通勤ラッシュばりのすし詰め&立ち乗りに。曲がりくねった急な山道を猛スピードで下ること2時間、私の限界が来た。途中のウナのターミナルで降りる。

 

またギュウギュウのバスに駆け込むか、ヒッチハイクするか。。。?

 

戦々恐々としていると、偶然、夫の幼馴染みがバスを待っているのを発見。同じくチャンディガールに戻るところだと言う。

 

ペラペラと楽しそうに立ち話しする2人を尻目に、私は挨拶どころじゃない。とにかく通る車両を片っ端からチェック。どのバスも立ち乗りの人でいっぱい!

 

すると、目の前を赤いシェビーが通り過ぎた。ドライバーさん、道路脇の人ごみを見ながらゆっくり進んでる。。!

 

タクシーだ!!!

 

咄嗟に思い、夫の背中をグイっと押した。笑

 

交通の便の悪いこの辺りでは、自家用車でも道行く人を拾ってくれる事がたまーにある。列の前にいた友人が車を呼び止めてくれ、夫が「3人分って言って!」と叫んだ。そして駆け寄る人混みをかき分けて、なんとか運良く3人とも乗ることが出来た。

 

はぁ〜。実家への往復は、毎度この緊張感。。

 

でも、そこからは快適だった。車は最近キレイになった高速道路をグングン飛ばし、私は朝の日差しに輝くパンジャーブ州の緑の風景を見ながらウトウト。夫と友人はずっと喋り続けてる。

 

チャンディガールの入り口にさしかかり、友人はそこで降りるらしく、ドライバーにバス代分のお金を差し出した。すると、ドライバーのおじさん、

 

 

「金?俺にはそんなものは要らないよ。

 

しまっときな」キラリン。

 

とな!!

 

困惑しながら友人は何度もお金を渡そうとしたけど、おじさんは譲らない。結局お礼を言って友人は下車。その後、おじさんと夫は色々と話して盛り上がっている。

 

言葉がいまいち理解出来なかったので、何が起こったのかよく分からなかった私。後で夫におじさんが何て言ったのかを聞くと「

 

「お金をもらわなくても、十分給料をもらっている」と。

 

そして、

 

「お金でモノは帰るけど、人徳は買えないからね」

 

 

って。。。

 

。。。。。

 

 

アナタは「アクシェイ・クマール」ですかーー??笑

(雰囲気ちょっと似てたw)

 

私の中の「余裕のある大人のインド人」の代名詞。人道的な映画「Toilet」や「Padman」は大ヒットしました。

 

セールスマンの夫、こういう時にもせっせと名刺交換。おじさんは医療検査ラボの地域マネージャーさんだった。

 

夫もこういう人に会ったのは初めてだって。

 

慈善団体のお金持ちにはこういう方は多いけど、こんなド田舎の普通の人(割と)が、寛大な心持ちでいられるのはスゴイ事だと思う(先月乗った車はバッチリお金取ってた)。立派な心がけです。

 

わざわざ遠回りして私たちのバイクを駐めてあるバスターミナルの近くまで行ってくれ、お礼を言う私たちに笑顔で「コイニ、コイニ!」(どういたしまして!)と爽やかに送り出してくれたおじさん。

 

もうどう見ても、ボリウットスターにしか見えない笑。

 

 

後で家に着いてから、「あなただったら、どうする?」と夫に聞いてみた。すると、

 

「僕はいつも人のために良い行いをしてるよ」と。

 

「車があったら、僕も同じ事をするなぁ」って。

 

へぇーーーー。

 

 

私だったら。。。自分だけで帰ってるな。。汗

 

 

気持ちはとっても優しくて、誠実で働き者の多い北インド。多くの人が不便な暮らしをものともせず、しかもあまり物を欲しがらない。必要な分だけ得たら、周りとシェアしようというのは、日本や先進国とは桁違いの感覚。

 

 

 

車があったら、サラリーが十分だったら、もっとアレがあったら。。。

 

なんて言っている間に、心が曇ってしまうのかもね。私もそうだったかも。

 

 

まずは内側から「心の余裕」を作ろう。

 

必要な分を知り

もっともっとと、欲を張らず

焦らず困らずにいられればいいなぁ。

 

。。。修行です。笑

 

 

ウナのアクシェイおじさん然り。

北インドの田舎には、無名のヒーローがいる。