4時半起きで慌てて村のタクシーに乗り込んだ。数えるほどしかいない顔なじみのドライバーさんに、夫はいつも
「やぁ!マハラージ(王様)、元気?」と挨拶をする。
マハラージってw。。それが「気さく」な挨拶ってこと?
6時発のチャンディガール行きのバスは、遠目からもギュウギュウ詰めなのが分かる。月曜の朝なので、東京の通勤ラッシュばりのすし詰め&立ち乗りに。曲がりくねった急な山道を猛スピードで下ること2時間、私の限界が来た。途中のウナのターミナルで降りる。
またギュウギュウのバスに駆け込むか、ヒッチハイクするか。。。?
戦々恐々としていると、偶然、夫の幼馴染みがバスを待っているのを発見。同じくチャンディガールに戻るところだと言う。
ペラペラと楽しそうに立ち話しする2人を尻目に、私は挨拶どころじゃない。とにかく通る車両を片っ端からチェック。どのバスも立ち乗りの人でいっぱい!
すると、目の前を赤いシェビーが通り過ぎた。ドライバーさん、道路脇の人ごみを見ながらゆっくり進んでる。。!
タクシーだ!!!
咄嗟に思い、夫の背中をグイっと押した。笑
交通の便の悪いこの辺りでは、自家用車でも道行く人を拾ってくれる事がたまーにある。列の前にいた友人が車を呼び止めてくれ、夫が「3人分って言って!」と叫んだ。そして駆け寄る人混みをかき分けて、なんとか運良く3人とも乗ることが出来た。
はぁ〜。実家への往復は、毎度この緊張感。。
でも、そこからは快適だった。車は最近キレイになった高速道路をグングン飛ばし、私は朝の日差しに輝くパンジャーブ州の緑の風景を見ながらウトウト。夫と友人はずっと喋り続けてる。
チャンディガールの入り口にさしかかり、友人はそこで降りるらしく、ドライバーにバス代分のお金を差し出した。すると、ドライバーのおじさん、
「金?俺にはそんなものは要らないよ。
しまっときな」キラリン。
とな!!
困惑しながら友人は何度もお金を渡そうとしたけど、おじさんは譲らない。結局お礼を言って友人は下車。その後、おじさんと夫は色々と話して盛り上がっている。
言葉がいまいち理解出来なかったので、何が起こったのかよく分からなかった私。後で夫におじさんが何て言ったのかを聞くと「
「お金をもらわなくても、十分給料をもらっている」と。
そして、
「お金でモノは帰るけど、人徳は買えないからね」
って。。。
。。。。。
アナタは「アクシェイ・クマール」ですかーー??笑
(雰囲気ちょっと似てたw)
私の中の「余裕のある大人のインド人」の代名詞。人道的な映画「Toilet」や「Padman」は大ヒットしました。
セールスマンの夫、こういう時にもせっせと名刺交換。おじさんは医療検査ラボの地域マネージャーさんだった。
夫もこういう人に会ったのは初めてだって。
慈善団体のお金持ちにはこういう方は多いけど、こんなド田舎の普通の人(割と)が、寛大な心持ちでいられるのはスゴイ事だと思う(先月乗った車はバッチリお金取ってた)。立派な心がけです。
わざわざ遠回りして私たちのバイクを駐めてあるバスターミナルの近くまで行ってくれ、お礼を言う私たちに笑顔で「コイニ、コイニ!」(どういたしまして!)と爽やかに送り出してくれたおじさん。
もうどう見ても、ボリウットスターにしか見えない笑。
後で家に着いてから、「あなただったら、どうする?」と夫に聞いてみた。すると、
「僕はいつも人のために良い行いをしてるよ」と。
「車があったら、僕も同じ事をするなぁ」って。
へぇーーーー。
私だったら。。。自分だけで帰ってるな。。汗
気持ちはとっても優しくて、誠実で働き者の多い北インド。多くの人が不便な暮らしをものともせず、しかもあまり物を欲しがらない。必要な分だけ得たら、周りとシェアしようというのは、日本や先進国とは桁違いの感覚。
車があったら、サラリーが十分だったら、もっとアレがあったら。。。
なんて言っている間に、心が曇ってしまうのかもね。私もそうだったかも。
まずは内側から「心の余裕」を作ろう。
必要な分を知り
もっともっとと、欲を張らず
焦らず困らずにいられればいいなぁ。
。。。修行です。笑
ウナのアクシェイおじさん然り。
北インドの田舎には、無名のヒーローがいる。