週末から40℃越え予報のチャンディガール。私は来月からの3ヶ月間の一時帰国の準備を始めた。うち2ヶ月はアメリカの学生の夏季合宿引率のお仕事。昨日はスカイプ会議後すぐに停電し、危険を感じるほど室温が上がる中、新しい冷蔵庫で作ったアイスパックを首に当てて過ごした。備えあれば憂いなし。
こんな不便な環境に奮闘しながら、心は既にニッポン。チャンディガールに住む日本人のKちゃんと久しぶりに合流して、お土産ショッピングでウキウキ。可愛らしくてセンス抜群のKちゃんチョイスのお店を紹介してもらって、Kちゃん宅でゆっくりお泊まり。インド疲れが浄化されて行った笑。
お友だちのKちゃん、インド生活に役立つ情報をいっぱい配信している人気ブロガーさん。インド旅行から暮らしのヒント、最新のインド情報は要チェックですよー。
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さて。
私が何にそんなに疲れていたかと言うと、ここ最近の村通い。2月のお嫁入り以来月2でヒマーチャル州の村に通っている私たち夫婦。もう、ヘロヘロっす。先週末も親戚が集まる「ファンクション」(インド英語では会合や儀式を全部まるっとこう呼ぶ)へ。今後のこともあるので、今日は北インドの村の現状と、私なりの対策を覚え書きしてみたい。
対策1:ハッキリお断りする(微笑付き)
夫は大家族で親戚の行事も多い。毎月毎月、誕生会に婚約式、退官式によく分からないプージャまで。押しの強い義母は、長男の夫に毎回来るよう要求する。半分は断って、結果月2になってた。しかし実際問題、往復12時間のローカルバスの旅は色々とキツい。1月にはSUVとの衝突事故も経験してしまったし。常に鉄の意志を持って決意を新たにしていないと、何が起こるか分からない。ここに改めて誓おうと思う。これから一生、笑顔で断るスキルを磨き続けることを。
対策2:お・も・い・や・り(先手を打つ)
どんなに事情を説明しても聞く耳を持たない相手には、誰だろうと遠慮する必要はない。だからと言って先方と同じく、わざと相手の気分を害するのはいただけない。嫁入りのバタバタで手薄になってたけど、義母と関わり始めた去年からの私たちの戦法は一貫して「先手必勝法」。不安になると言い出して聞かななくなる相手には、先にこちらからコミュニケーションを取る。物理的には会えなくても、気にかけていない訳ではないし。電話でこまめに様子を聞いて、不都合があれば近くの従兄弟たちに応援要請をお願いしてる。せっかくなら親戚が多い強みを生かそう。
対策3:やる時はやる
先週末のファンクションには総勢150人が集まった。でも夫の姉3人と弟は来れず、ウチからは私たち夫婦と義母のみが参加。えぇ〜絶対手が足りないと覚悟したけど、結果オーライ!こんな時こそ、日本で好き放題生きてきた経験が活きる笑。(カフェの飲み放パーティーや幼稚園でのお誕生会を切り盛りし、中高の行事も数年経験してるので大丈夫です)参加者が多くて人手が足りない「要所」を押さえて参加すれば、色んな人に顔を覚えてもらえる。中には必ず好意的に見てくれる人が現れるものだ。
対策4:郷にしたがう
あくまで自分が楽しめるかどうか、確認しながら慣習に慣れ親しんでみようと思う。ヒマーチャルの村の慣習は厳格で多岐に渡る。衣・食・住、全てにおいて日本とは違うのだ。いちいち疑問を持ったり反発すると一気に消耗してしまう。私はインド人にはなれないけれど、「文化交流」として客観的に伝統を学ぶのは楽しいこと。日本にも各地の地域性があり、昔から「郷に入れば郷に従う」という知恵が根付いて来た。柔軟性はお家芸。ちょっと境界線を意識するだけで、インド文化の素敵な所だけいいトコ取りで楽しめると思う。
対策5:自分を信じて、持ちつ持たれつ
こんな田舎に外国人が嫁ぐと、一気に噂が広まって、どこを歩いても注目を集める。不毛な好奇心や期待を集めてしまうことも事実。それもこれも無謀にこの地にやって来た私の責任。逃げずに受け入れればいいだけと気づいた。考え方・やり方の違いに圧倒されても、私が弱気でいては元も子もないし。だから自分の決断を信じて、明るい未来を作ろうと思う。こんな私でも、自分のルーツを思うと百人力。大きな視野で壁なく社会に尽くした先人や、どんな時も愛してくれた家族、国境なく笑いあえた友人たち、値切り合戦に笑って負けてくれる北インドの人たち。信じられるものはどこにでもある。私が自分のつまらない枠を越えて、それを委ねられるかどうか。
対策6:七代先を夢想する
ネイティブアメリカンの思想に、7代先を思って決断するというものがある。日本も昔は、必要以上に今の利益を独占するような刹那的な生き方はしてなかった。インドの村の細々とした生活を目の当たりにして、当面の不便さに苦労は絶えないけれど、農薬を使わず食べる分には困らない半自給自足的な暮らし、100年前と変わらないライフスタイルには驚きと共に感銘を受ける。
畑仕事や水汲み、水牛の世話などの肉体労働はタイヘンだし、親戚間の役割も多いけど、村の暮らしは環境への犠牲が圧倒的に少ない。でも慣習の厳しい規律でかろうじて守られてきた汚れない大地も、今は風前の灯火。規律の「本当の意味」は忘れ去られ、若い人たちはファストファッション・ファーストフードに逃避、男性は収支を合わせるため外国へ出稼ぎ。大切な思いは失われるばかり。
楽でお洒落で簡単なものの魔力。経済活動は都市部に集中し、気高いルーツを忘れた労働者が都会のスラムに溢れてる。先進国の流行は羨望と嫉妬の的でもある。様々な格差や貧困から連鎖する犯罪も、犯罪者を断罪する以上の議論はなされない。社会変化のひずみである深い深いブラックホールは開いたままだ。これでは日々翻弄されるばかりで、七代先を思うどころではない。
でもねー。私はどこにいて何をしていても、人間らしい「思いやり」を諦めたくない。何を達成しても何を得ても、思いやりがなければつまらなく、幸せじゃなくなっちゃうから。日本では普通なことが普通じゃなく、簡単なことは簡単じゃないインド。
七代先はどんな世界だろう?すでにグローバル化は止まらないし、どんな悲惨なニュースも瞬時に目にして心を射抜かれてしまう昨今。心を痛めない日はない。知らないフリは出来なくなるし、出来ないフリも限界だろう。
七代先でいい。心も身体も魂も幸せに暮らせる未来を夢想しながら、少しずつでも忘れないでいることしか、私にはない気がしてる。