先日、夫が本当に何気なく言った。
夫「明日、姉の家で何かプログラムがあるって。」
。。。明日。。。?何のプログラム?
夫「僕らの結婚式の日取りが決まったでしょ?」
。。。うん。。。?
「そのための、プログラムだよ。」
。。。それって。。。、
婚約式のことですかーー??
「そうだよ。」
明日って!聞いてないから!笑
日本で言うと結納のようなものだろうか?そんな大事なことも前日にお知らせが来る。そして婚約だろうがお祭りだろうが、何でもかんでも「プログラム」になるのは何故?
着る物の準備も間に合わないー。でも先方からも何も言われていないので、去年の宗教婚の時に着たワンピースで行くことにした。市場でたった250ルピー、150ルピーでお直ししたもの。あの頃はまだ、愛があれば何もいらなかったっけ(遠い目)。
ちなみに通常インドでも「婚約式」は結婚前に行うもの。でも私たちの場合は一緒に住むために1年ちょっと前には宗教婚を済ませ、書類上の婚姻手続きも先日全て終わったところ。何より通常とは違う私たちの国際結婚を、親戚に理解してもらうために時間が必要で、ようやく今、家族の前で「婚約式」ができる運びになった。
で、婚約式って、何するの?
夫「親戚みんなで集まって、歌を歌うんだよ。」
。。。歌。。。?
どんな歌?プージャ(祈祷)のアルティみたいの?
夫「ううん、結婚の歌。その後皆でご飯食べるよ。」
突然言われて、何するかも分からないんじゃ、
私は何をしに行けばいいんですかーー?
夫「ご飯食べたら、すぐ帰ればいいから。」
(そんなもの?。。。でも、行かなきゃ。
お義母さんたちも準備してくれてるだろうし。)
明くる日。午後6時に夫が向かえに来たけど、何か(ストレス)でお腹を壊した私は、準備が出来てない。ウチを出たのは6時半過ぎ。それから郊外の義姉の家までバイクで1時間。開発途中で猛烈な交通量の国道を通るので、排気とホコリとモトクロスレースか?って凹凸の激しい道に、毎回フラフラになる。
分譲途中で畑の中に家が点在するだけの義姉の家の周辺は、北海道の郊外の町のよう。日の暮れた畑に蛍の光が点滅して出迎えてくれる。すれ違うのは帰宅する自転車やバイクだけ。1区画ほど手前の小さな商店に、いとこのカシーシ10才と、シャクサム5才が迎えに来てたので、拾って5人乗り!で家まで向かう。
義姉の家がやけに暗いなぁと思いながら到着。すると薄暗い門の中にぞろぞろ10人位の人影が。
何だろう?と思いながら、人影に「ナマステー。」と挨拶。まぁまぁ座ってと促されて座ると、義姉1、2、3の旦那さんたち、ちびっ子たちが大集合していた。どうやら目下停電中とのこと。家の中は暑いから玄関先のテラスで涼んでるらしい。
「プログラム」の演出かと思ったらw
家の中を覗くとあちこちにロウソクの明かりが灯され、お義姉さんたちが料理や部屋の準備中。どこか静粛とした雰囲気だった。テラスからは南の空に三日月と火星がキレイに見えた。家から出てきたお義母さんにご挨拶すると、温かい笑顔で抱きしめてくれる。
聞くとこの日の夕方、このお義姉さん宅に空き巣が入ったばかりだと言う。末っ子のカシーシが学校から帰ったら、誰かの気配がするので、そのままご近所のお宅に駆け込んで母親に電話。お義姉さんが旦那さんに電話して駆けつけてみると、部屋は物色され、金庫がこじ開けられていた。現金と宝石類がなくなっていたとか。
そんな話を聞いて、心が痛くなる。お義兄さんたちは夫と防犯カメラの設置について話をしている。そんな大変な日なのに、私たちのために集まってくれて、婚約式の準備をしてくれているお義姉さんたちやお義母さん、そしてどんなに怖い思いをしたか知れないカシーシ。その上停電までしてしまって、何だか申し訳ない。
いろいろな事が非日常で、これから何をやるのかも知らされていない私は、なるようになってくれるのを信じるしかないような、半分夢の中にいる気分。最後の最後にしつこく夫に「だから今日は何をするのって?」と小声で聞くと、「歌を歌ってご飯を食べて、指輪を交換するんだって」と。。。指輪って、初耳ですよ。
しばらくすると義姉1の長男サチン14才が、私と夫を家の中に招き入れ、入り口に立ってるカシーシの持つ水壺の中にコインを入れる様にと言われ、言われた通りにして中へ。ロウソクの灯りの中で、皆が私たちを囲んでニコニコしていた。すると時を計った様に電気が点いた。これが、夜通し続いた私たちの婚約式の始まりでした。
長いので②へ続きます。