空っぽの腕の中で
あなたの命が動いていた。
小さいけれど、精一杯。
空っぽの腕の中で
あなたの産声、聞こえてた。
かわいい顔が見えていた。
お世話になった人たちの、
喜ぶ笑顔が見えていた。
空っぽの腕の中
無限の夢が咲いていた。
私が遠くに来た意味も
パパと出会った理由さえ、
あなたが結んでくれていた。
空っぽの腕の中で
あなたは今を生きていた。
私の過去と未来を繋げて
やっと一つにしてくれた。
空っぽの腕の中は
見えないもので満ちていた。
空っぽだなんてウソだった。。
みんな、嘘をついていた。。
空っぽの腕の中を
私は ぎゅうっと抱きしめる。
空っぽだけど、抱きしめる。
初めての、まっさらな愛。
教えてくれた前向きさ。
赦してくれた過去のこと。
示してくれた優しさの道。
空っぽの腕の中には
抱えきれない明日への希望と
大切に重ねてきた頑張りと。
恥ずかしくないよ、忘れないでね。
胸を張っていい、覚えていてね。
見えなくないよ、話してね。
心も身体も罰しちゃダメよ。
あなたの声が聞こえるよ。
空っぽの腕は
もう空っぽじゃない。
私を選んで来たんだね。
見えないものを見るように。
優しい光を届けるように。
この、空っぽの腕の中
溢れる光が輝くように
いつまでも、どこまでも。