宮脇 流の「昭和を話そう」 ( BOSSのブログ) -59ページ目

宮脇 流の「昭和を話そう」 ( BOSSのブログ)

70年代や、あの時代に輝いていたアレやコレや。
クリエイティブディレクターが語る、「思い出のエッセイ」です。

$BOSSのブログ-ハレンチ

今でこそ正統派のマンガ雑誌だけれど、1968年の創刊当初、週刊少年ジャンプはかなり過激な少年誌だった。とりわけ異彩を放っていたのが、写真の「ハレンチ学園」だ。タイトル通りハレンチの極みで、マンガの中から始まったスカートめくりは社会現象にもなった。そのせいか、一時はPTAが騒ぎだし小中学生に見せてはいけないという物議、論争を繰り返したほど。そんなことはおかまいなしに、私たちは読みふけり、マンガ家永井豪の名は日本中に轟いた。69年には少年マガジンに「キッカイくん」を、少年チャンピオンに「あばしり一家」を連載し、どのマンガ誌にも永井豪のハレンチ旋風は吹き荒れた。ついに、70年「ハレンチ学園」は東京12チャンネルというマイナー局ではあったけれど、TVで実写化。あろうことか、映画にもなってしまった。もうPTAどころではない。ハレンチ旋風はどこまで行くのか・・と思ったけれど、もはや子供の興味を超え、そうなると誰のものなのかさっぱりわからなくなってしまった。「ハレンチ学園」を思い出す時、ハレンチやバイオレンス、政治やお金という異質のテーマをぶつけた少年ジャンプの気迫を同時に思い出す。ヒゲゴジラと呼ぶ先生の本名が、吉永小百合という秘めたギャグも、若い頃の永井豪と少年ジャンプの挑戦だったような気がする。

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$BOSSのブログ-悪魔のような

「昭和マンガ」の第3弾は、阿久悠原作の「悪魔のようなあいつ」。1975年、「ヤングレディ」に連載されたややマイナーなマンガだけれど、基になるテーマが1968年に起きた"三億円事件"だっただけに、衆目を集めた。作画を上村一夫が手掛けたこともあって、そのなまめかしいまでに美しいタッチは、さすが女性誌マンガだけのことはある。話題に伴い同年TBS系列でTV化され、主役の美男「可門 良」を沢田研二が演じた。この時点で、世の女性たちはもう興奮。「悪魔のようなあいつ」は美しいジュリーの容姿がいかんなく披露される作品になった。ドラマの主題歌である写真のレコジャケ「時の過ぎゆくままに」は大ヒットし、オリコンチャート1位に。何をしても絵になったジュリーは、三億円犯人になっても絵になったから不思議だ。マンガの原作に話を戻すと、犯人の可門良には障害者の妹がいて、その車椅子に三億円を隠しているという設定。車椅子を押す看護師(女性)がそのことを知っているのか、知らないのか・・そんな展開が物語を深くしていた。ちなみに、ドラマではその看護師を篠ひろ子が妖艶に演じた。阿久悠も上村一夫も他界し、三億円事件も風化してしまった今、マンガだけがあの頃を色濃く物語っている。

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$BOSSのブログ-猫目小僧

読書の秋、「昭和マンガ」の第2弾は、1967年少年画報に発表された「猫目小僧」。68年からは少年キングに連載された楳図かずおの怪奇(妖怪)マンガだ。楳図かずおと言うと、私の世代なら誰もが、恐怖というものを思い知らされたマンガ家に違いない。「へび少女」「黒いねこ面」「うろこの顔」「半魚人」・・・もうタイトルだけで震える。子供の頃、楳図マンガを読んでトイレに行けなくなった経験は、きっと私だけではないだろう。ただそんな中、ちょっとおちゃめで、ちょっと正義な怪奇マンガが、この「猫目小僧」だった。ストーリー自体は不気味だけれど、きっと「猫目小僧」がなんとかしてくれると思うだけで、ドキドキしながらも楽しめた。実は76年に「妖怪伝 猫目小僧」というタイトルでアニメ化もされているけれど、東京12チャンネル放送(現テレビ東京)なので、観た人は限られている。その主題歌の作詞・作曲を手掛けたのも楳図かずお本人。それくらいの音楽好き(特にロック)ということは、今やTVやラジオの出演で有名だけれど、そのにこやかな顔がメディアに登場する前は、鬼のような面構えだと心から思い込んでいた。だって、「楳図かずお」って、名前の字面だけで怖かったんだもん・・。

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