宮脇 流の「昭和を話そう」 ( BOSSのブログ) -58ページ目

宮脇 流の「昭和を話そう」 ( BOSSのブログ)

70年代や、あの時代に輝いていたアレやコレや。
クリエイティブディレクターが語る、「思い出のエッセイ」です。

$BOSSのブログ-バロム

♪超人、超人 ぼくらのバロムワン ♪ と、子供たちが歌っていたのは1972年。TVで放映された「超人バロム・1」の主題歌だ。けれど、その数年前に「バロム・1」は週刊ぼくらマガジンに連載されていたマンガだった。原作(作画)は「ゴルゴ13」のさいとうたかを。当時のぼくらマガジンには、少年マガジンと比肩するべく作品がズラリと並んでいた。桑田二郎の「デスハンター」や梶原一騎の「タイガーマスク」、永井豪の「ガクエン退屈男」等々、マンガ史に残る名作ばかり。少年マガジンと同じ講談社だっただけに、何かの基準で作品を区分けしていたのだろう。写真の「バロム・1」を見るとわかってもらえるけれど、TV版とは顔が違う。変身した顔が大人だったのだ。健太郎と猛という二人の子供がバロムクロスで変身すると、大人の男になるという所がマンガではポイントだったと私は思う。体格だけではなく、声も意志も判断力までもが大人に変わる。その、大人への成長願望というのが、きっと「バロム・1」のテーマだったに違いない。原作者さいとうたかをの、そんな意志とは別にTVは「バロム・1」を超人にしてしまった。子供の憧れだった大人を越えて、時代が超人を求めた結果だろう。それにしても、友情が変身のエネルギーという設定は子供心をついていた。70年代は、まだまだスキンシップが心の絆をつないでいたのだ。

人気ブログランキングへ
$BOSSのブログ-ど根性ガエル

「少年ジャンプ」の挑戦が、新しいテーマとマンガ家の起用で成功したという話を以前のブログで紹介したけれど、今回もまたその代表。「昭和マンガ」の第6弾は、アニメでもお馴染みの「ど根性ガエル」だ。1970年から6年間も連載され、72年にはTV放映もされた。大人気のギャグマンガだったけれど、吉沢やすみというマンガ家の他の作品を私は知らない。逆に言うと、それほどまでに「ど根性ガエル」の存在感が大きかったのだろう。そもそも、カエルがシャツにくっついてしまうという発想は突飛過ぎて、話にならない。実写で想像したら、なんとも気色悪いし、恐ろしい。洗濯はどうすんのか? エサは? 糞尿の始末は? と難問が有りすぎて、いくらマンガと言えども少年ジャンプ以外では採用されなかったに違いない。誰が呼んだか「平面ガエル」という言葉も定着した。だから、当時のジャンプはスゴイ。本当なら、女性が嫌う両生類カエルが主役なのである。なのに、平面ガエルのピョン吉くんは女の子にモテモテ、ひろしのガールフレンドである京子ちゃんにキスまでされたりする。カエルにキス? もはや、カエルではない。京子ちゃんの本名は吉沢京子。連載当時の人気アイドルからとったらしい。あの吉沢京子を懐かしんで、もう一度読んでみるのもいいかもしれない。

人気ブログランキングへ
$BOSSのブログ-チャコ

チャコちゃんと聞いて思い出すのは私と同世代なら、たぶんTVドラマの「チャコちゃんシリーズ」の方だろう。1964年の「チャコちゃん社長」や65年の「チャコちゃんハーイ!」の四方晴美は、今で言えば芦田愛菜ちゃんのような人気アイドル。子役タレントの走りだったに違いない。けれど、実はこれもマンガが原作。1959年から70年まで続いた今村洋子の人気マンガが、写真の「チャコちゃんの日記」なのだ。雑誌「少女」や「りぼん」、学年誌など、いろいろと連載を繰り返し、約13年間もファンに愛された。このマンガを原型にして、ドラマも生まれた。チャコちゃんの弟役として活躍したケンちゃんも、マンガの中ではボクちゃんとして登場している。さて、チャコと言えば、サザンの「チャコの海岸物語」を時折口ずさむ程度で、この頃あまり聞かない名前である。そもそも、久子という名がチャコの元。子供が自分の名前を「ヒチャコ」と呼ぶ所からチャコが生まれたということも、今や知らない人がいるような気がする。マンガのヒロインの名は、山本久子。ヒロインにしては、かなり普通の名前だけれど、チャコと呼ぶとアイドルぽくなるから不思議。普通の中のちょっとしたアイドル、そんな日常がいちばん幸せだった頃の、昭和マンガなのだ。

人気ブログランキングへ