宮脇 流の「昭和を話そう」 ( BOSSのブログ) -60ページ目

宮脇 流の「昭和を話そう」 ( BOSSのブログ)

70年代や、あの時代に輝いていたアレやコレや。
クリエイティブディレクターが語る、「思い出のエッセイ」です。

$BOSSのブログ-デンカ

読書の秋なので、これより数回「昭和のマンガ」のお話なのである。1969年に少年サンデーに連載されたのが、この「ウメ星デンカ」。TBS系列でテレビアニメ化もされている。藤子・F不二雄の作品にしては珍しく、再放送されることもなければ、リメイクされた事実もあまり知らない。「オバQ」や「パーマン」に続く傑作だと個人的には思っているけれど、世間はそうでもないのかもしれない。中でも、ウメ星国の重臣ベニショーガやロボットのゴンスケなどは、他の藤子・F作品には出てこない異質なキャラクターであるところがニクい。ちょっと物事を斜めに見ているような存在感は、スネ夫やキザオとも似ているようで、しかしもう少しシニカルで奥が深いのだ。写真の「ウメ星デンカ」は、虫コミックス。あの手塚治虫が68年から関わった出版事業だったけれど、倒産によって刊行中止。たったの5年間で、人気の虫コミックスは無くなってしまった。♪スッパンパラパン、スッパンパン、ウメ星デンカがやって来た♪ 石川進の名調子で、アニメの主題歌が聴こえてくる。確実に異星人なのに、最も日本人的なシャイな気質を備えた国王と王子に、もう一度会いたい。

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$BOSSのブログ-郁恵ちゃん

1977年の歌謡界は、新人爆発の年。最優秀新人賞はブッチギリで清水健太郎だったけれど、他の新人もその年を代表するようなヒット曲を飛ばしていた。「あずさ2号」の狩人、「硝子坂」の高田みづえ、「Lui-Lui」の太川陽介、そして写真のレコジャケ「アル・パシーノ+アラン・ドロン<あなた」の榊原郁恵。実はこのノミネート曲、榊原郁恵だけデビュー曲ではない。あのホリプロが満を持して開催した「ホリプロタレントスカウトキャラバン」の第1回優勝者だけに、どうしても新人賞を獲る必要があったけれど、パッとしなかった。人気もそこそこで、歌の方は3曲目までノーヒット。新人賞レースにはもう後がない10月の新曲、断末魔についにブレーク。榊原郁恵は、この曲で新人賞を獲得したのだ。デビューから4曲目にして、なんとかホリプロの面目が保たれたヒット曲。大手プロダクションの使命という十字架を背負っていた榊原郁恵は、翌78年のTVドラマ「ナッキーはつむじ風」で女優としても売れた。和田アキ子、森昌子、山口百恵に続くホリプロ看板スターの座についたことは、もはや言うまでもないだろう。そんな時代を思いながら改めてこの歌を聴くと、なんだかしんみりと、味わい深いから不思議だ。

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$BOSSのブログ-モリケン

♪この広い空の下で 二人めぐり逢えてよかった 初恋いろの季節の中で キミにあげよう ひとつぶの涙♪と、森田健作が声をはりあげて歌ったのは、1973年の「青春のバラード ひとつぶの涙」。写真の通り、グリコアーモンドチョコレートのCMに使われた曲だ。まさに、絶頂期だった。何が? と聞かれれば、「青春」と答えるしかないだろう。1971年、森田健作・早瀬久美共演のドラマ「おれは男だ!」の人気で、その時代の男子はモリケンカット、口をつく言葉は「吉川くーん」となった。主題歌「さらば涙と言おう」は大ヒットし、歌手としてもモリケンは売れた。72年には「青春をつっ走れ」、73年には「おこれ! 男だ」と人気ドラマが続き、青春街道をひた走っていたそんな頃、このグリコのCMは流れた。ひと粒のチョコレートにひっ掛けた「ひとつぶの青春」というコピーを見ていると、青春という言葉が輝いていたあの季節に、私たちは何かを無くした様な気がしてくる。海に叫んだり、夕陽に向かって走ったり、そんな光景が恥ずかしくなかったのは何故だろう? 青春という言葉さえ、もう死語に近いけれど、本当に死んでしまっているのは、一生懸命な姿勢なのかもしれない。そんなことを千葉県知事、いや森田健作を思うと、なぜかふと感じてしまう。

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