返還されても沖縄は遠いと感じた、 映画「夏の妹」。 | 宮脇 流の「昭和を話そう」 ( BOSSのブログ)

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70年代や、あの時代に輝いていたアレやコレや。
クリエイティブディレクターが語る、「思い出のエッセイ」です。

夏の妹

「沖縄」が日本に返還されて、今年で45年を迎える。本土復帰に沸いた1972年当時、私は沖縄について何も知らなかった。極端な話、歌手 南沙織の出身地である南の島という程度の認識だった。そんな中、同じ年の8月に写真の映画「夏の妹」が公開されたのだ。監督は、大島渚。主演は新人女優の栗田ひろみだった。鮮烈な映画という評判もあったけれど、主演の栗田ひろみはちょっと可愛いだけの、演技のヘタな少女だったし、共演する石橋正次やリリィだって、特別うまいワケじゃなかったから、映画としては全くつまらなかった(と、私は感じた)。ただ、日本と沖縄の複雑な関係を伝えようとしていたという意味では、果敢に挑戦した映画だったのかもしれない。今でも、米軍の基地問題に揺れる沖縄を、あの時期にすでに揶揄していたことには驚く。それにしても、この作品を観るたび、映画にアイドルを起用することの難しさを感じずにはいられない。映画の中で、歌の流しを仕事にしている石橋正次が「シルバー仮面」の主題歌を歌うシーンがある。「シルバー仮面」は72年に放送されたTBS系(日曜夜7時)の特撮変身物だけど、その後続番組「アイアンキング」の主役に石橋正次が抜擢されたのは、ただの偶然だろうか? 「夏の妹」のストーリーより、そっちの方が気になった、昭和の熱い夏だった。

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