初恋の人にもう一度会いたいと思う人は、何%くらいいるのだろうか? 逆に初恋は、あの日のままそっとしておきたい、という人もきっと多いだろう。桜田淳子への思いは、そんな感じに少し似ている。日本が成長期だったあの頃、歌謡曲も輝いていて、誰もが青春の真っ只中にいたあの日に帰りたいという気持ちはよくわかる。けれど、初恋の人は、もう昔のあの人では決してない。今月、東京銀座の博品館劇場に登場した桜田淳子を見ていると、嬉しいような哀しいような、そんな戸惑いを憶えるから、不思議だ。写真のレコジャケは、1978年にリリースされた「20才になれば」。中島みゆきが作詞・作曲を手掛けた、彼女が大人に向かう頃の1曲である。♪はたちになれば ひとりで歩く あなたなしでも夕暮れ歩く はたちになればひとりで笑う あなた忘れて ひとりで笑う♪という曲を聴いていると、なんとなくアイドル桜田淳子と人間 桜田淳子との葛藤を歌っているようにも思えてくる。" 不確実性の時代 "と叫ばれたこの年にこの曲を歌い、もうファンなしでもひとりで歩く・・と決めたかどうかはわからないけれど、孤独を選んだ決意は固かった。だからこそ、還暦を目前にした再登場を望まないのかもしれない。「60才になれば」という別の人生を、これまで通り、できれば堂々と歌ってほしい。
にほんブログ村