津雲むつみのヒロインに、疲れながらも恋した青春。 | 宮脇 流の「昭和を話そう」 ( BOSSのブログ)

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70年代や、あの時代に輝いていたアレやコレや。
クリエイティブディレクターが語る、「思い出のエッセイ」です。

津雲むつみ

あの頃、津雲むつみのファンだった。いや、正確に言うとマンガ家 津雲むつみが描くヒロインのファンだったのである。最初に出逢ったのは1970年、「おれは男だ!」のヒロイン吉川 操(みさお)。ほぼ同時期に森田健作主演でテレビドラマ化されたので、憶えている人も多いだろう。原作よりもドラマの方が有名だけれど、ボクが好きだったのはマンガの中の吉川 操だった。そして、写真のマンガ「彩りのころ」に登場した杉浦 葵。週刊セブンティーンに連載された少女マンガではあったが、当時のボクには大きな衝撃だった。レイプされて身ごもった子供を産もうとする少女の本能、その母性の目覚めとともにストーリーは深く進んでいく・・。こちらも86年に「このこ誰の子?」とタイトルを変えてドラマ化されたので、ドラマの方で知っている人もいるかもしれない。たいていの場合、津雲作品に登場する少年は生い立ちに暗い事情があるせいで、世をすねていて、その事情にヒロインが巻き込まれていく。真っ白の青春がとんでもない色に塗り替えられていく中に、読者もまた巻き込まれていくのだ。そう、読者一体となったドロドロ劇が、津雲むつみの真骨頂。読み終えた後、頭の中がゴチャゴチャになったりはしたけれど、あの疲労感はイヤじゃなかった。もう新作が読めないのか、と思うと残念だ。美しく、そしてちょっと疲れるヒロインを、ありがとう。

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