
資生堂バスボンシャンプーのCM、「ね、バスボン」で松本ちえこがブレークしたのが1976年。一気に、その年のNo.1アイドルになった。76年と言えばレコード大賞曲が「北の宿から」で、新人賞が内藤やす子の「想い出ぼろぼろ」。なんとなく暗いヒット曲が多く、華のなかった年だっただけに、チーコと呼ばれて松本ちえこは愛されたのだ。76年春に発表した「恋人試験」のヒットに続き、写真のレコジャケ「恋人願書」がリリースされたのが夏、その秋にも「ぼく」という曲が好調だったのだけれど、どういうワケが賞レースには縁がなかった。♪私どこにも願書は出しません、ただあなただけ この一度限り、そっとお願い申し上げます♪ と歌った「恋人願書」の歌詞に、胸がキュンときた男子学生はたくさんいただろう。このレコジャケの中でチーコが履いているサンダルは、当時ランランサンダルと呼ばれて、女子高生の間で大人気だった。たぶん1000円くらいだったこのプラスチックのサンダルを見ると、高校時代にタイムスリップしてしまう。ポケットにはいつも、数枚の100円玉しか無かったあの頃。壁に貼っていたバスボンのポスター。賞の記録は残っていなくても、まんまる顔の女の子は記憶の中で76年の一等賞。♪ あなたが 恋の第一志望~♪ だったのだ。
