Microsoft 365版 Excelで画像を挿入しようと [挿入]-[画像]メニューをクリックすると、[セルに配置] と [セルの上に配置] というサブメニューが現れます。(下図)

 

他のバージョンでは [挿入]-[画像]の下に [このデバイス]、[オンライン画像]メニューが現れるだけでした。

この [セルに配置] と [セルの上に配置] というサブメニューの違いが気になりましたので調べてみました。

Microsoftのサポートページ「Excel のセル内に画像を挿入する」を参照しながら試してみます。

このページによれば、セルに画像を挿入する方法は以下のものがあります:

  • IMAGE関数を使用して、Web URL パスを使用する
  • Excelリボンからセルに画像を挿入する
  • クリップボードからセルに画像を貼り付ける
  • セル上の図からセル内の図に切り替える


ここでは、[セルに配置] と [セルの上に配置] の違いにフォーカスして見てみます。

(1) IMAGE関数

IMAGE関数を使ってセルに画像を挿入することについては、「Excel IMAGE関数」記事や「Excel IMAGE関数を使って画像参照」記事でご紹介しました。
あるいは、Microsoftのサポートページ「IMAGE関数」をご参照ください。

要は、IMAGE関数の引数として画像ファイルの URLパスを指定すれば、そのセルに画像を挿入することが出来ます。

IMAGE関数で挿入した画像は、後述する [セルに配置] で挿入したものと同じ扱いになります。

(2) セルに配置(Place in Cell)

新たに導入された画像挿入機能です。
項題にある括弧内の英語は、英語版 Excelでのメニュー表記です。
こちらのほうが両者の違いを明確に表わしていると思い、併記しておきました。

シート上のセルに [挿入]-[画像]-[セルに配置]-[このデバイス]で PCに保存してある画像を挿入すると、そのセルの大きさにリサイズされて表示されます。
(画像の縦横比は保たれています。)(下図)

 

上図のように、画像をクリックすると、そのセルがアクティブになるだけで、移動も拡大・縮小もできません。

このセルについて [Ctrl]+[1]キーで「セルの書式設定」ダイアログを表示してみると、表示形式は「標準」、右側の「サンプル」欄には「画像」と表示されます。(下図)

 

セル内のデータとして画像が入力されたような形式です。
画像が、セルの上に置かれたオブジェクトではなく、セルの値そのものになったということです。

なお、画像が挿入されたセルを選択すると、その右上にアイコンがあります。
これにマウスポインターを合わせると「セルの上に配置 セルから写真を取り出す」とヒントが表示されます。
つまり、[セルに配置] で挿入された画像を、[セルの上に配置] モードに変換するオプションボタンです。
このボタンをクリックすると、配置モードが [セルの上に配置] となり、原画がそのセルの左上を原点として表示されます。(下図)

 

その画像の右上には「セル内に配置 左上隅のセル内に画像を配置する」というヒントのオプションボタンが表示されています。
このボタンをクリックすると元の図のように [セルに配置] モードで表示されます。

(3) セルの上に配置(Place over Cell)

従来からある画像挿入機能です。
[挿入]-[画像]-[セルの上に配置]-[このデバイス]で画像を挿入すると、そのセルの左上を原点として画像が表示されます。(下図)

 

挿入直後は原図のサイズで挿入されますが、画像を選択するとその外周にはハンドルが現れ、移動や回転、拡大・縮小もできます。
つまり、項題にある括弧内の英語で表わされるように、セルの上に置かれた画像オブジェクトであって、セルのデータ(値)ではありません。
挿入後は何処にでも移動出来ますので、セルとの関わりはありません。

ここでも、画像の右上に「セル内に配置 左上隅のセル内に画像を配置する」というヒントのオプションボタンが表示されています。
これをクリックすると、画像の左上が配置されるセル内に [セルに配置] モードで表示されます。

以上のような違いがあるわけですが、新たに加わった [セルに配置] モードにより何が変わるのでしょう。
このモードでは、画像がセルの値となるため、このセルを参照する関数やセル参照の戻り値が画像となることになります。

簡単な実験をしてみます。
E2セルには [セルに配置] モードで画像を挿入し、G2セルには [セルの上に配置] モードで同じ画像を挿入しセルの大きさにリサイズしました。(下図)

 

そして、E3セルには「=E2」、G3セルには「=G2」と単なるセル参照する数式を入力しました。
結果は、E3セルには画像が配置され、G3セルには「0」と表示されました。

また、(1)項でお話したように、IMAGE関数で画像を配置することも [セルに配置] モードと同様にセルの値として画像が扱われます。
ただし、IMAGE関数で挿入したときは、その画像の右上に [セルの上に配置]のオプションボタンは表示されません。
IMAGE関数は、「https://」で始まる URL で画像を指定するので、このオプションボタンを付けると、ローカルデバイス上に画像が取り出せることになります。
それだと、セキュリティ上の問題や著作権上の問題などが絡む場合が出てくるので、このような仕様にしているものと推察されます。

こうしてみると、[セルに配置] モードの追加は扱いも容易で、さらにセルの値として扱うことができるので、今まで以上に多くのシーンで使われるものと考えられます。