PCにインストールして使うデスクトップ版Excelと違って、オンライン版Excel(Excel for the web)ではいくつか制約事項もあります。
オンライン版Excelでも同じブック内であれば、別のシートを参照することはできます。
でも、別のブックのセルやセル範囲を参照する、所謂「外部参照」はできませんでした。
ところが、およそ 2年前くらいから外部参照できるようになりました。

Microsoftのサポートページ「ブック リンクを作成する」によれば、以前は「外部参照」と呼んでいましたが現在は「ブック リンク」と呼んでいるそうです。
つまり、同じブック内の別のシート、または別のブックのシートのデータをリンクすることを指しています。

おさらいも含めて「ブック リンク」の様子を見てみましょう。

(1) セル参照

まず、「外部参照サンプル1」という名前でオンライン版Excelを開いて、シート「Sheet1」で A1~A10セルに 1~10 の数値を入力し、表示書式を「数値」に、さらに奇数行のセルに塗りつぶしの色を設定しました。
そして、同じブック内の別のシート「Sheet2」の A1セルに「=Sheet1!A1:A10」と入力するとそのデータのみ参照されて A1~A10セルに表示されます。(下図)

これは、PC内の Excelブックでの動作と同じですね。

次に、別のブック「外部参照サンプル2」を同じく OneDrive上に開いて、その「Sheet1」シートの A1セルに「=」と入力し、続いて「外部参照サンプル1」ブックを開いて参照元のセル範囲 A1~A10を選択します。
この時点で画面上に「ブックのリンク。 外部参照サンプル2.xlsxの数式に適用する範囲を選択します。」というメッセージが表示され、数式バーには「='https://d.docs.live.net/1705‥‥」と表記されています。(下図)

 

このまま [Enter]キーを押すと、「外部参照サンプル2」ブックでは下図のように「セキュリティに関する警告」というメッセージが表示され、適用しようとするセル範囲 A1~A10には「#ブロック!」とエラー表記になっています。(下図)

 

「セキュリティに関する警告」にある「コンテンツの有効化」をクリックすると、参照元のデータが A1~A10に表示されます。
「外部参照サンプル2」ブックの A1セルには次のように数式が入っています:
  ='https://d.docs.live.net/1705‥‥/%e3%83%89%e3%82%ad%e3%83%a5%e3%83%a1%e3%83%b3%e3%83%88/[外部参照サンプル1.xlsx]Sheet1'!$A$1:$A$10

ローカルPC内で別のブックのセル・セル範囲を参照すれば
  =[(ブック名)](シート名)!(セル範囲)
という形式で参照します。
参照先のブックが開いていない、あるいは別フォルダにあるときは、(ブック名)のところが絶対パスで表記されます。
一方、OneDrive上のブックである場合は
  ='(ブックのURL)/[(ブック名)](シート名)'!(セル範囲)
という形式で参照します。
こちらは参照先のブックが別のフォルダにあっても、そのブックを表わす URL はフォルダの場所に関わらず一意のものです。

(2) コピー、貼り付け

上記と同様に、OneDrive上の「外部参照サンプル1」ブックの「Sheet1」シートの A1~A10セル範囲をコピーし、「外部参照サンプル2」ブックの「Sheet1」シートの A1セルに「貼り付け」します。
このコピペは普通にデータも書式もコピーされて貼り付けられます。

次に、「外部参照サンプル1」ブックの「Sheet1」シートの A1~A10セル範囲をコピーし、今度は「外部参照サンプル2」ブックの「Sheet1」シートの A1セルに「リンク貼り付け」してみます。(下図)

 

すると、参照元のセル範囲のデータだけが貼り付けられます。(下図)

 

それでは、参照元のデータを変更してみましょう。
例えば、A1~A10セルの値を 11~20 に変更してみます。
ところが、参照先の「外部参照サンプル2」ブックの「Sheet1」シートの A1~A10セルを見ても更新されません。

最新のデータに更新するには、次のようにします。
参照先「外部参照サンプル2」ブックの [データ]-[ブックのリンク]ボタン(左から 4番め)をクリックすると、画面右側に「ブックのリンク」画面が現れます。
その右上にある「…」をクリックし「自動的に更新する」にチェックを入れます。(下図)

 

これでも更新されない場合は、その左隣にある「すべて更新」ボタンを押します。
それでも更新されないときは、一旦「外部参照サンプル2」を閉じ、改めて開き、「コンテンツの有効化」をクリックし「ブックのリンク」画面で「すべて更新」ボタンを押すと更新されます。

正直言って、一抹の不安が残りますが、確実な動作となるよう今後の改善を期待しましょう。

以上のように、まだ完全ではないものの、少なくとも (1)項のようにブックリンクでのセル参照は OneDrive上の Excelブックでできるようになったのはありがたいことです。
オンライン版Excelの利用範囲が広がります。