先の「Office グループ化した文字が拡大縮小できない」記事で「図(Windowsメタファイル)」や「図(拡張メタファイル)」という画像形式について少し触れました。

図やテキストボックスなどのオブジェクトをコピーし、それを [ホーム]-[貼り付け]の下向き矢印を開いて [形式を選択して貼り付け]をクリックすると、Wordの場合は下図のようなダイアログが現れます。
(ショートカットキー [Ctrl]+[Alt]+[V]を押しても表示できます。)

 

Excelの場合は下図のダイアログが現れます。

 

PowerPointの場合は下図のダイアログが現れます。

 

これらのリストに共通して現れる画像形式が「図(拡張メタファイル)」です。
「図(Windowsメタファイル)」は、PowerPointでのみ選択できます。

先の記事にも書きましたが、「Windowsメタファイル」「拡張メタファイル」形式は、ベクトル情報とビットマップ情報のどちらも保存できるファイル形式です。
コピーまたは切り取りをしてクリップボードに格納された画像データがベクタ画像形式で描画されるものであれば、ベクトル情報を保持したまま保存できるわけです。

例えば、○とか△などの図形やアイコンはベクタ画像形式なので、これをコピーして単に貼り付ければ、拡大してもその画像にギザギザやボケは発生しません。
1つの図形だけなら単純貼り付けで構いませんが、複数の図形、特にビットマップ画像形式の画像も含んでコピー・貼り付けをするなら、これらのメタファイル形式が便利です。
メタファイル形式で保存された画像は、1つの画像としてまとめられますが、そのうちのベクタ画像形式で描かれたオブジェクトについてはベクトル情報を保持しているので、拡大・縮小してもギザギザやボケが発生しません。

Microsoftのサポートページ「形式を選択して貼り付け」に、少しだけ記述がありますが、簡潔過ぎて物足りません。

少し調べてみると、以下のようになるかと思います。
画像データをベクター形式で保持するということは、画像の描画手順と座標値で表わすということです。
例えば、次のような感じです:

LINE (10,20)-(50,40)
CIRCLE (20,40)-(70,80)

Windowsには、この描画のためのベクター形式として、

  • Windowsメタファイル形式
  • 拡張メタファイル形式

の 2つが用意されています。

先の記事にも書きましたが、Windowsメタファイル形式は Windowsの初期からサポートされているもので、Windows95 以後に追加されたのが 拡張メタファイル形式ということになります。
前者でサポートする描画命令は少なく、線の太さ・色、塗り潰し、多角形、矩形、円弧などです。
後者ではこれを文字通り拡張して、点線、破線等、塗潰しパターンの指定など、およびベジエ曲線による描画などが追加されています。

これらメタファイル形式でのオブジェクトは、拡大・縮小してもギザギザやボケが発生しないことが最大の特徴ですが、データサイズが小さいことも特徴です。
また、上記もしましたが、複数の図形を選択してコピーし、メタファイル形式で貼り付けると 1つの画像として扱えるようになります。
グループ化したような感じですが、貼り付けた後で個別のオブジェクトを再編集はできません。

そして、2005年頃から「SVG(Scalable Vector Graphics)」形式もサポートされるようになりました。

SVG形式については「SVG形式の画像とは?」記事でご紹介しました。
SVG形式もベクター画像を保持でき、Webページなどでも使われるようになってきました。
これも、上記の「形式を選択して貼り付け」ダイアログでも選択できます。