用語としてはこれまでにも出てきましたが、改めて「SVG」という画像ファイル形式についてご紹介します。

「SVG」は「Scalable Vector Graphics(スケーラブル・ベクター・グラフィックス)」の略です。
直訳すれば「大きさを変えられるベクター画像」ということです。

写真やイラストなどの画像を保存するのに「BMP」「JPEG」「PNG」「GIF」などが多く使われますが、これらはピクセルの集まりとして表現されるビットマップ画像です。
つまり、画面上のピクセルを点灯するか消灯するかによって“ドット絵”のように表現する形式です。
写真やイラストだって「大きさを変えられる」と思うかもしれませんが、碁盤のどの目を光らせるかという情報で描画していますので、拡大・縮小をすると、その隣り合う(周辺の)ピクセルの情報から平均化処理をしてその間のピクセルの情報を計算しています。
そのため、ぼやけたり、あるいはエッジにギザギザが発生し、画質が低下することになります。

一方で、ベクター画像は、点と点を曲線で結んだり、一定の範囲を塗りつぶしたりといった処理を座標と数式で表現しています。
例えば、円を描くならその中心位置と半径を与えれば描画できます。
このため、この画像のサイズを変更して拡大・縮小したければ、単に半径の情報を変更するだけで済みますし、移動したければ座標をシフトすればでき、ベクター画像のようなぼやけやギザギザは発生しません。
(ディスプレイが高精細でないと、その効果が十分に発揮できないかもしれません。)

形式こそ違うものの、このベクター形式の考え方を採用しているのが「フォント」です。
過去には「フォント」もドットの集まりとして定義されていましたが、現在利用されている多くのフォントがベクター形式でデザインされています。
そのため、フォントサイズを大きくしていってもギザギザなどもなく綺麗に表示できます。
先の「pdf文書」でご紹介した pdf文書で使われる文字もこのように表現されています。
規格策定当初から Webページでの表示としてこの形式が考えられていたので、Webブラウザには SVG形式を解釈する仕組みが備わっています。

また、身近な存在としては、Officeアプリで「図形」として提供される〇とか□、△なども内部的にベクター形式ですし、同じくストック画像として提供されている「アイコン」などもベクター画像です。
「アイコン」については「Word 画像やアイコン、ステッカー、イラスト」などでもご紹介しています。

「SVG」形式は、基本的には XML言語で記述されています。
つまり、文字ベースで記述されているので、簡単な画像でしたら手入力で作成もできます。
でも、複雑な図形や線分などが多く使われる画像になってくると、やはりアプリを利用して作成します。
PhotoshopやIllustratorなどのアプリを使うことが多いですが、Inkscapeのような無料アプリが使えます。
Inkscape」記事でご紹介していますので、こちらもご参照ください。
また、Webブラウザで使えるオンラインエディタ「Vecteezy」もあります。

作成するアプリはまだ限られますが、作成した画像をこの形式で出力することができるアプリはたくさんあります。
Microsoft Office(Word、Excel、PowerPointなど)、LibreOffice Draw、Googleドキュメント、OpenOffice Drawなどが手軽に使えます。